ニナvsジェシカ
「『爆炎よ、回れ回れ!! ブレイクボール』!!」
グルオオオン!!
ジェシカ姫が炎の魔力を回転させた攻撃魔法を放ってくる!!
「『魔よ、宿れ! バリアソード』!!」
キィン!!
俺は剣に魔力を込めて、相手の攻撃魔法に備える――
ピシッ! ピシピシピシピシ……
あ、しまった!!
俺は、魔力を込めた剣を放り投げジェシカ姫の攻撃魔法に当てる!!
バリバリバリバリ!!
攻撃魔法と剣が当たり、破壊の魔力を撒き散らして消滅する――
やばかった、魔法騎士エルトであったときなら剣は特注の魔法素材で作られた一品物の剣だったのが今はニナの体でも装備することができる、木を装飾したまがい物だったんだ。
魔力付与などというものに耐えられるものじゃない――
ただでさえ、剣と言うものは消耗品だと言うのに――
『マリョクヲ……マリョクヲ……マリョクヲヨコセ……ヨコセ~~!!』
「『レインボーカーテン』!」
「『彼のものの魔力よ、回れ! サークル』!!」
ギョウオン!!
ルーンレイスはまだ洗脳が解けていない兵士たちによって光の壁に封じ込められてしまう。
「よせ! お前たちはまだあの魔女の呪縛に囚われているのか!? 姫君を守るのが我らの役目だろう!?」
そこを、ルーンレイスによって洗脳が解かれた兵士たちが止めようとする!!
「うるさいぞ『我が敵を撃て! ボム』!!」
ボウン!!
「ぐわ!!」
洗脳が解けた兵士たちは元々は仲間たちをつける事嫌い、とり押さえるといってもそう強くできない。が、まだ洗脳されている兵士たちは、たとえ仲間であろうと平気で攻撃する――
「なんで!? なんでトームスの野郎があんな魔法を!? あいつ、魔法の勉強は下の下だったはずじゃ!?」
どうやら、原因はそれだけじゃないらしい――
「ハピレアの魔法にとらわれたものはなぜか魔法の力がアップする。何かからくりでもあるのか!?」
本来ならまだ魔法を習う年齢に達していないはずのアーニャやその友達が魔法を使っていたことからも、何か理由があるのだろう。だけど、今はそれを考えている時じゃない――
「『剣よ! マジカルソード』!!」
俺は魔法力で剣を作り出す――
「お、おい!! 君、姫様に害をなすつもりか!」
兵士の一人が、慌てて俺を抑えようとする。
「いいぞ貴様!! そのまま押さえておけ!! 『光の矢よ! ライトアロー』!!」
シュババババ!!
ジェシカ姫が、動きを止めた俺に向かって光の攻撃魔法を放ってくる!!
「――!!」
「うわっ!! うわわ!!」
俺は兵士を振り解いて逃げようとしたが逆に兵士に抱き抱えられる形になってしまう――しかしそのおかげで、辛くも魔法の矢から逃れられる!!
「ぐっ! うう……!!」
兵士は俺を地面に半ば落とすような形で下ろすと片足を抑えてうずくまる――どうやら、かすってしまったらしい……
「だいじょぶか!?」
「た、頼む……姫様を、ジェシカ姫様を傷つけないでくれ!!」
兵士は涙ながらにそう言ってくる――たいした忠誠心だ……
最近では滅多にないぞここまで忠誠心を持った兵隊は……
「わかったけどさぁ、どうすればいい!? ルーンレイスの力がなければ正気を取り戻すことができないんだ」
「それは……」
兵士は困惑した表情を浮かべる――
「ぼ、僕が魔女に洗脳されていた時、僕の意識は体の中にちゃんと存在していて、考えることがちゃんできたんだ――自分の体がいつ勝手に行動して、いつ勝手に死んでしまうかとずっと不安だった――」
自分を取り戻した兵士が涙を流しながらそう言う――
「姫様だって、必死で自分の体を取りもそうとしているはずだ。だから、姫様の体をつけるというのはやめてくれ!!」
「そうだ! ジェシカ姫様を傷つけるというのは絶対に許さない!!」
他の正気を取り戻した兵士たちもどうしていいのかわからず、とりあえずジェシカ姫を傷つけないでくれとだけ言ってくる――
「ヒャッハ~~!! 何言ってんだ!? この方は俺たち盗賊団の首領なんだぜ!!」
まだ洗脳中の兵士はそう言って邪魔してくる。
まだ幼い少女とは言え、流石は一国の姫君、それなりの数の護衛兵がついていた。
それが、魔女ハピレアによって自分たちの事を盗賊団だと――そして、ジェシカ姫の事をその首領だと洗脳されている――
バカダの元奴隷が身につけた通信魔法装置で連絡を取り合い、バカダを……それに利用される悲劇の犠牲者、ルーンレイスをどうにかジェシカ姫たちの方向へ誘導する――
その間、自分が囮になり、時間を稼ぐ……
「我ながら、穴だらけの策略だと思う」
まるで、世間知らずのお嬢ちゃんが考えたような策略――
でも、思いついた時はものすごい良案だと思ってしまったんだ。
だからうまくいくと思い込み、アーニャやホリアたち、さらにはクイエト王子や騎士たちまで置き去りにしてしまった――
準備が出来て、一目散に――高速移動の魔法まで使ってここまでやってきてしまった――
「だからと言って負ける気なんかないけどな!!」
なんだろう? この自分でも訳のわからない奇妙な自信は……?
思えば、魔法騎士エルトであったとしても、こんな分の悪い戦いを挑むような事はなかっただろう……
「その意気やよし!! ならばこの俺が直々に相手してやろう!!」
トテトテトテッ!
軽い音を立てて、ジェシカ姫が軽い武器を持って俺の目の前まで走ってくる――
「少女騎士よ! この盗賊団の首領であるこの俺に倒される事を誇りに思うがいい!!」
俺を睨み付けるジェシカ姫――知らず知らずのうちに俺も目を細める!
そんな時だった――
「ならばその戦い、この吾輩が見届けてやろう――」
「え?」
ヒュ~~ン!! ドシン!!
「ヒヒヒ~~ン!!」
「きゃあああああ!!」
「やだあ!!」
空から、俺たちの馬車と、なぜか翼を生やした男が降りてきたのは――!




