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見てくれ『だけ』を魔女に惚れられて  作者: すしひといちなし
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少女たちのダッグバトル-1

「ジャッジメント……?」


 いきなり現れた翼を持った男を俺は凝視する――


 亜人、または獣人、そういったものがいるという事は知っている。

 だが、そういうものたちは住んでいる場所が違うためまず人間の国家では出会うことはほぼない。


 戦士派遣協会なら、亜人や獣人の戦士も在籍していると言うから会おうと思えばを会えるだろう。

 だが、彼らには同族意識というものがあり、人間がいくら彼らを仲間に誘ったとしても滅多に仲間にならないと言う――


 亜人は亜人で、獣人は獣人で、というのが戦士の考え方なのだ。


 だからこそ、俺も亜人そのものを見るのは初めてだった。


 しかも彼は一部界隈で有名なかのジャッジメントだと言う――


 ジャッジメント――それは、勝負事があるときに現れる謎の人物――

「それ、説明があったから、別に今やる必要はないよ」


「……?」


 馬車からアーニャが降りてきて疲れた表情でそう言ってくる。

 なんのことだろう?




「ふむふむ、良き対決の予感がしたから来てみたら、こんなにも可愛いらしい少女同士の戦いとはな――フム、これは吾輩のジャッジメントのしがいがあるというものだ――」


「何者なんだお前は!?」

 イタンモンメでも、そういった亜人や獣人はあまりいないのだろう。ジェシカ姫が物珍しそうにジャッジメントを見て言う。

「翼の生えた人間ってのは珍しいな!! とっ捕まえて見せ物小屋にでも売り払ってやろう!!」


「フムフム、着ているものは上質、顔立ちも整っていて生まれの高貴さを感じられる――が、それに似つかわしくない言動、そして態度から見るに、おそらくはあの魔女の力で人の心が封じられて魔の心に体を支配されている、という感じだな」


 ジャッジメントはそう言うと馬車から薄着の女性をひっぱりだす。


「そなたにふさわしいパートナーは彼女だ!」


「ちょっと何よ! 私には舞台があるのよ!」


「聖女……?」


 そう、彼女は魔女ハピレアの洗脳によってヌーディストダンサーにかえられた聖女だった――


「何だお前は?」

「私? 私は舞台で服をすべて脱いで踊りまくるヌーディストダンサー、リィサちゃんよ~~♪」


「……エルト……リィサって、もしかして……?」

 アーニャが恐る恐る俺に聞いてくる――

「聞いたことがある、聖女の本来の名前だと……」


 ――リィサ――職業、聖女――


「あんな状態なのに本名を晒されるなんて聖女様って、かなり不幸なんじゃ……」


「なによ! 私の名前なんてどうだっていいでしょ~~! 問題なのはここが私が裸踊りをするステージじゃないって事!」


 聖女のトンデモ発言に、俺は少し引く――


「聖女様の、裸踊り……?」

「まじか?」

「下がれ下がれ、聖女様のために舞台を作るんだ」

「金を取るぞ、儲け話だ」

「あの聖女も、魔女の被害者なんだよな」

「って、事は聖女様本人の意識はきちんとあるんだよな?」

「俺たちみたいにか!?」


 洗脳が解けた兵士も、まだ洗脳中の兵士も、聖女を眺め好き勝手なことを言っている――


「みんな、まだ洗脳が解けてないの?」

 馬車の中から泣き出しそうな顔のホリアが出てくる。


「お、俺たち盗賊団の飯たき係のホリアじゃないか!」

「違うだろ! ジェシカ姫様付きのメイドホリアだ!」


 洗脳されている兵士も洗脳が解けた兵士もホリアを仲間だと認識しているらしい。


「お前なぁ、イタンモンメのステキメイドホリアを飯たき係とか言うんじゃねぇ!」


 まだ何かに洗脳されてるような兵士もいる――


「そちらのお嬢ちゃんのパートナーはそちらの彼女だな。さあ、戦いの始まりだ――」

 アーニャが俺の隣に押し出されてくる。


 ジャッジメントが頭上で手を交差させる――


 ブワァ!!


「うわっ!」

「どわっ!」

「ふわっ!」


 軽い衝撃波とともに、周りの兵士たちが退く――


「エルト、これってどうなっているの?」

 周りに兵士たちがいない、ぽっかりとした空間に、俺とアーニャ、そして向かい合う形のジェシカ姫と聖女リィサがいる――


「さあ、いずれも花も恥らう美少女四人がタッグバトルを始めようとしています――観戦者はこの国では珍しい異国の者たち――」


 ジャッジメントが高らかにそう宣言する。


「この対決はこのジャッジメントが取り仕切る! さあ、双方思う存分戦うのがいい!!」




「何か勝手なことを言ってやがるんだ!? なんで俺がこんな変態女と一緒にそこのガキ二人と戦わなければいけねーんだよ!?」

「そうよ!! 私には舞台があるの!!」

 ……向こうの二人はこちらと戦おうという気は全くないらしい――


「そうか? 今お前たちが負けたのならば、このルーンレイスは解放される――そうすれば再び人間の心の奥底に封じられることになるのだぞ吾輩の同胞よ――」


「「――!!――」」


 ジャッジメントの言葉を聞いた瞬間、二人の表情が一変する――


「それは困る――せっかく盗賊の首領という自分を手に入れたんだぞ」

「私も裸踊りできなくなるのはいやよ!!」


 なんかとてつもなく下劣なことを言ってるような感じがする――もし本人の心がまだ残ってると言うならば、聞いている本人は気が気では無いのだろう――


「そうだなぁ、ここは協力して戦ってやるか!」

「それはこっちのセリフよ」

 そう言ってかまえるジェシカ姫と聖女――


「うむ、いい気迫だ。それでこそ吾輩がジャッジメントする価値がある――そちらも準備は大丈夫か?」

 なぜか納得したようにうなずくジャッジメントは今度はこちらに顔を向ける。


「そちらのお嬢ちゃん方も、準備OKかな?」


「だいじょぶか? アーニャ……」

「戦うって……イタンモンメのお姫様や聖女様と?」

「仕方ない……ルーンレイスの力がなければ彼女たちの洗脳を解くことができないんだ」

 俺は、虹の壁に阻まれ、動くことのできないルーンレイスをにらむ――


「……ねぇ、エルト……私たちって、ううん、あなたって何のために戦うの?」

 アーニャは本当に泣きながらそう聞いてくる――


「決まってるだろ? 魔女ハピレアから俺の体と、ニナの魂を取り戻すための戦いだ――」

「それだったら、この戦いに何の意味があるの――?」

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