表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
混沌の代理戦争  作者: mhk
1章
4/17

1-4

1-4


異世界、ゴッヅガーデン。この世界には、6つの大陸が存在する。善神ジャスティアが治めるジャスティス、悪神エヴィルの治めるイヴィル、混沌神カオスが治めるカオス、3神が緩衝地帯として作り出した最大の大陸アルカディア、第1回代理戦争の記念で作り出された大陸ワコク、探検家ユリウスが50年前に発見した隠された大陸ユリウス。代理戦争に際して、使徒は陣営ごと必ずジャスティス、イヴィル、カオスに転移し、そこを本拠地として活動する。ここでは、混沌の大陸カオスの様子を見てみよう。カオスは魔獣大陸と言う異名が付くほど魔獣が多い。魔獣、モンスターと呼ばれるこの生き物は、魔力が溜まった場所から自然発生し、どの陣営にも属していない例外的な生物で、定期的に駆除しなければ魔力がなくなるまで増え続ける。つまり、カオスは他の大陸に比べて明らかに駆除が進んでいないという事だ。住んでいる人間も、沿岸部に居を構えた他勢力のハンター達、蛮族と呼ばれる混沌の勢力に属する狩猟民族のみである。この蛮族も定期的にやってくるハンター達によって数は減少傾向にあった。そんな、魔獣はびこる大陸の奥地、密林で且つ周囲を山に囲まれた盆地に恭弥、未来、ゆかりの3人は転移した。


加藤 恭弥

これはひどい……

見渡す限りの木木木、木の切れ間からかすかに山が見えている。どうやら盆地に転移したらしい。箱の話を聞く限り、ここは混沌大陸カオスの中でも特に高レベル帯のモンスターがうろつく場所らしい。いくら使徒が強かろうと所詮はレベル1だし、ゆかり以外は戦闘特化ではない。ここでモンスターとエンカウントしたら、確実に俺が足手まといになってしまうからな。早いところ、ダンジョンを作ってしまわないと……

「未来、ゆかり。モンスターに見つかる前に、早くここにダンジョンを作ってしまおうと思う。幸いここは周囲を山に囲まれた盆地だから地下水源も期待できる」

「うん、了解。あたし達は何をすればいいかな?」

「まだ、特にしてほしいことはないな。強いて言うなら、食料調達だな」

「そっか。じゃあ、食料調達のついでにレベル上げをしようかな」

「あの……私も同行していいでしょうか」

ほう、未来が自分から名乗り出るとは珍しいな。兄としては、出来る限り近くにいて欲しいわけだが、ここは未来の意思を尊重しよう。決して、ゆかりと友達になってほしいとかそういうわけではない。

「そうだな、ゆかり一人だと回復の手段がないからな。未来ついて行ってやってくれ。その間に俺はダンジョンを完成させておく。ダンジョン内で死んだ生命体はダンジョンマスターが倒した判定で、経験値を得ることができるから、俺のことは気にしないでガシガシレベルを上げてきてくれ」

「わかった。じゃあ、行ってくるね!未来ちゃん、いこ?」


そう言って2人は森の奥に走り去っていった。

ダンジョンマスターの職業を手に入れたことでダンジョンのことはなんでもわかる。

「さて……ダンジョン、作るか。ダンジョンクリエイト!」

そういうと、どこかの小部屋に転移する。これが、知識の中にある、ダンジョンの心臓部にあたるマスタールームだろう。

そこのある、半透明のクリスタルから指示を出しダンジョンを作成していく。


ダンジョンについて簡単に説明しよう。ダンジョンは、ダンジョンマスターが作ったものと魔力が溜まった場所に出来る物の2種類ある。つまり、ダンジョンの中と言うのは、魔力に溢れているのだ。そのため、当然自然とモンスターが湧き出す。また、魔力が周囲に影響を及ぼし、塔や洞窟などを形作る。そして、ダンジョンマスターの居るダンジョンはダンジョンましたーの魔力に溢れているため、ダンジョンマスターの好きなようにダンジョンを形作ることができるのだ。また、同時にそこで生まれたモンスターもダンジョンマスターに絶対服従となる。また、同じ理由で、ダンジョン内で死んだ生物はダンジョンマスターも倒した判定になるため、ダンジョンマスターにも経験値が入ることとなる。レベルが上がると魔力がおおくなり、更にダンジョンを拡張できるということだ。以上のことからわかるように、計画性をもって拡張されていくのがマスターの居るダンジョンで、マスターの居ないダンジョンはどちらかに偏っていることが多く、高難易度のダンジョンには必ずと言っていいほどダンジョンマスターがいる。

