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プレゼントと魔王軍とおっさん


エーリンさんと別れ、ルミさんとサクヤさんと王都を回ることにする。

2人は大通りで見かけた服屋さんに行きたいみたいだ。

やっぱり女の子だね。

ほどなくして服屋に到着し、あれだこれだと物色している。


「おっさん、これどう?」

「いいと思います」

「これはどうよ?」

「似合うと思います」

「これは?」

「ありですね」

「……これは?」

「あると思います」

「……もうちょっとなにかないわけ?」


なんだか不満そうなルミさん。

ですよね。

でもセンスのカケラもないおっさんに感想を求められても困る。

私なんて私服はYシャツとスラックス以外持ってなかったからね。

困っていると、綺麗な女性店員さんが声を掛けてくる。


「とっても可愛らしい方達ですね。娘様ですか?」

「ええ、まあ、そんな感じですかね」

「女の子の服選びは大変ですよね。でも、これはどうかと聞かれたら、素直に可愛いとか、とにかく褒めてあげれば喜ばれると思いますよ」


店員さんにもダメ出し、もといアドバイスを頂いた。

確かに声に出してはいなかったな。

当たり前過ぎて。

とにかくもう少しアクティブになればいいと言うことだろう。


「ヨシオ様、これはどうでしょう?」

「サクヤ、おっさんに言っても無駄――」

「可愛いと思います」

「ほんとですか!」

「はい、サクヤさんの可愛さがより引き立つと思います」

「そ、そうでしょうか、ふへへ~」

「これもいいですね。こっちのも可愛いです。サクヤさんはなんでも似合いますね」

「そ、そんなことないですよ~」

「いやいや、本当に可愛い。抱きしめたいくらいですよ」

「ふ、ふへへ、ヨシオ様ったら~」


おお。

なんかいい感じだぞ。

事実しか言っていないのだけれど。















「ねえ」















「はい?」


って、うお。

ルミさんすごいにらみつけてくるんですが。

なんなんだ。

おっさんのぼうぎょりょくがさがってしまう。


「あのさ」

「はい」

「なんか違くない?」

「な、なにがでしょうか?」

「だからさ、その、あたしとサクヤのさ、反応って言うか」

「はい」

「違うよね」


んん?

つまりどういうことだってばよ。

首を傾げる。


「……もういい」


あ。

























あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。

胸が痛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。

刺さるうううううううううううううううううううううううううううううううううううう。

彼女のことは確かに好きだけど、拒絶されることがこんなに苦しいとは。

愛する娘と不仲になったお父様方はこんな気持ちを味わうのだろうか。

駄目だ。

このままにしておいていい筈がない。

軽く吐血しているとさっきの店員さんがまた耳打ちしてくれた。


「あの子も褒めて欲しいんですよ」


……え?そうなの?

そういうことなの?

こんなおっさんにでも褒められたいの?

