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ドラゴンすくらんぶる!  作者: 葉月 都
第壱拾
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其之三

なんだか、たくさん読んでいる方がいるみたいで、とっても嬉しいです!

これからもよろしくお願いします!


そして、その日一日の授業と部活が終わり、きいは睦月寮へと帰っていく。



「ただいま。」

「おー、お疲れー、きい。」



ダイニングには、寮に住む六人がちょうど揃っていた。

きいは、荷物を自分の部屋に置いてくると、再び一階に降りてきて、寮員達とくつろぎはじめる。


すると。



「みんな~、ちょっといい?」



寮長の奈濟なずみさんが現れて、きい達の前に立つ。後ろには、なんだか見覚えのある金髪の少女が。


そう。巴樹である。


きょろきょろと視線をさまよわせる巴樹の姿を見て、きいが驚きの表情を走らせる。



「今日からこの寮に来ることになった、七橋巴樹さんよ。きいくんと同じクラスなの。仲良くしてあげてね。」

「よろしくお願いします。」



朝と同じように、ぺこりと頭を下げる巴樹。



「巴樹ちゃんの部屋は後で案内するわね。っていうわけで、よろしく~。」



ひらひらーと手を振って、奈濟さんは、荷物と巴樹を連れてどこかに行ってしまった。

あっという間に起こったことに、全員言葉を発する時間もなかった。


しばしの沈黙の後。



「ねぇねぇ。あの子、外人さんみたいだね。」



と言いながら、一人の少女がきいに近づいてくる。

同じ寮員で、中学二年生の御津葉みつばだ。


いつものように少し距離を置くと、きいは言った。



「まあ、かもな。」



それだけ言うと、他の寮員のところへ向かう。

だいたいいつものパターンなので、御津葉は苦笑いしてつぶやく。



「まったく、相変わらずねぇ。」



御津葉はそう呟いて、きいの後を追った。







ピリリリリリ


きいはスマホの着信音で目を覚ました。



「~もしもしー。」



寝ぼけ眼で電話に出ると、佐久の声がきいの耳を直撃した。



「きい!早く来い!」

「!?」



その言葉に、バサリと布団をはがして起き上がる。



「どこ?」

「稲美の方だ。急げ!」



プチッと通話を切ると、きいは光の速さで服を着替えて、窓の上から隣の家の屋根へ飛び移る。

本当はダメなことだが、緊急事態だけ通っている裏道だ。



トンッ


トンッ


トンッ



リズミカルに次々と屋根を飛び越えていくきい。


先ほど佐久が言っていた稲美とは、きい達の住む伏見町の南側に位置する地域のことである。






「あれか……。デカいな。」



きいが稲美に着くと、その橋近くの河原に巨大な真っ黒い怪物が。



「佐久兄!」



急いで近づいていくと、刀を手に怪物と戦う一人の男性の姿が。佐久である。



「きい!こいつなかなか厄介だぞ。」

「了解。」



シュッときいも、腰に差していたきいの愛刀、「空霊」と「天命」を手にして飛び上がる。



「それにしても、なんでこんな朝っぱらから。」

「さあな。だけど、こいつはどうやら『悲しみ』の感情で出来ているみてーだ。」



佐久は「春花」を構え直すと、きいに言った。



「きい、そろそろ人が増え始める。終わらせるぞ!」

「OK!」



二人がほぼ同時に飛び上がると、まず最初に佐久が叫ぶ。



「【花桜吹雪はなさくらふぶき】!」



すると、その瞬間、大きな黒い化け物の周りでものすごい花吹雪が巻き起こる。

化け物達が、花吹雪によって視界を奪われる。


その瞬間を待っていたかのように、どこからかきいが叫んだ。




「【空天霊命くうてんれいめい】!」




高く上空まで飛び上がっていたきいが、突如ものすごい速さで急降下して降りてくる。いや……




落ちてくる








「はあっ、はあっ…。」



さすがに疲れ切り、大きく深呼吸するきいの肩に、ポンッと佐久が手をのせる。



「おつかー、きい。」

「ったく、毎回毎回強力なクラが出てきたら呼びつけて……。」




『クラ』とは、龍精達と敵対している「黒亜こくあ」が、人の負の感情…例えば、「悲しみ」・「憎しみ」・「怒り」・「恨み」・「嫉み」…。

そう言った感情を使って、黒亜が造りだすのがクラ。操る人物の力量によって、大きさや形が異なる。




「まあ~、そのたびにすぐに駆けつけてくれるし。」

「うっ………。」



どきりとした表情になって、きいはぷいっとそっぽを向いた。



「うるせ。」



だが、おかまいなく小悪魔佐久が攻める。



「きいって、たまにツンデレな所もあるよなぁ。」


「っ……。」


「しっかり者だし、頼まれたら断れないし、女子を極端に避けるし。」


「……。」


「辛い物が、人にドン引かれるレベルに好きだし。」


「それはまったくカンケーねーだろっ!」


「女の子っぽい名前を、ちょっと気にしてるし。」


「……何が言いたい。」


「つまり、きいはいい子だってこと☆」



じゃあっ、と言って、佐久は来た道をひきかえしていった。



「なんなんだよ……?」



頬を赤く染め、あきれかえりながらきいも寮へと帰っていった。





きいが寮に着くと、いつの間にか仲良くなったようで、巴樹と御津葉が話していた。



「あれ?お帰りー、きい。」



よく見ると、横には奈濟さんの姿もあった。



「何やってるの?」



そう聞くと、巴樹が笑って言った。



「今、御津葉さんの好きな人のこと聞いてたんですよ!」

「ええ。私は途中から参戦させてもらったの。」



奈濟さんと巴樹が揃って「ねー♪」と御津葉を見る。



「な、ななな、なによ、その目は!!」



慌てふためく御津葉を横目で見ながら、きいは自分の部屋へ戻っていく。



(恋バナの続きは、女同士でやってよね。)



【ドラすく登場人物紹介コーナー】


七橋巴樹

十六歳。A型・身長162,1cm。

五行龍、風龍精

武器 扇「風華」


天然で鈍感、だが明るい性格。

体が少々弱く、激しい運動は避けている。

虫が大の苦手だが、理科の成績は良い方。

前世からの受け継ぎか、封じこめの力を持つ封じの姫。

だが、敬われるのが苦手なので、自分のことを知っている龍精には、必ず自己紹介の時に「巴樹と呼んでください。」と言っている。

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