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うねりとおっさん

台風。まただよ(笑)


テストを終え、アジトへ帰還した私。

そして修行へ入る前に、まずは身辺整理を行うことになった。

私はまず帝国に赴き、無事を報せなければならないだろう。

問題はその際に、どこまで事情を話すべきかという事だ。

ここにいる私達で方針を決めておかないと、動くに動けない。


「これから儂らは女神――エリンと戦うことになる。問題はこの戦いを諸国に公表するかどうか。儂は元々1人で戦うつもりじゃった故、この事態は想定しておらんかった。お主らの意見を聞きたい」


アジトの会議室にて、タケルヒコ様の言葉から話し合いが始まった。

最初に口を開いたのはサクヤさんだ。


「素直に全部話すのではいけないのでしょうか? 事情を知ってもらえれば、協力して頂けることもあると思います」

「協力と言えば聞こえはいいが、悪く言えばこの件に巻き込むことになる訳じゃ。事情を知ればそれだけ危険が増す。エリンの癪に障り、害が及ぶ可能性は考慮すべきじゃろう」

「内緒にするというなら、ユウリシアさんと口裏を合わせなければなりませんね」

「それでも、エリンが他国を害さないということにはならないのではなくて?」

「それは……そうですね」

「八雷神の半数が敵方だったのでゴザルから、王国軍や帝国軍内部にも使徒がいると考えた方が良いのではゴザらんか?」

「儂もそう思う。というより、ヤマト以外の国の全てに使徒が潜伏していると見ておいた方が良い」

「それって結構ヤバいじゃん☆」

「じゃあ協力してもらうなら、その使徒探しからお願いしなきゃいけないんですね」

「協力を仰いだ者が使徒という可能性もあるがの」

「めっちゃめんどくさいですね!」


王国と帝国。

短い間ではあったが、色んな人と出会った。

その人達の中に使徒がいるかもしれない。

そんなことは考えたくはないものだが……。


「話しをするなら、女王様と皇帝さんだよね」

「後はマリアンヌさんとアシェリーさんでしょうか」

「……おっさんは、どうするべきだと思う?」

「……私は――




























――そうですか。事情はわかりました」


ガズラン帝国の城内にある一室。

そこに集まっているのは、王国の女王ロッテ様とマリアンヌさん。

帝国の皇帝アウストウラ様とアシェリーさん。

そして私とイブキさんだ。

その中で卓に着いているのは私を含め3人。

2人と同じ卓に着くのは恐れ多い、「立っている」と言った私の進言は早々に却下された。


「つまり、これまで魔王という存在を故意に生み出していたのは、その邪神によるもの、ということですね」


ロッテ様が、私の説明を掻い摘んで話してくれる。

結局王国と帝国への公表は、最も要人と親しいと思われる私に一任された。

そして、私の判断でロッテ様達にはある程度の真実を話すことになった。

ある程度。つまり公表を控えたことは、敵の親玉が元「エリン」ということだ。

これは「エリン」という女神がこの世界において多大な影響力を持っていることからだ。

元であろうが、まがりなりにも「エリン」であった者を敵とすれば、その信者達に不信感を抱かれる恐れがある。

その為エリンの名を伏せ、別の神。邪神という形で事情を話すことになった。

タケルヒコ様からの待った(・・・はその件だけで、後は何も言われなかった。


「ではその邪神を葬らなければ、これからも魔王が生まれ、望まぬ戦いが終わることはないと」

「その通りです。私はタケルヒコ様と協力して、邪神を倒すことに決めました。皆さんにはそのお力添えを頂ければと思っています」

「そうですか……」


物憂げな表情を浮かべるロッテ様。

何か思うところがあるのだろう。不安だ。

もしロッテ様が敵だったらと思うと、嫌だ。かなり嫌だ。


「実はわらわは敵なのです」


なんて展開は御免被りたい。いやマジで。


「ふふん。親友である勇者殿の頼みだ、僕はもちろん協力しよう!」


鼻を鳴らすアウストウラ様。

いつから親友になったのかは疑問だが、嬉しい言葉だ。

……ロッテ様はどうだ?

