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アイドル?とおっさん

更新遅くなりました。

GWはいかがでしたでしょうか。

おっさんは仕事でした(泣)


見た目は中学生ぐらいか?

大きなリボンに大きな螺旋を描いたツインテール。フリル多めのお姫様の様な服、をミニスカートにした感じだ。

そしていかにも楽しそうに歌って、踊る。非常にキュートじゃないか。

ナウなヤングにバカウケって感じだな。……違うか。

しかし彼女を周りを包むこの一体感はなんだろう。


「もう一回!」


「わーたくしこーそ!」 「「「最強!」」」


「わーたくしいがい!」 「「「NONO!」」」


「わーたくーしーにまーかせなさーい!」


「カクゴ☆を決めて、おなおり! ですわ!」


もう1フレーズ追加された。


「まだまだいきますわよ!」


まだやるのか。

しかし周りの人は嬉々としている。

だ、だめだ。ノリに付いていけない。おっさんだからか。

とりあえずルミさんとサクヤさんを探そうと、辺りを見回す。

と、ノリノリで合いの手入れていらっしゃる2人と1匹がいた。

完全に輪の中に入っているではないか。というか最前列だ。

私はこそこそと動き、ルミさん達の所まで辿り着く。


「ルミさん、サクヤさん。とエーリンさん」

「イエーイ!! っておっさんじゃん」

「あ、ヨシオ様。おかえりなさい」

「ヴェイヴェイ! ヴァーイ!」


声を掛けると動きを止める2人。1匹はテンション上がり過ぎておかしなことになっているので放っておく。


「ただいまです。あの、つかぬことをお聞きしますが、この状況はいったい」


まだ歌っている少女に視線を促す。


「んー? わかんない☆」

「はい?」

「ここに来た時にはあの子がみんなに色々教えててさ、なんか楽しそうだったから混ぜてもらったの☆ なんでもああやって旅をしてるらしいよ」

「こんな音楽初めて聞きました。なんだか元気が湧いてくるんです~」

「ヴァーイ!! サイキョーデース!!」


元気って言うか、なんかぶっとび過ぎている人もいるのですがそれは。

残念な目でエーリンさんを見ていたら、丁度区切りがついた。


「センキューですわー!」


笑顔で手を振る少女に歓声が上がる。


「いや~なかなか楽しめたよお嬢ちゃん」「聞きなれない音楽だったけど、こういうのもいいな」「お姉ちゃん歌上手だね!」「変わった格好だけど」


「みなさんもなかなかのものでしたわ!」


町の人達が口ぐちに少女を褒め称える中、少女も笑顔で応えている。

随分気に入られた様だ。

確かに人を引き付ける様な魅力がある。というか単純に目立つ。


「ねえねえおっさん。あたし達も話しに行こうよ☆」

「え? ああ、そうですね」

「行きましょうヨシオ様~」


2人に連れられ、少女の下を訪ねる。


「ヤッホー☆こんちわ!」「こんにちわ~」「こんにちわ」

「あら、ごきげんようですわ!」


私達の声掛けにも笑顔を振りまく少女。

うん。元気で可愛らしい子じゃないか。


「今の歌すっごくよかったよ! あたしルミエール、ルミって呼んでね☆」

「サクヤです~。私も楽しませてもらいました~」

「それはよかったですわ! わたくしはユウリシア! シアって呼んでくれてもいいですわよ!」

「そっか☆ よろしくねシア!」

「それで、そちらはどなたですの?」


こちらに目を向ける少女。私か。

正直、あのノリに付いていけなかった私としては、あまり感想がないので。


「私はヨシオと言います。その、すごかったです」


と、しょうもないことしか言えないのであった。


「……そう。宜しくお願いしますわ」

「こちらこそ」

「ねえねえ☆ シアはどこから来たの? この辺りの子じゃないよね?」

「わたくしは共和国からですわ。歌を歌って旅をしていますの」


共和国。次なる目的地じゃないか。


「1人で?」

「ええ。こう見えて腕は立ちますのよ」

「ふわ~。すごいです~」


胸を張る少女。確かに見た目はあれだが、自慢するだけの魔力を感じる。心得はあるのだろう。

旅芸人てやつなのかな。

そのまま雑談をする3人を1歩引いて眺める。


……まあ、このタイミングで警戒しない訳がない。

帝国はつい数日前まで魔王軍の侵攻を受けていたのだ。

そんな国に好んでやってくるとは思えない。

感じる魔力の質からして魔族ではなさそうだけど。

敵じゃない保証はない。


「そういえば、今この国に勇者がいるって本当ですの?」


何気ない会話の中、ふと旅の少女――ユウリシアさんが呟いた。


これは……私を探しているのか、それとも単に珍しいから出た言葉なのか。

このことは町の人でも知っていることなのだが、敵かもしれないと言う先入観から、つい頭に引っ掛かって躊躇してしまった。

ルミさんはそれを感じたようで、僅かに緊張が走った。

サクヤさんはのほほんとしている。


「なに言ってるんですか! ここにいるヨシオさんこそが7代目勇者なのです!!」


矢先、テンション高めのエーリンさんが叫んだ。

お前が言うんかい。絶対この人何も考えてないぞ。

そんなエーリンさんの言葉を受け、きょとんとした顔で見つめられる。


