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ルミエール・ヴェルト・スペアンツァの憂鬱

やっと町についたー。疲れたー。

行き倒れるとか初体験でマジやば☆

人のいいおっさん達に感謝だね!

とりあえず今日はベッドのある所で寝たいし、宿でゆっくりしようー。

動くのは明日からってことで。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



おっはー☆

さてと、十分休めたし、町に繰り出しますか!

うろうろするのもアレだし、大通りに行ってみよっかな☆

早く見つかるといいなー。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




うん、ここなら人通りも多いし、ここで待ってた方が効率的かも。

あたしって天才☆

……にしても、そんなにあたしの恰好って珍しいのかな。

男も女もじろじろ見てくるし、男は鼻の下伸びてるし。

別に見られるのはいいんだけどねー。見せてる訳だし。

でもそういう目的で声掛けてくるのはめんどいんだよなー。

頼むから声掛けてきませんように☆




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




「ごめーん☆人を待ってるところだから☆」


……今ので何人目だ。

どいつもこいつもさかりのついたデスエイプか。いい加減ウザいっつの。

あーまだお昼にもなってないのに。帰りたい。


「なぁあんた、なにしてんだ?暇なら俺達と遊ぼうぜ」


まただよ(笑)

むさい男が2人。風体からして冒険者かな?

髭ぐらい剃ってから出直してこいよ☆ハゲ☆


「ごめーん☆人を待ってるところだから☆」

「さっきから見てたけど誰もこねえじゃねーか」


ウザッ、あんたらがじろじろ見てたのは知ってるわ。

主に性的な目で。


「まだこないけど、そのうちくると思うからさ☆」

「あんたみたいなかわいい姉ちゃんを待たせるような奴は放っておけよ」

「そうだぜ、俺達と遊ぶ方が楽しいぜ?」

「とりあえず飯でもいくか、もう昼だしな」


リーダーっぽい男が肩を掴んできた。

ベタベタしてる。気持ち悪い。なんかクサいし。


「行かないって言ってじゃん。乙女の肌に気安く触らないでよ、フ・ケ・ツ☆」


男の手を払いのける。

それを見てもう1人の男が笑う。


「はは、嫌われてやんの」

「……チッ。おい姉ちゃん、つけあがるなよ。俺達が誰だか知ってるか?」

「シラナイヨ(笑)」

「ランクCの冒険者チーム、『北の旋風』のメンバーだ」

「だから知らないって(笑)。あ、でも似た名前の宿屋なら知ってるよ。ウケるー!」

「こいつっ……ちょっとこっちこいよ!」

「イタッ」


腕を引っ張られて近くの路地に連れ込まれた。

こいつら必死すぎ。


「ちょっと!痛いじゃない!」

「なぁ姉ちゃん。よおく考えろよ。俺達にしっぽ振っときゃいい思いができるぜ?お前ぐらいいい女なら金は惜しまねえよ」

「振るのは腰だけどなー」

「はは!違いねえ!」


下品に笑う男達。ほんっとキモい。

でもめんどうだなー。こいつらそこそこ顔が利くっぽいし。

しばらくこの町にいるならやりにくくなる。

やっぱりコート着てくるべきだったかなー。

いやでもそれはあたしのプライドが許さない。

なんであたしがこんな奴らを気にしてダサいコートなんて着なければならないのか。

許容できないわー。

しかしどうしよっかなー。



「ルミさん?」



大通りの方から声がした。

見ると大通りから路地に入ってくる男が1人。

って昨日の人のいいおっさん1号じゃん。

ピピピ☆これはチャンスかも。

おっさんを待ってたってことにしてここは切り抜けよう!

やっぱりあたしって天才ね☆


「おっそいよーダーリン☆」

「「ダ、ダーリン!?」」


おっさんのところまで駆け寄る。

そして腕に絡み付く。


「ルミさん!?」

「おいおい冗談だろ。まさかそんなおっさんを待ってたのかよ」

「ありえねー」

「言っとくけど、あんたらよりダーリンの方が百倍イケてるよ。じゃ、そゆことでー☆」


このままおっさんを引っ張って大通りまで出れば、こいつらも諦めるでしょ。


「おっと、ここは通さねえよ」


……うわー。

なんか脳まで筋肉っぽい感じのゴツいやつ出たー!ウケる☆

こいつら最初っから最後は暴力に訴えるつもりだったのね。

ほんとゲスいわ。


「おいおっさん。あんたみたいな奴にその女はもったいねーよ。俺達によこしな」


しがみついたおっさんの腕から伝わってくる、震え。


「おっさん……」

「すすすすすみませんルミさん!はははは離れて下さい!」


……まあそーだよね。別におっさんが悪い訳じゃない。

誰だって自分がかわいい。ただそれだけ。


「うん……ごめんねおじさん」


おっさんから手を放す。

おっさんはまだ震えてるみたいだった。


「あのさ、このおじさんは関係ないから、帰してあげてくれない?」

「姉ちゃんが大人しくついてくるなら構わねえぜ」

「わかったよ」


脳筋に肩を抱かれ、おっさんに背を向けて路地の奥へ歩きだす。

ニヤついている男達。

きっとこいつらの頭の中の私は、泣きながら許しを乞って腰を振ってるのかな。

死ねばいいのに。


「待ってください」


後ろから声が掛かる。

誰だかはさすがにわかるよ。


「なんだおっさん。まだいたのか」

「ルミさんを放してもらえますか」

「……おじさん、カッコつけないでいいよ」

「そうだぜおっさん。折角五体満足で帰れるんだ。おとなしく行けよ」

「あなたは優しいですね」

「……痛い目みないとわからねえみたいだな」


バカなのかこのおっさん。

冒険者3人相手に勝てるわけないじゃん。

ヘタすりゃ殺されちゃうよ。やめなって。やめろ☆


「ちょっ、待って!」


あたしの言葉に耳貸さず、男達は向かって行ってしまった。

喧騒の声をあげる男達。

そんな中、静かに、でも重い言葉が響いた。




「でもねルミさん」





「男はね」






「いくつになっても」







「女の子の前では」









「カッコつけたいんですよ」











その言葉が音を消すのと同時に、男達は崩れ落ちた。




ギャルって目立つよね。なぜか。

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