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戦いの後とおっさん

ちょっと入院することになりました。

ので書けるだけ書ける!ひゃっほい!


夢を見ていた。

私がアルマゼルさんをボッコボコにする夢だ。

そしてその後には、ひょこっとエーリンさんがやってきて「流石私の選んだ勇者です!」と得意げに言うのだ。

そうであればどんなにいいだろうか。

エーリンさんが消えた後のことはあまり覚えていない。

私はどうやら生きてはいるようだけど。

体がだるい。

目も開けたくない程に。

あれからどうなったのだろう。

アルマゼルさんはやっつけたのだろうか、それとも帰ってくれたのか。

エーリンさんは……。

だめだ。

目を背けたい、けど、私の責任だ。

私にきちんと戦う覚悟があれば、エーリンさんは死ななかったかもしれない。

向き合わなければ、エーリンさんに合わせる顔が無い。

ゆっくり目を開ける。




















「あ、やっと起きましたね!」


















そっと目を閉じる。

まだ夢を見ているのかな。

そんな都合よく、ね。

だって完全に消え去ってたし、消滅してたし。

うん、これは私の妄想だ。

いくらエーリンさんと言えど、死んでしまったらおっさんも少なからずショックを受けますから。

よし、私は冷静だ。

目を開ける。


「まだ眠いんですか?」

「……」

「ヨシオさん聞いてますか」

「オバケですかあなたは」

「失礼な!ちゃんと生きてますよ!」

「だって、あの時消えたじゃないですか」

「あー、消えましたね。完全に」

「じゃあなんでいるんですか」

「忘れたんですか?この体は私の分身ですよ。本体にまったく影響がない訳ではありませんが、分身はまた作れますから」


……そう言えばそうだっけ。

エリン様とエーリンさんは頭の中でどうも結びつかないから忘れていた。


「じゃあ大丈夫なんですね」

「分身を作り直すのにちょっと時間はかかりましたけど、この通りです」


くるっと回ってみせる。

確かにいつものエーリンさんだ。


「あれー?もしかして心配してくれたんですかー?泣いちゃいました?」


……確かにいつものエーリンさんだ。


「泣いてませんよ」

「素直じゃないですねー。私の為にアルマゼルも倒してくれたんですよね」

「え、アルマゼルさんを倒してしまったんですか」

「ヨシオさんがやったんじゃないですか」

「……どうもあんまり覚えてなくて」


そうか、倒してしまったか。

そうか。

どうしよう。

殺すつもりはなかったのだけれど。

魔王軍の幹部を殺したとなっては、もはや和睦の道は途絶えたと言っていい。

できれば殺さずに抑えたかったけど。


目の前には笑顔の妖精族。


……勝てたのなら、良しとしましょうか。


「ところで、体が動かないのですが」

「魔力の枯渇で失神していましたからね。ある程度回復するまでは動けませんよ」

「そう……ですか。どれくらいで動けるようになりますかね」

「んー、ヨシオさんには【女神の加護】がありますから、普通の人より魔力の回復量は多いのでもうしばらくだと思いますよ」


魔力がなくなるとこうなるのか。

なんというか、すごく体がだるくてなにもする気がおきない。

なるべくこの状態にはならないように覚えておこう。


「ルミさん達が心配なのですが、エーリンさんは何かしっていますか?」

「私はヨシオさんを追うのに必死でしたから、ちょっとわかりません」

「なら早く戻らなくてはいけませんが……」

「まだ動いちゃだめですよ、というか動けないでしょ」

「口惜しいです……」


ん、地鳴りがする。

地面に寝ているのでよくわかる。

なにかが近づいてくる。


「エーリンさん。なにか近づいてきてませんか」

「え、んーと……あー、来てますね」

「なんですか」

「すぐわかりますよ」


そういうのいいから教えてよ。不安になるよ。

すると間もなく声が聞こえる。


「勇者様ー!勇者様ー!」


聞き覚えがある、マリアンヌさんの声だ。


「こっちですよこっちー」


エーリンさんが私の上を漂う。

地鳴りがどんどん近づいてくるのを感じる。


「勇者様!ご無事でしたか!」

「あ、はい。おかげさまで」

「よかった!ほんとによかった!」


私を抱き起すマリアンヌさん。

柔らかい感触が顔に当たる。

眼鏡が潰れてちょっと痛いけど、そんなことはどうでもいい至福。

魔力枯渇のせいかジュニアはピクリともしないけど。

そんなことはどうでもいい。

今この瞬間を堪能しよう。

しばらくなされるがまま。


「あ!アルマゼルはどうなりましたか?」

「ブモモ、モゴブモブモ」

「あ、すみません」

「ぷはっ。えーアルマゼルさんは倒しましたよ」

「本当ですか!?」

「ええ、たぶん」

「大きな光が天に向かって行くのが見えましたが、もしやあれが……」


まあ、あんまり覚えてないのだけれど。


「……勇者様には本当に感謝してもしきれません」

「いえ、私が勝手にやったことですから」


むしろ魔王軍との関係を悪化させたかもしれない。

もう知らんぷりはできないな。


「勇者様、魔力をほとんど感じませんが、枯渇しているのですか?」

「どうやらそうみたいです」

「そうでしたか。では私と共に王都にお連れしたいのですが、よろしいですか?」

「あ、そうして頂けると助かります」

「回復魔術師も連れてきておりますので、傷は馬車の中で、失礼します」


ひょいっと持ち上げられる。

所謂お姫様抱っこという奴だ。

子供の頃親にしてもらったかもしれないが、大人になってからは初めてだ。

それも女性に。


「随分お軽いのですね」

