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見てくれ『だけ』を魔女に惚れられて  作者: すしひといちなし
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裸の聖女

「あんまりそう言う宗教施設って、行きたくないんだよね~~ホラ私って、半分天使でしょ? あんまりそう言うとこ、好きじゃないんだよね~~」

 ヴェルは笑いながらそう言う。

「まあ、かわいいニナちゃんの艶姿を見られたんで今は良しとしておくわ!!」

「オーナー、今まで留守にされていた分の仕事が溜まりに溜まっています!! きちんとそれらを片付けてください」

 ヴェルの後ろでファッション店の店員らしき女性がそう言っていた。


「聖女と言われているが、彼女は典型的な人魔独立体――この世界ではごく一般的な魔法使いだ。一応俺の所に学ばせて欲しいと言ってきたことがあるが、断った。エルトの様な人魔統一体や人魔主従体でもない限り、無駄なことはしたくない」

 エルライア師匠もそう言って学院に戻ることにした。

「あのすいません」

「なんだ?」

 それを呼び止めたのはアーニャだった。

「人魔逆転体って、何なんですか?」

「……そうかお前は今、人魔同列体なのか……」

 エルライア師匠の言ってることは何を意味してるのかわからない――

「人魔同列体? 今まで人魔逆転体と人魔統一体、そして人魔独立体は聞いたことがあったんですけど……」

「誰にだ?」

「それは――……」


「……まあいい。少しだけ教えてやろう――人魔独立体、人魔逆転体、人魔統一体そして人魔同列体は、それぞれ人間の身体の中にある人の心と魔力の関係にある」

 生徒に話す教師のように。師匠はゆっくりと説明を始める――

「本来、人間の心と魔力は別物だ――同じ体内にあったとしても、それぞれが独立し、干渉するためには力を込め、そして何がしたいのかをきちんと魔力に伝えなければ魔法が使えない――人魔独立体は、そう言った形できちんとした教育を受けないと魔力に対して何がしたいのか伝えられず魔法は使えない――まず、一般的な人間はこれ」

 そして、俺を見る師匠――

「そしてエルトや、ごく稀にいる人魔統一体――それは、人の心と魔力が統一――つまり完全に一致している状態だ――その場合は魔法を使うのに魔力に対して説明の必要がない――何がしたいのか心で思っただけで魔法が完成する――」

「え? そうなの?」

 俺は少し驚いた――そういえば、昔からすんなりと使えた魔法を、他の人間が苦労して使っているのをなんでこんなに苦労してるんだろうと思っていたことがある――

「ま、魔法と名の付く職業に就くならこの人魔統一体が一番だろうな――だから、エルトには期待していた――」


 ……次期魔王として、とかじゃないだろうな?


「そして人魔逆転体――これは簡単、魔力に何らかの形が作られて人の心を抑え込み、人間の体を乗っ取った状態だ――」


「え――!?」


 アーニャは驚いて声を出す――

 俺も一瞬絶句する――


「この状態では、人間の心は体の奥底に封じ込められ表面に出て来れなくなる――まぁ、魔力による下克上とでも考えればいいか――魔力が何らかの形に変化した人間は魔力に体を乗っ取られてこの状態になる――」


「それって……つまり……」


 魔女ハピレアの洗脳が、人間の魔力の形を作り変え、人間の体を支配させているものだとしたら――


「洗脳されて変わってしまった人たちの中に、もともとの心が残っている――」


「ちなみに、人魔逆転体の場合、魔法が使えるようになるのは体を支配しているのが人間の心ではなく魔力だから。そして形を持った魔力が何らかの理由でその力を失うと、人間の心が再び体の自由を取り戻す――そう……」

 師匠はアーニャの額を指で軽く押す――


「形を持った魔力と、人間の心が同時に体を支配する人魔同列体となる――――




「……………」

 俺は、馬車の中で師匠に言われたことを何度も反芻する――


 師匠の話が本当ならば、アーニャが正気を取り戻した理由はルーンレイスに襲われたからだ。


 ルーンレイスによって魔力が奪われたために、人間の心は身体の支配権を取り戻した――


 つまり、ルーンレイスこそが魔女ハピレアを倒すための最大の切り札になる可能性がある――


「……ニナの顔で難しく考え込まないでよ。顔にシワができちゃうでしょ!」


 アーニャにそう注意された――


 馬車はまもなく聖女の神殿につく――




「おやおや……」

「何なんだ……?」


 聖女の神殿までは特に何もなくくることができた――妙な飾りがつき、ほんの少し豪華になった馬車は特に何のトラブルもなくここまで来ることができた――ま、武力で知られるクイエト王子の率いる騎士団に随行している馬車を襲おうと思う命知らずなど多くはいないだろう。


 そう思うと、王都への街道で戦をしかけてきたドリチ公爵なんかはかなり勇気のあった行動だと言える――バカダ・バカナンダーナ・バカナンダーは、ただのバカだったが。


「そんなことどうでもいい。この騒ぎは何なんだ?」

 騎士の一人がぼやく――

「いつからここはこんな賑やかな場所になった?」

 クイエト王子が頭を抱えてを言う――


「確かここは、もっと厳かな場所だったはずだが……」


「確か、ハフスブルム騎士爵が新しく建造した神殿とは聞いていましたけど、観光目的のために作られたとは言え、高名な建築家によってデザインされた神殿は、かなり美しいもので――」


 そう、神殿は美しかった。


 その神殿の周りにある村も、 聖地のイメージを壊さないようにと区画整理をされたと言われているからそれなりに整っていて美しい――小さな村ながら、宿泊施設や食堂などの設備もきちっと完備されている。


 だが、その村も、そして神殿自体も異様な雰囲気に覆われていた――




「皆さ~~ん!! 今日は私のヌーディストショーへ来てくれてありがとう!! 今日もたくさんの人に見られて嬉しいわ!!」


「いいぞ!!」

「聖女ちゅあ~~ん!!」

「脱げ!!」

「聖女様綺麗だね!!」

「ヒューヒュー!!」

「ありがたや、ありがたや!!」


「いくよ~~それ~~!!」



「「「――――!!!!???」」」



 俺やアーニャ、クイエト王子やホリア、騎士たちは驚愕する――!!


「み、見ちゃだめです! 子どもは見ちゃダメなんです!!」


 ホリアが大慌てで俺とアーニャの目を隠す――




 神殿に設置された舞台の上で一人の女性がストリップショーをやっていた――


 言うまでもないだろうが、聖女は女性である。それがあんな風に衣服をすべて脱ぎ捨てて踊っている――

 俺だって、そういった所があるぐらい知っている――酒場も兼ねたステージで

「いくら観光のためだからってここまでやるのか?」

 いや、観光のためには



「……………」


 いくつもの疑問が湧き上がってくる――


「『光輝け! ホーリーライト』!!」


 ブワァアアアアアア!!


 難しい魔法を簡単に使いこなす聖女――


 あれ、この状態って、もしかして――!?

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