まだ口を噤んでいる。

さほど時間は経っていない筈なのに長く感じるのは、私の不安感の表れだろう。

その不安感を耐え切れなかった私は。


「……女王陛下はいかがでしょうか」


つい口を出してしまう。

頼む。


「あ、申し訳ありません。つい物思いにふけってしまいました。その……」


やめて。やめてくれよー。


「わらわ達で、勇者殿のお力になれるのか、不安で」

「え?」

「邪神の使徒には、魔王軍八雷神や2代目の勇者がいるのですよね。恥ずかしながら、わらわ達の力はその者達と比べれば非力と言わざるを得ません。そんなわらわ達に何ができるのでしょうか」

「あ、そんなことですか」

「え?」

「い、いえ、ゲフンゲフンッ。えーそうですね。この件をお話ししたのは、皆さんに自分の、ひいては自国を守って頂きたいからです」

「身を守る。ですか」

「ええ。お話しした通り、邪神は人の心に入り込むのが得意です。皆さんに接触して、害したり、味方に引き込もうとするかもしれません。そうなれば」

「勇者殿の敵が増えるかもしれませんね」

「そうです。それに、私の精神的にも良くない。邪神の企みを防ぐ為にも、まず皆さんには既に潜伏していると思われる使徒の捜索と、新たな使徒が生まれないように監視をお願いしたいんです」


申し訳ないが、正直に言えば戦力として期待できないのは事実。

こちらとしても矢面に立って欲しいとは思っていない。


「だめ……でしょうか」


何より。死んで欲しくない。


「ふふっ」


ロッテ様の笑み。マジ天使です。


「相変わらずですねヨシオ様。わかりました。非才の身でありますが、ご助力致します」


……うん。やっぱり名前で呼ばれるのはいいね。


「そう深刻にならずとも、僕に任せておけば大丈夫さ!」


アシェリーさんが白い目で見ていますよ。陛下。


「では急ぎ、上層部にいる者から不審な点がないか調査を行います。マリアンヌ、いいですね?」

「承りました」

「発見した場合は、一度ヨシオ様に報告して方が良いでしょうか?」

「そうですね。私もタケルヒコ様と相談したいですし。使徒を見つけてもそれを悟られぬようにお願いします」

「了解した! 隠し事なら得意だぞ僕は!」

「そ、そうですね陛下。で、では連絡手段や細かいお話しを――」


























「ふう。やっぱり偉い人と話すのは緊張するな」

「お帰りなさいヨシオ様」

「おかえり。どうだった☆」


置き去りにしていた我が家に帰ると、2人の美少女が出迎えてくれる。


「ヨシオさん。私もいますよ」


羽虫がはためくのが煩わしい。

羽根を摘んで、軽く振り回してからポイする。

と、「なじぇ!?」と言葉と共にふらふらと床に落ちた。南無。


「どうでしょう。どうでしたイブキさん」

「問題なかったと思います」

「じゃあ上手くいったんだ。よかった☆」

「後はおじい様の方が上手く行けばいいんですけど」


帝国に来たのはパーティにイブキさんを加えた4人と1匹。

そしてタケルヒコ様は、ユウリシアさん達と一緒に魔王国へ向かった。


ユウリシアさんは大変だ。

なにせ最高幹部が半分もいなくなったのだ。

魔王軍内の混乱は相当なものだろう。

軍を再編成し、各地に駐留している軍隊をまとめなければならない。大変だ。

しかもそう言ったあれこれを行っていたのはあのピエロの人だったらしく、とてもユウリシアさんにはできそうにない。

という結論に達し、タケルヒコ様があちらに付いて行くこととなった。

まあ魔王軍には他にも使徒が潜伏していると思われた為、2人だけで帰すのは危険だからという理由もあった。

タケルヒコ様がいれば、なんとかしてくれるだろう。

あちらの方が時間が掛かるだろうから、本格的な修行はそれが終わってからだ。

それまではタケルヒコ様からの宿題・・をこなしながら待つことになった。

時間を無駄にしないよう、私も準備しないとね。


先立って、王国に戻るとしますか。



王国へ。イブキさんが転移で送ってくれるそうです。

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