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ウェンディ・オーレリアは勇者の夢を見るか


ウェンディ・オーレリアは走った。

元ランクA冒険者の脚力は衰えていない。

途中デスマンティスが立ちはだかったが、ウェンディは速度を落とすことなく対処する。


「邪魔ぁ!!」


鎖が伸びる。

直後、モーニングスターの鉄球がデスマンティスの頭部を破壊した。

そして何事もなかったかのように疾走する。

目指すは部下のいる待機ポイント。

彼女の胸中は、この後行わなければならないことでいっぱいだった。


驚くべき短時間で森を抜け、ポイントに到着する。


「ラルフ!レット!緊急事態よ!」


部下であるギルド員2名は彼女が飛び込んで来たことで相当の事件が起きた事を理解する。


「ランクSの魔獣に遭遇、現在冒険者が交戦中。すぐに討伐隊を向かわせるわ。レットはキスカに行ってラファロにこの事を伝えて。キスカからも隊を編成して森を包囲するのよ。ラルフは私に付いてきなさい!」


現在地はキスカとセンタのほぼ中間地点。

馬を飛ばせば半日で町に着ける距離の所。

指示を受け、即座に行動を開始する。

1人は北へ、2人は南へ。


馬を駆っている間に目一杯思考を巡らせる。

町に戻り、討伐隊を組織して森に着くまでどう頑張っても1日はかかる。

どう考えても、あの冒険者達を助けることは無理だ。

なら彼女が考えるべきはこれ以上犠牲者を増やさない事。

あの魔獣にもし町に入られたら。

被害は数人どころの話では済まない。

人を集め、森を包囲し、それだけはなんとしても阻止しなければならなかった。

彼女を乗せた馬は走り続けた。























日も沈み、和やかな雰囲気が流れる町。

そんな中、冒険者ギルドには緊張した空気が張り詰めていた。

彼女が戻ったギルドには緊急依頼が出されていた。

町の主だった冒険者パーティが招集され、事態を飲み込んでいく。

ランクS魔獣の出現。

通常ランクSの魔獣を討伐するのにはランクSのパーティ、もしくはランクAのパーティが複数必要だった。

しかし今現在、この町に滞在していた高ランクパーティはランクAが2つのみ。

後は全てB以下のパーティ。

足りない。

まったく足りない戦力だ。

まともに戦えば全滅もありえる。

が、国の対応を待っていたのでは遅すぎる。

早急に包囲網だけでも完成させなければならない。

出発は明朝。

冒険者達は準備を整えて夜を迎えた。




























センタの町から蹄の音が鳴り響く。

ウェンディ・オーレリアを先頭にビトーの森まで音は続いた。

そして森に到着した彼女が見た物は。


「なに……これ……」


森の外には足を8本生やしたトカゲの化け物が無残な姿で横たわっていた。

化け物の周りには木々が散乱しており、抉れた地面の道が森の中へと続いていた。


「ウェ、ウェンディさん。これはいったい」


部下の問いかけに、答えを持ち合わせていない。


「わからないわ。とにかく、予定変更。B以下に森の包囲を進めさせて。私はAと中の様子を見てくるわ」

「わかりました」


ランクAパーティを連れて、抉れた地面を歩く。

森はやけに静かだ。

魔獣はおろか、ただの虫ですらいなくなってしまった様だ。

歴戦の勇士である冒険者達も緊張の色が隠せない。















やがて一行が歩を進めていると、ある異変に気づくことになる。

匂いだ。

獣の焼ける匂い。

と言うより肉の焼ける匂い。

それもかなりうまそうな。


本能的になのかなんなのか、一行が匂いの元に辿り着いて見たものは。











「あ、ウェンディさん。お疲れ様です」

「あ!ちゃっす☆お疲れちゃっす☆」

「お疲れ様ですウェンディさん」

「ふもっ!ふもっふ!ふもふもっ!」












肉を焼くおっさんと、肉を頬張る少女達の姿だった。







朝から焼き肉。確認。

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