女心、て言うかギャル心はわからん。

いや女心もわからないんですけど。

彼女いない歴=年齢ですし。

童貞ですし。ふふっ。


でも、彼女が褒められて嬉しいと言うのであればいくらでも褒めましょう。

コツは掴んだ。

今ならいける。


「ルミさん」

「……」

「その、それ、とても可愛いらしいと思います」

「……」

「今のルミさんの様に過激な服もいいですけど、そういうフリフリした感じのも似合いますよ」

「……そうかな」

「!――ええ!間違いなく!絶対!私が保証します!店員さんこれ試着お願いします!」

「え、ちょっと!あたしは着るなんて」

「絶対可愛いですから!私が見てみたいんです!お願いします!」

「はあ!?」

「ではお客様こちらへどうぞ~」

「ちょ、待っ――」


引きずり込まれる様に試着室に消えていったルミさん。

しばらくして試着室から出てくる。

おずおずと恥ずかしそうなルミさんを見た瞬間、思わず声が漏れる。


「……すばらしい」


黒と白を基調としたフリル多めのフワッとした服。

日本にもあったっけ。

たまに街で見かけたことがある。

しかし露出は減っているのになんだこの色気は。

ルミさん恐るべし。


「こちらはメイド服をベースに可愛らしさを強調した服でございます」

「メイド服を?」

「はい。殿方はメイド服を好まれる傾向にありますので、そちらを参考に作成した当店自慢の一品でございます。巷ではゴスロリと呼ばれています」


なるほど、こちらの世界の男性も「わかっている」と言うことか。

大変結構です。


「ど、どうかな?」

「大変お似合いですよ。可愛くておっさんどうにかなりそうです」

「そうなんだ……あたしこういう服着たことないから」

「それに髪を下ろしているのも雰囲気が変わっていいですね。その服に合っています」


そう。髪を下ろしているのは初めて見た。

貞淑な感じが醸し出されてまったく別人の様だ。

やばいこの子。

おっさんどうにかなっちゃいそう。


「店員さん、これ頂きます」

「ありがとうございます!」

「ちょっとおっさん!あたし買うなんて言ってないんだけど!」

「もちろん私が買います」

「でもこんな服また着るかわからないし……」

「インベントリのこやしになっても構いません。受け取って下さい」

「でもさ――」

「そもそもルミさんが一度着た服と言うだけでこれはもう他の誰かが手にしてはいけないのです。ルミさんがいらないなら私が貰います。あ、安心して下さい。眺めるだけにしますから」

「後半なに言ってるのかわからないんだけど……わかったよ☆ありがたく貰っとくよおっさん☆」

「はい、是非そうして下さい」

「うん!」


よかった。

どうやら機嫌を直してくれた様だ。

と言うよりめちゃ嬉しそうだ。

正直あの服めちゃくちゃ欲しかったけど、思いっきり匂いを嗅いだりしたかったけど、仕方ない。

仕方ないんだ。うん。


サクヤさんもゴスロリ服が気に入ったようで、ルミさんとはデザインが少し違う物を試着した。

ゴリゴリに褒めちぎっておいた。

もちろんプレゼントした。

結構な金額だったが、冒険者ギルドから貰ったお金で充分賄えた。

使い道には満足している。

サクヤさんもとても喜んでくれたしね。というか泣いていたしね。


「やっぱり王都は品揃えがいいですね」


それからも王都の街をぶらぶらしていた。

何件かの服屋や女性が好きそうな雑貨店、私は目の惹かれた食糧品店を見て回った。


「なかなかいいところじゃん☆」

「珍しい物がたくさんあって楽しいです~」


2人共かなり楽しんでくれているようでよかった。


「だいぶ回りましたね~。ヨシオ様、次はどこ行きますか?」


並んで歩きながら上目遣いで訪ねてくる。


「そうですねー……ルミさんはなにかありますか?」


少し後ろを歩いていたルミさんに振り向くと、なにやら首筋を擦っていた。


「どうかしましたか?」

「ん、いや、なんか虫にでも刺されたみたいでさ。チクっとしたんだよね☆まーあたしみたいなカワイイレディは虫にも好かれるもんだよ☆ウケるー!」


どうやら大丈夫そうだ。



――ん?



「どうかしましたかヨシオ様?」



















「何か、来ます」































大きな翼、角の生えた山羊と言うか熊と言うか。

一言で言えば「怪物」が上空に現れた。

みんながみんな、それを見上げていた。


うーん、魔力探知はしていないけど、すごい魔力を感じる。

主に怪物の上にいる人から。


「あー、愚かなる人族どもに告げる。僕は魔王軍 八雷神が1人、不敗のアルマゼルだよ。これは挨拶代わりだ」


そう言った人物の眼が赤く光るのを確認した。









































――――い――お――――――おい!」


「おい聞いてんのか!」

「……え?」

「え?じゃないだろ!おまえほんといい加減にしろよ!」


夕暮れ時。

見覚えのある景色。

毎日私が立たされていた場所。


目の前にはハゲたおっさん――課長がいた。





ゴスロリギャル。ありです。

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