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見てくれ『だけ』を魔女に惚れられて  作者: すしひといちなし
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魔王の配下メタリオム-1-王都に来た盗賊見習いの少年視点

「いたか!?」

「いや、あっちを探せ!!」

「あのガキ、見つけたらとっちめてやる!!」


 ちくしょう……


 俺は、王都の路地裏で身を隠しながら自分の不注意を呪った――


 王都の魔法屋で念願のマジックボックスを手に入れることができたので、俺は舞い上がっていたらしい――

 これさえあれば盗みなんてし放題だ! そう思っていたんだ!!


 なんせ、物を入れると小さくなってくれると言うものだ――何も入れずに店に持っていってその中に品物を放りこめば盗み放題――そう思っていたんだよ!!


 だが、現実ってのは思いっきり甘くなかった……


 店の商品をマジックボックスに放り込み、いざ外に出て逃げようとした時、いきなり店のドアが光りだしそれに呼応するようにマジックボックス中身が――そのお店でパクってマジックボックスに入れた物の中身が全部飛び出してしまったんだ――!!


 あとから知った話だが、マジックボックスを使った盗みというものには、きちんとした対処がとられていて、もしもマジックボックスに何かを入れたまま店のドアをくぐるとマジックキャンセラーが発動し中身の飛び出ししまうようになっていたというのだ。


 王都にある店舗の前で、マジックボックスを持った戦士が所在なげにつっ立っているのは、マジックボックスを持ったままでは店に入ることができないので、仲間が買い物してる間、待ちぼうけをしている姿らしい――


 くそ、ちゃんと知っていればもうちょっと考えて行動したのに――マジックボックスの中身がすべて出てしまった時にあのバカ高かったマジックボックスも店に置き忘れてしまった上、追われる身だ!! ちくしょう!! ちくしょう!!


 俺はどう逃げたのかわからない――追っ手はかなりしつこい……本当に王都をなめていた……現実というものを嫌というほど思い知らされた……


「――ここは、大丈夫か!?」


 飛び込んだのは、とある廃屋の一室だった。誰もいないのか!? いや――!!


「あれ? あなたは?」


 女が、一人いた!!


 奇妙な格好した女だ。


 真っ黒な体にピッタリとついた胸の途中から腰、尻のあたりまでどうにかカバーできるほどの少ない布地――どうやってついているのかわからないが、その女の体をほんの少しほど隠している――足は網で包まれている。靴は履いているが、歩きにくくないか? なぜかかかとに、棒がついている不安定そうな赤い靴だ。手首、そして首には白いものが巻かれていて首の所には紅い蝶みたいなものがついている。後の部分は露出していて、鎖骨が丸見え――そして頭には黒いウサギの耳みたいなものが付いていた。


「ふふん! 綺麗でしょ? バニーガールちゃんよ!」


 女はくるりと一回転した――前を軽く隠すだけだった服は背中が丸見えになっている。本当にふざけたかっこうだ。尻にくっついてるのは何なんだ?

 俺は一応盗賊、鑑定眼はある程度あるつもりだが、この服は値段が付けられない――


「いたか!?」

「いや、あっちを探せ!!」

「どこ行きやがった!?」


「くそ、しつこい奴らだ!」

 表に、俺を追いかけてくる連中の気配がする!!


「うん? あなたもしかして追われているの?」

「ああ、そうだよ!! だから静かにしろ!!」


 俺はその女の口を抑えようとする――ここで騒がれたら、大変なことになるからだ!!


「クスクス……罪人か……そうだ……あの生意気な女にお仕置きするには、恥ずかしい格好の体に放り込む方がいいかと思ったけど、罪人に放り込むのもいいかもね……」


「何言ってやがる!! 静かに――」


 嬉しそうに笑い出した女を黙らせようと俺は力にものを言わせようとする――が、女はするりとそこから抜け出し――


 チュ……


 いきなり口付けをされた――




 俺は、その次の瞬間、不思議な空間にいた――


 カーキ色のただっ広い空間だ――


 だが、その空間に濃い紫色の光がともり、そして……


 ポツポツ……


 まるで洪水のように増えた水が俺をその空間から押し出した――





「――!?」


 一体何が起きたのか一瞬わからなかった――ただ目の前に……俺がいる!!


「ようし、この体であの子にお仕置きしちゃう!」

 そう言って俺の体は俺の前から消えていく――


「な、なんだ?」


 何が起こっているか全然わからない俺は俺の体に近づこうとして倒れ込む――


「な――!?」


 網に包まれた俺の足は、ものすごくバランスの悪い靴を履いているしさらに股に食い込む黒い衣服が動きを制限する!!


「どうなっているんだこれは!?」


 俺は焦った――!! 口からでる声がおかしい!! なんでこんなに甲高い!?


「おいここにいるか!?」


 廃屋の扉が開けられる――俺を探していた戦士だ!!


 俺は緊張で体を縮こませる!!


「いたか!?」


「いやいない、おかしな格好した女がいるだけだ!! お嬢さん、こっちに小汚いガキがこなかったか!?」


 俺は首をフルフルと振る――


「そうか、見かけたら戦士派遣協会に連絡してくれ――マジックボックスを使って窃盗しようとした悪人だ!!」


 戦士は、そう言って扉を閉めた。


「……」


 俺は呆然とその扉を見つめそして自分の体を確かめる――


 下を見ると、胸の途中まである黒い布地がみえ膨らんだ胸の谷間が見える――その下にはかかとに棒のついた赤い靴、網に包まれた足が見える……


 間違いない、俺はあの女になっているんだ!!


 頭にはウサギの耳のようなものがついているのがわかる――確かバニーガールとか言っていたが、獣人の類とかではなさそうだ。ひっぱれば、取れそうな感じがする――


 だがなぜ、こんなことになっているんだ?


「というか、俺、体を盗まれたのか!?」

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