「きょ、恐縮です」

「ぷぷぷっ。ヨシオさんかわいいですねー!」


くっ、なんか恥ずかしいじゃないか。


「エーリンさんと言いましたよね。あなたも一緒に行きましょう」

「はいはーい!」

「勇者様を王都にお連れするぞ!くれぐれも失礼のないように!」

「は!」


一緒に来ていた部下の人達がめっちゃ見てくる。

好奇な視線を浴びながら馬車の中に入る。

やっと降ろしてもらえたが、


「……マリアンヌさん。これは?」

「揺れますので、お嫌でしたでしょうか」

「いえ、嫌と言う訳ではないのですが」


馬車に乗せてもらうと、マリアンヌさんに膝枕される形になる。

とても嬉しいのだが、視線が気になる。

向かいで回復魔術を掛けてくれている魔術師さんが真顔なのがさらに気になる。


「ぷー!クスクスクス」


おい。なに笑ってるんだ。

体が動けばほっぺたでもつねってやるのに。

ちくしょう。

馬車が揺れる毎に揺れるおっぱいを眺めながら王国に戻った。

































「勇者様がお戻りになられた!開門せよ!」


堅い門が開けられ、私を乗せた馬車が入国する。

と、地鳴りが起こる程の音が馬車に突き刺さる。

思わず上体を起こしたらマリアンヌさんのマシュマロに顔がめり込んだ。


「きゃっ」

「す、すみません!」

「いえ、大丈夫ですよ勇者様」


今度は慎重に乳房を避けて起き上がる。


「これは……」


国の大通りにはたくさん人達が集まっており、音は歓声であった。

大歓声だ。


「なにごとですか」

「皆、勇者様に感謝しているのですよ。アルマゼルを倒して頂いたからか幻覚も消え去ったようです」

「そうなんですか」

「はい、元々屋内に居た者は術に掛かっていませんでしたし、幸いでした」


よかった。この分だとルミさんも大丈夫そうだ。

しかし余程恐かったのか、集まっている人たちの安堵と歓喜の表情ったらない。

私は課長にちょっと怒られただけなのでピンとこないな。

この人達を助けてあげたという感覚もないし、なんと言うかひどい温度差だ。

馬車がやっと1台通れる程の道幅しかなくなった大通りを進む。


「そう言えば、なんで勇者がアルマゼルさんを倒したって知っているんでしょうか」

「それは私が早馬を出して事前に知らせておきましたので。あれを見て下さい」


マリアンヌさんが促す方を見ると、何やら掲示板の様な所に人が集まっている。


「あれは?」

「広報に使う為の物で、今あそこには勇者様が魔王軍幹部を倒したと言う内容の記事が書かれています。危機は脱したと」

「仕事が早いですね」

「ゆったりと帰ってきましたから。魔術を使えばそう難しいことではありません。国民も襲撃を受けて不安を募らせていましたから」

「そういえばバルログさん――あの魔獣はどうなりましたか?」

「あの魔獣は……勇者様がいなくなったのを見計らって逃げて行きました」

「あ、そうなんですね」

「こちらとしても捕縛する術はなかったのですが……口惜しいです」


結構本気で殴ったけど、以外に大丈夫だったみたいね。

んーあんなのがごろごろいたらやばいなー。

魔大陸って恐ろしい。


「あの、私の連れのこと、なにか知っていますか」

「も、申し訳ありません!報告が遅れました!お連れ様は国で保護しておりますので、今は城内におります!私としたことがもっと早くお伝えすべきでした。この無能な私めをお許しください!」

「そ、そうですか。あの、そんなに気にしなくてもいいですよ」

「本当ですか?お嫌いにならないですか?」

「はい、むしろ感謝しています。2人を保護して下さってありがとうございます」

「そ、そんな感謝だなんてそんな!めっそうもない!」


両手を前に出して顔を真っ赤にしながら手のひらを振る。

こんなしぐさを見せてくれるとは、だいぶ打ち解けれたのだろうか。

ちょっと恐かったのだけれど、まるで少女みたいだ。


「つかぬことお聞きしますが、マリアンヌさんておいくつなんですか?」

「今年で19になります」


10代!?うっそですよね!?

10代でその大人っぽさと乳は反則ではなかろうか。

いや、日本も昔は15歳で大人だったらしいし、世が世だしそんなものなのかも。

しかしこれは。25歳くらいだと思っていた。

私に女性の見る目がないだけかもしれないが。

ううむ、女性って奥が深い。

ショックを受けていると城にまで着いていた。


「歩けますか勇者様」

「ええ。だいぶ動けるようになりました。ありがとうございます」

「もしお辛いようなら私が抱き上げさせて頂きますが!」

「だ、大丈夫ですよ」

「そうですか……」


飼い主に怒られた子犬みたいになっている。

ここまで反応が変わるとこちらが戸惑ってしまう。


――もしかして私、惚れられた?


……何を考えているんだこのおっさんは。ありえない。

来世にすら期待できなさそうなこんなおっさんにこんな美女が惚れる訳がない。

来来来世ぐらいから出直すべきです。


「それでは勇者様、性急で大変心苦しいのですが陛下にご報告をお願い致します」

「わかりました」


今日歩いた道をまた歩く。

マリアンヌさんの話では、私の口からアルマゼルさんを倒したと報告すれば良いとのこと。

またなにかやじが飛ばなければいいけど。

ちなみに傷は治っているが服はボロボロだ。

このままでは失礼かと思い着替えなくていいか尋ねたが、雰囲気が出るからそのままでと言われた。

偉い人の考えることはわからない。


さて、女王陛下がいらっしゃる扉まで来た。


「勇者様、参ります」




次回はみんなでパーティなう。←なうはもう古いらしい。

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