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混沌の代理戦争  作者: mhk
1章
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1-8

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ナターシャ


ナターシャは今、ンジャノメ盆地に向けて歩いているのです。ブラッドオーガ3人衆に今年の生贄になっちゃったのです。


でもおかしいのです。ンジャノメ盆地の様子がおかしいのです。普段いるモンスターたちが全然いないのです。それどころか、待ち合わせの場所についても全然ブラッドオーガさんが来ないのです。人質になってる、女の子たちが殺されちゃったんじゃないかと思って凄く怖かったのです。


しょうがないから、ブラッドオーガたちが普段寝床にしているところに行ってみたのです。そしたら、なにか建物があったのです。なんだか、嫌な感じがするのです……。でも、ナターシャたちのことを呼んでるようにも思えるのです。


「ナターシャどう思う?」

今話しかけてきたのは、ナヴィア兄ちゃんなのです。ナヴィア兄ちゃんは、時々ナターシャの意見を聞いてくることがあるのです。ナターシャは思ったことを全部言うように言われているので、ちゃんといいます。ナターシャはいい子なのです。

「なんだか、嫌な感じがするのです。でも、なんだか、呼ばれているような感じがするのです」

「ふむ……。お爺、どう思う?」

お兄ちゃんが、話しかけたのはハジャお爺。ホシミ族一番の物知りで薬を作ってくれるのです。

「もしかすると、伝説で謂われている使徒様かもしれんなぁ。確か、そろそろじゃろ?」

「確かに、そういうことならナターシャが呼んでると感じても不思議じゃない」

ナヴィア兄ちゃんは時々ナターシャの話を信用するけど、お兄ちゃんはホシミ族一番の狩人なのです。ナターシャの話を信用するのはどうかと思うのです。

「あの……。それで、入るのですか?」

この子は、ナターシャのお世話してくれる女の子なのです、ナターシャは偉いからお世話係がいるのです。この子はまだ成人前だから名前はないのです。

「俺は、入るべきだと思うな」

「儂もそう思う、何かあろうがなかろうが、とりあえず入ってみるべきだろう」

「……わかりました、ナターシャ様のお傍について行きます」


建物中に入ると、地下に降りていく階段がありました。下には、池がありました。なんだか、地下なのに地下じゃない感じなのです。

「お爺、これは……」

「あぁ、ダンジョンじゃろうな。これは……。使徒様である可能性が高くなってきたの」

お爺は、物知りなのです。

しばらく進むと、空気が変わってきたのです。なんだか、力が抜けていく感じがするのです。

「ナヴィア兄ちゃん、なんだか、空気がおかしいのです。あと、何かが見てるのです」

「なに!?早く口を覆え、空気をなるべく吸うな」

「儂は、薬の準備をしておく。周囲の警戒を頼むぞ?」


しばらくすると、周りが見えなくなったのです。すると、名無しの女の子がいきなり倒れたのです。

「う……あ……」

「お爺、麻痺なのです!」

ナターシャは咄嗟に叫んだのです。ナターシャも昔、麻痺にかかったことがあるのですぐにわかったのです。

「よしきた!」

お爺が、麻痺の解毒薬を打ち込んだのです。直ぐに名無しの子の体に力が戻ってくるのです。流石お爺、いい薬を作るのです。

「あの……その……。ありがとうございました」

名無しの子が頭を下げたのです。感謝することはいいことなのです。

……何かが名無しの子のところを見ているのです……。

「ナヴィア兄ちゃん来るのです!」

ナターシャはまたしても叫んだのです。ナターシャ今日はよく叫ぶのです。

ナヴィア兄ちゃんが、襲ってきた蜘蛛のモンスターの頭を貫いて爆発を起こします。これは、ナヴィア兄ちゃんのスキルなのです。ナヴィア兄ちゃんは、獲物の肉質が落ちるって嫌がっているけど、ナターシャはかっこよくていいと思うのです。


また、しばらく進んでいくと、今度は牛みたいなモンスターがこっちに駆けてきたのです。ナヴィア兄ちゃんが受け止めたのです。流石なのです!

……何かが、ナターシャのところを見てる気がするのです……

とりあえず、その方向に拳を突いてみるのです。

お?スライムっぽいモンスターを貫いたのです。ふふーん。ナターシャはこれでも、近接戦闘が得意なのです!

何度か、スライムを貫いているうちに、ナヴィア兄ちゃんたちが怒ってきたのです。

「不意打ちばかりとは、卑怯ではないか!!」

「まったくじゃ、古の使徒様は勇猛果敢に戦ったというのに……」

確かに不意打ちは卑怯なのです、ナターシャ達は狩の獲物じゃないのです。

そうこうしているうちに、またお庭みたいなところについたのです。今度はお水が枯れちゃってるのです。

って、あれ?通路をスライムに塞がれちゃったのです。


加藤 恭弥


転移をする前に、もう一度整理しよう。

相手は混沌の勢力である可能性が高い。こちらの目的は、ナイフの素材となっている鉱石類や、薬品の材料となっている植物の継続的な入手。そのために、協力関係を結べるといい。今思ったけど、隷属させるってのも手か?いや、相手の規模がわからないから何とも言い難いな。相手の目的は不明。こちらから出せるものはない。つまり、相手の要求を全て受け入れる必要がある、ということだろう。こちらの誠意を見せるのが今回は重要だろうから、出来る限りのことは受け入れるつもりである。


「ようこそ、我らのダンジョンへ。ダンジョンマスターの加藤恭弥だ」

まずは、通路を塞がれて戸惑っている侵入者に名乗りを上げる。

「俺は、ホシミ族一の狩人、ナヴィアだ。単刀直入に問おう、貴様らは使徒様か?」

マッチョがナヴィアか……。しかし、使徒を知っているとは。伝説でも残っているのだろうか?

