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見てくれ『だけ』を魔女に惚れられて  作者: すしひといちなし
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大衆食堂のウエイトレス-カズサ視点

 私はカズサ。王都の一角にある実家の大衆食堂でウエイトレスをやってます。


 でも、えあたしには隠されたもう一つの顔があるの。それは……


 なんと、正義の魔法使いというもの物!!

 王立魔法学院で魔法を習いそのあまねく知性で多くの悪をくじく正義の魔法使い!!


 パコン!


「何やってるんだい!! ルーンレイス事件のせいで学院が休みになっているんだから、少しは家の手伝いをしなさい!」

 私はお母さんにトレイで頭を叩かれた。うえーん!


「なんで家の手伝い何かしなきゃいけないのかな? 将来のために勉強してちゃいけないの?」

「勉強は、店が終わってからでも出来るでしょ! 今は家を手伝ってよ!」

「ハイハイ……」

 お母さんはかつて魔法の才能がないという理由で学院を二年で卒業した過去があると言う。

 その後、魔力の上がるという食事や民間療法を試しまくって私を産んだという――ちなみに私のお父さんは魔法王子と言われるシュレア殿下の教育係をやっている魔法のエリートだ。


 カランカラン!


「いらっしゃいませ……あれ? アゼル?」


 入って来たのは魔法学院で同じクラス、そして近所に住んでいる幼馴染のアゼルだった。

「あら、アゼル君! よかった無事だったのね。ルーンレイスに襲われたパーティーに出席してたって聞いていたから心配してたのよ」

 お母さんが、アゼルに言う。

「今日は何にする? いつもの?」

「うん、ああ、そうして……うん、してくれ」

 アゼルはそう言うと、手に持った石板に目を落とした。よく見ると石板から何かヒモみたいのが出てアゼルの耳につながっている。耳には丸っこい何かがくっついていて、アゼルの耳を塞いでいる。

「何そのアクセサリ、そんなもつけていたら、音が聴きにくいでしょ?」


 私はアゼルの耳からヒモを引き抜いた。ヒモにくっついてた丸い何かの一緒にはずれる――


「……? きみは……!」


 アゼルは、私をまじまじと見つめる――


「何を呆然と見てるのよ?」


 私にそう言われ、アゼルははっとしたような顔をする――そして

「あなた、名前は?」

「へ?」

 一瞬、アゼルが何を言ったのかわからなかった。

「……アゼル、あなたなんか変なもんでも食べた?」

「アゼル君………もしかして、ルーンレイスに襲われたんじゃ」

 お母さんもアゼルの様子がおかしいのに気づいたらしい。


「君の名前を私に教えてくれないかな?」

 アゼルが立ち上がり、私の手をとる……あれ、アゼルって、いつも自分自身のことを自分と言ってなかったっけ?

「……あなた、誰?」

 私は思わず後ずさる……目の前にいるのが、幼馴染では無い誰か別の人間のような気がする――が、その顔は姿は声は、アゼルのもので間違いない。


「……あなたかわいいね」

 アゼルが、私の頭にポンと手を置く――

「何をするの!?」

 私はアゼルを突き離そうとする! しかし、アゼルは動かない――


 アゼルが私の頬に触れる――そして……


 チュッ!


 いきなりアゼルは私にキスをした――!




 ――――?


 どうして私は、こんなところにいるんだろう?

 ここはどこなのかわからない。


 薄い桃色の空間に私だけがポツンと立っていた……


「ここどこ?」


 私はキョロキョロとあたりを見渡し、そういう疑問を口にするが、答えてくれる人間はどこにもいなかった――


 ポウ………


「あれ?」


 薄い桃色の空間に、濃い紫色の光が生まれ、それがどんどん強くなっていく……


「何なの?」

 どんどん強くなっていく濃い紫色の光………


 空間全体がその光に染められていき……

 そして、


 ポツン……ポツンと、雨が降ってくるような感覚がある――


「なに……?」


 雨みたいなものはどんどん強くなり空間を満たしていく――


「ちょっと、何なの――!!」


 すごい勢いで空間を満たした水が私を押し流す!!




「―――はっ!?」


 私は目を覚ます。ここは、私の実家の食堂だ……


「どうしたのアゼル君!? いきなりカズサにキスするなんて――!?」

 お母さんが、私に声をかけてくる――

「え? 何? お母さん……」

 お母さんににらまれて、私はしどろもどろになる。


「え!?」


 その時、お母さんの後ろに一人の女性が立ってるのが見えた。


 年は……私と同じくらいの少女と言ってもいいくらいの少女だ。

 なぜかうちの大衆食堂のウエイトレスの服装している――

 顔立ちはかなり可愛い。でもどっかで見たような………


 ああ、そうだ。


 学院に一枚、大きな鏡がある――鏡というのはかなり高価なもので、普通は貴族でもそう多く持っているのではない。個人で持っていると言う噂があるのは神殿の聖女様くらいのものだと言われている――


 そこで見た鏡に映った自分の姿それにそっくりだ――


 なぜ、鏡に映った自分の姿なんて思い出したのか――?

 当たり前だけど、実家の大衆食堂に鏡なんて高価なものはない――


 かなり可愛いと思う。活発そうな顔立ち、艶やかな黒髪と、結構整ったボディスタイル――


 ……そういえばなぜ、私は自分の……鏡に映った自分の姿を思い出し、お母さんの後ろにいる女生と重ね合わせて見てしまったのか――


「ちょっと! アゼル君、聞いているの?」

 お母さんが来た私に向かってそう言ってくる――


 そういえば、アゼルはどこへ行ったんだろう?


「これなら、ウェバーン様も許してくれるかな?」

 お母さんの後ろで、女性がそう言う――

「じゃあ私、恐ろしいハーフデビルが来る前に逃げるわね。あ、これは必要だから返してね!」

 そう言って、女性は私の手の中にあった石板をひったくる!

「………!?」

「ちょっと! カズサ! ウエイトレスの仕事をさぼってどこへいくの!?」


 お母さんが女性を追いかける――




 そしてその後、私はてつもない衝撃にさらされることになる―――

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