これだけ聞くとダンジョンマスターという職業がとても強いように見えるだろう。しかし、ステータスは魔力特化のほかは下の下。また、魔法の類もダンジョンクリエイトの一種類だけである。もちろん、ダンジョン内ならば自分の体内のようなものだから、トラップを設置したり肌に触れているものと一緒に好きな場所に転移できたりと多くのことができる。しかし、外に出ると基本無能なのである。


さて、今回つくるダンジョンは、何もない。正確には寺院型のダンジョンだが入り組んだ回廊と仏像の安置場の本殿、中庭が永遠とつながっているだけだ。また、こちらからは、モンスターも自分からは保守管理用と特殊作戦用以外は作らないつもりだ。ダンジョン内には、魔力があふれているため、そこにはモンスターが集まりやすい。つまり、ダンジョン内で相手を迷わせ弱体化させたところを、撃つというのが基本のコンセプトだ。また、モンスターを外部から呼び寄せるため、たとえ、モンスターが倒されたとしても、俺には経験値が入ってくるだけで、得しかしないのである。保守管理用のモンスターと言うのは、壁や床、天井などの傷を直すことで、ダンジョンから特徴をなくす。迷わせることが目的だからね。特殊作戦用のモンスターと言うのは、いわば未来とゆかりの護衛、侵入者の持ち物を持ち去ることを目的としたモンスターだ。未来とゆかりがこのダンジョンの最大戦力になることはほぼ確実だから、不意打ちなどでやられてしまっては、もったいないのである。また、相手の食料・水を奪うことによって、相手の衰弱を早めさせるのは、常套手段だろう。


さて、そうして出来上がったのが盆地全体の地下50mにわたって張り巡らされたダンジョンだ。ダンジョンを拡張するだけって意外と魔力を食わないのか……。さて、回廊は不意打ちと通常戦闘、本堂はモンスターの住処、中庭は水などのある場所。しかし、大半の中庭の池は枯れており、しかも中庭と中庭の間は最短距離でも2日の位置にあるため、とても遠い。そのため、常にモンスター同士が争いあうような設計になっている。蠱毒のように、強いモンスターを作ることができると同時に、侵入者が水を手に入れるのを防ぐ役割をもっている。そして、なにより、マスタールームまで最短距離でも100㎞以上歩かなければいけないダンジョンである。ダンジョンマスターの俺ですら転移なしだと確実に迷うこの構造は、自信をもって防衛機能があるということができる。


さて、次はモンスターを作り出すことにしよう。


小鳥遊ゆかり


あたしは、異世界に飛ばされてからずっとワクワクしっぱなしだ。それはもちろん、強いモンスターがうじゃうじゃいるからだ。侍のスキルの気配察知にはさっきから、自分より強そうなモンスターがかかりっぱなしで面白い。そういうわけだから、早速狩に行こうとしたら未来ちゃんがついてきた。足手まといかなとは思ったけれど、確かに回復役は必要だししょうがないかなとも思う。それにしても珍しいね。未来ちゃんは絶対恭弥君のところに残ると思ったんだけどね。


「それにしても、未来ちゃんどうして残らなかったの?」

「そのことですか……なんででしょうか。私も改めて聞かれるとわからないんです、どうしてか……。でも、決してお兄様と離れたいとかそういうことではないんです。多分、今までお兄様に守られてきたから、今度は私が守ろうって思ってるのではないかなと、何となくそう感じています」

ほほう、確かに、ダンジョンマスターはダンジョン外だととことん使えない職業だからね。

「もしかしたら、弱いお兄様を小鳥遊さんから守る力をつけようって思ってるのかもしれませんね……」

「未来ちゃん、そんなこと言っちゃっていいんですか?」

「ええ。小鳥遊さんが仲間として本当の自分を曝け出してくれたんです。私も隠し事はしないようにしようと思ったんです」

確かに、自分の持つ異常性……殺し合いが好きっていうのを言ったとき、やっぱり内心は受け入れてもらえるか怖かったから。やっぱり、未来ちゃんはなんというか鋭いところがありますね。これでも、ポーカーフェイスとか考えを隠すのは得意だったはずなんですけど……

「ありがとう、未来ちゃん。ところで、せっかく仲間になったんですし、下の名前で呼んでくれないかな?」

「う……それはちょっと、抵抗あります……。でも、頑張ってみます!えっと……ゆ、ゆかりさん」

最後恥ずかしさで声がちっちゃくなるのもかわいいな。お兄さんたちが溺愛するのもわかる気がする。さて、そろそろ、敵もといモンスターが待ち構えているところまで来てしまった。勢いで出てきちゃったから、武器を持ってくるのを忘れちゃったけどまあ多分大丈夫でしょ!それにしても、未来ちゃんもあたしが武器を持ってないことを何も言わないのは天然なのか、それともワザとなのか……


それじゃあ、あたしの力がどのくらい通じるか、やってみようかな!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