「そうだ。俺たちは混沌の使徒だ。こちらからも言わせてもらおう、交渉がしたい!」

「そうか、貴様らが使徒様か……。こちらとしては、交渉については問題ない。しかし、その前に問いたい。何故あのようなことをした!」

ん?奴ら、何故か怒っているぞ?とにかく、何を怒っているのかを聞かないとな。

「ここに閉じ込めたことか?」

「違う!先ほどからダンジョン内でモンスターに襲われているが、何故どのモンスターも正々堂々と戦わない!?我らとは戦えないというのか?それとも、貴様らが弱いのか?どちらだ!!」

あぁ。蛮族にありがちな、戦闘信仰って感じか……。多分、不意打ちは狩、戦いは正々堂々とってかんじなのかな?

「なるほど。正々堂々と戦わなかったか。貴公らから見れば、狩られる立場にされたという事を怒っているのか?」

「ああ、そうだ」

ほら、やっぱり。

「では、言わせてもらおう。我々は、最大限の敬意をもって貴公らを迎え撃った。何度も不意打ちを行って、貴公らの戦力を測り確実にこちらが勝てるように手を打った。我々は、どんな相手だろうと、確実に勝てる手段を講じる。それが最大限の敬意だと考えている」

「なるほど……。そういうことか……。しかし、我々としても、貴様らの強さを見せてもらわなければ、貴様らが弱いという疑問をぬぐいきれない」

やはりそう来たか。まあ、予想はしてたんだがな……。これが、恭一の言っていたテンプレというやつか、なるほどなかなか面白い。

「ゆかり、頼めるか?」

「もちろん、そのつもりでここにいるよ」


小鳥遊 ゆかり


「貴様のような、女一人で大丈夫か?」

あたしは、これでも3人のなかじゃ直接戦闘力は一番高いんだから大丈夫に決まってるじゃん。

「ナヴィアさんこそ、一人で大丈夫?そっちの女の子と一緒に戦っていいんだよ?」

なんかムカついたので言い返す。ナヴィアさんは明らかにイラッとしたようでちょっとスッキリした。お、重心が下がったね。くるかな……?

<ゆかり、ベインを使え。最善の手を使って圧勝することが条件だ>

恭弥君から念話が来る。さっき、最善手を打つのが礼儀って言ってたしね、そういうことならしょうがない。ベインを使おうかな。



「ぬかせ!」

そういうと、ナヴィアは地面を蹴って一気に近づいてくる。ナイフは背中に隠したままだ。

「ベイン!」

ゆかりはその言葉と共に背中に隠れていたベインに指示を出す。ベインは、背中から前に出るとナヴィアの攻撃を防ぐべく最大出力で結界を前方に展開する。

ベインの結界は謂わば反射型。相手のエネルギーを反射することで、ダメージを相殺させる結界である。この2カ月でアルテナとベインとの結界に差が出始めた。因みにアルテナは、受け流し型の結界である。

背中に隠していたナヴィアのナイフが、ベインの結界にぶつかる。短期決戦を狙っているのだろう、ナイフは火をまとっている。しかし、ベインの結界は反射型である。ナイフの火は、火同市で打ち消しあって、結界にはじかれてしまう。

「ベイン!」

ゆかりがそういうと、結界を解除しベインはその場の空中で後方宙返りをしてゆかりの後方に移動する。ベインがいなくなった位置を、ブラッドオーガから奪ったゆかりの剣が下から上に打ち上げるような軌道で通る。

結界にナイフをはじかれ、更に剣によって打ち上げられたナヴィアの体制は完全に後ろに傾いていた。

ゆかりは、そこでナヴィアの頭をつかみ地面に叩きつける。

地面に仰向けに叩き受けられたナヴィアは、肺の空気を一気に体外に吐き出し一瞬硬直する。

そこを、ゆかりは逃さずナイフを握った手首を足で押さえつけ、剣を首元に突きつける。


「降参してくれるよね?」

あたしは、ナヴィアさんにそう問いかける。ナヴィアさん達ホシミ族は戦いに神聖性を見出しているから、素直に降参するだろう。

「あぁ、降参だ。俺の負けだ。しかし、その剣はブラッドオーガのものだろう」

「え?どうしてそれを……」

疑問を投げかけたあたしの言葉は最後まで続かなかった。

「何か来るのです!!」

ナターシャと呼ばれていた女の子が叫んだからだ。その次の瞬間、スライムの壁が崩され1匹のドラゴン中庭に入ってくる。

「恭弥殿!これはどういうことですかな!?」

お爺さんが、恭弥君に向かって叫んでいる。あ、そうか。ダンジョン内にいるダンジョン生まれのモンスターはダンジョンマスターに絶対服従だったんだっけ?

「このダンジョンのモンスターは、スライム以外は外から侵入してきた奴らを放しているんだ」

その言葉にお爺さんが唖然としている。まあ、確かに自分の家に強盗がいるようなものだからね。

「恭弥君、下がって。あたしがやる」

「いや、いい。俺がやろう。ナターシャと言ったか……。貴公は、そこの幼女を守っていてくれ。気絶しているぞ?」

あ、本当だ。幼女が気絶してる……。というか漏らしてない?恭弥君紳士だなー、あたしだったら絶対に指摘するよ。

「了解なのです。って、あーこの子漏らしちゃってるのです……。かわいそうに……」

えー、折角恭弥君の言わなかったことをわざわざ言っちゃうのか。恭弥君もなんだか微妙な顔してるし……。


それより、恭弥君は戦闘能力がとても低いのにどうやって戦うんだろう?

とっても楽しみだ。

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