「……ええ。一応、勇者をやらせてもらってます」

「まあ! あなたがあの勇者ですのね! 見た目がしょぼいので気付きませんでしたわ!」


しょぼ……。

随分直球に言う。


「勇者を見たら絶対に気付く自信がありましたのに、ショックですわ」

「まー確かに勇者っぽくはないよね☆」

「で、でも、ヨシオ様はとてもかっこいい勇者様なんですよ~」

「そうですわね。お噂はかねがね耳にしておりますわ」


んー。なにかとげがある気もするが、よくわからないな。


「シアは泊まる所は決まってる感じ?」

「まだ決まっていませんわ」

「じゃあさ、あたし達の所に来ない? おっさんが作った家があるんだ☆」

「まあ! いいんですの!?」


悩んでいると、ルミさんが少女を家に招待すると言う。

え、ちょ、ちょっと待って。


「ル、ルミさん、ちょっっと」


ルミさんを引っ張り隠れて話す。


「ど、どういうつもりですかルミさん」

「おっさんあの子のこと気がかりなんでしょ? だったら下手に放置するよりも傍においといた方がいいかと思って」

「あ、ああ。そういうことですか」

「あの子、魔族じゃないと思うけどなにか混ざってる気がするし」


私にはわからないが、ルミさんが言うのならそうなのだろう。

目の届く所にいた方がいいと言うのは一理ある気がする。

本当にただの旅人なら、そう無下にすることはない。


「わかりました。そうしましょう」

「おっけおっけ☆」


ポンポンと肩を叩かれ、ルミさんはユウリシアさんの所へ戻った。


「おっさんもいいってさ☆」

「それはよかったですわ」

「それじゃ、もう一仕事しよっか」

「そうですね~」

「なにをするんですの?」

「作るんです」

「?」

「芋」

「……イモ?」

「芋」


このあとめちゃくちゃ芋を作った。













































「疲れましたわー……」


我が家。

リビングのテーブルにうな垂れるユウリシアさん。


「頑張って手伝ってくれたもんね☆」

「私も慣れるまでは辛かったです~」


あの後、芋作りを再開した私達。ユウリシアさんはそれを手伝ってくれた。

最初の頃のサクヤさん同様、ユウリシアさんも芋ほりには苦戦していたので、余計疲れたようだ。


「でもお風呂も気持ちよかったですし、あんなにおいしいご飯も頂けたのですから頑張った甲斐があったと言うものですわ!」


そう。今はお風呂に入ってもらい、食事も済ませたところだ。

結局ここまでを見た限りでは、敵とは思えない、普通の女の子だ。


「シア、ちょっと聞いていい?」

「なんですの?」

「シアはなんで旅をしてるの?」


合間などに、ちょこちょこ素性を探るようなことを聞くルミさん。

やはりまだ安心できないと言うことなのだろうか。

しかしいやらしくない程度に、そういう空気を読んで話を切り出すのは流石だ。

私では相手に不快感を与えてしまうだろうから。ありがたい。


「そんなの決まっていますわ! わたくしの歌でみなさんを笑顔にしたいのですわ!」


即答だった。

嘘をついているようには見えない、清々しい回答だ。


「……確かに、シアには人を元気にする力があるかもね」

「そうでしょう!? わたくしの目標は、世界中のみんながわたくしの歌や踊りを楽しんで、仲良くしてもらうことですわ!」

「それは人族や魔族も含めてってこと?」

「もちろんですわ! わたくしは歌に国境はないと思っていますの! それがわたくしの覇道ですわ!」


覇道。なんだかすごい言葉を使うな。

正直内容としては嘲笑を買ってしまう様な内容だ。

でも、この子から伝わる真剣さが、真摯さが、とても笑うことを許さない。

そんな胆力を感じさせる。ついでに魔力も漏れてる。


うん。もう良しとしよう。

私はもうこの子を応援したいと思ってしまっている。

疑うよりも、信じて裏切られた方がいい。


こんなことを言っておいて、ルミさん達を傷付けるようなクズであったなら、それはそれで躊躇なく殺せる。


私はルミさんに静かに頷く。

ルミさんも私の考えをわかってくれたようで、緊張の糸をほぐすように大きく息を吐いた。


「シア、ありがとう。あたしは応援するよ☆」

「す、すごい夢です。私も応援してます~」

「どんな夢でも見るだけなら自由ですもんね!」


おいくそ妖精。なんかこういい感じだったろ。もうちょっと空気読め。


「ありがとうございますわ! その言葉だけでわたくしの力になりますわ!」

















































「――なんて感じで、めでたしめでたしと思っていたのですが」


私のいる場所は暖かいベッドではなく、見知らぬ土地のどでかい野球場の様な場所。

観客席と思われる場所にはいくつかの強い魔力。

そして目の前には。





「わたくしが第六天魔王! ユウリシア・ヘルモルト・ヴァン・フリューゲル・ダオ・アストレア! ですわ!」






くそう。頭が痛くなってきた。



魔王。降臨す。

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