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見てくれ『だけ』を魔女に惚れられて  作者: すしひといちなし
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ニナちゃんプレゼントをもらう

「と、言うわけで。王都に行くことに、決定ね!」

「……どういうことでだ?」

 俺はクイエト王子のそばで突然そんな事を言い出したヴェルをジト目でにらんだ。

「だって、なんだかおもしろそうな事が王都で起こっている気がするの! だから私もニナちゃんも王都に行くわ!」


 何がどういう風な理屈で王都に行くことのなったのだろうか?


「エルライアに会うにも王都に行く必要があるんでしょ?」

「それはそうだがな……」


「今、王都は危険なことになっている――お前がもともとの体ならいざ知らず、今の体ではルーンレイス討伐に向かわせるわけにはいかないぞ」


 常識的な意見ありがとうございますクイエト王子――


「王都に行ったからって、ルーンレイスに遭遇するわけないでしょう――あれは魔力を供給しなきゃ消えちゃうから、人を襲って魔力を奪っちゃうわけ――だから、人が集まるところに出現するのよ」


「―――!?」


 ヴェルの言葉に、クイエト王子と周りの騎士たちが反応する――


「お前、何か知っているのか? ルーンレイスについて……」

「……あ~~、ちょっと口がすべっちゃったかな?」


 可愛らしいポーズを取るヴェル。


「話の内容によっては我ら騎士団で事情聴取を受けてもらう必要がありますが――」


「―――『災渦』―――」


 グルオン!!


「「「―――――!?」」」


 ヴェルが魔法を使う――


「なんだ、この魔法は……初めて見る――」


 ヴェルが手から金貨を出しているのを見たことがあるし、俺に……というかニナの体におかしな服を着せたこともある――


「そういえば、呪文を使うのを見るのも……」


 俺は彼女を魔女だと思っている――魔女とは……国家に仇なす女の魔法使いの事だと言われている――が、正確には国家に認定されていない魔法職の女性のことである――

 男性には同じ意味で魔人と呼ばれている。


 この国の魔法は魔法学院で習う――


 その中には、彼女を使ったような魔法は一切なかった――


 魔法道具を使ったものなのかもしれない――手から金貨を出したのは、袖口に金貨を入れた魔法の袋を忍ばせていたのかもしれない。


 が、それだと他人の服装を変えるなどと言う芸当は説明がつかない――


「そして、今使った魔法は――」


 空気が渦巻く!!

 俺と、ヴェルの周りに空気が渦ができ、クイエト王子や騎士たちから隔離する――


「ニナちゃん、ちょっと付き合ってくれる?」


 ブワッ!


「これはなんだ!?」

 クイエト王子の叫びを遠くに聞きながら、俺たちは――




「そ……と……」


 俺たちはなぜか、街の外にいた――先ほどまでクイエト王子たちと共に館の部屋にいたはずなのに――

「あんな風に口を滑らすつもりじゃなかったんだけどね」

 ヴェルが笑いながら言う。


「お前何者だ?」

 俺は、ヴェルを睨み付ける――

「それは秘密です。まぁ魔女の一人だとでも思っておいてください♪」


「なんだそれは!?」


 俺は改めてヴェルに疑念の目を向ける――

「さてと、私は一旦王都に行ってくるわ――」


「……?」


「来るんでしょ王都に?」

「どうかな? 今の俺の体はレグリーム伯爵の娘の体だ――王都に行くには親の許可が必要――――


 ――!?


 ヴェルの顔が目の前にある――


「それなら、この目を使えばいいわ――」


 目!?


 ビカッ!


 ヴェルの目が光る――!!


「俺にそれは効かない!!」

 俺の心はエルトのままだ――

 ヴェルがハピレアと同じ魔法を心を変革させる魔法を使えるということだろうが、俺の心は変わらない――

「違うわ」

 嬉しそうに俺の目を見るヴェル――

「クスクス……今、あなたに魔力の形を変える魔法を授けたわ――おそらく魔女ハピレアが使うものと同じ物よ――これであなたも魔女の仲間入りね――」


「ハァ――!?」


 魔女ハピレアと、同じ魔法――!? 魔女の仲間入り――!?


「あ、もともと魔女かしら? その体に押し込まれた時点で魔法騎士じゃないし、国家認定受けていない女の子の魔法使いだもんね」

「俺に何をした!?」

 いいようのない不安が俺の心の中に膨らんでいく。

「以前、私の知識をあなたにあげたのを覚えてる?」


「知識?」


 そういえば、以前ヴェルにキスされた時、何かを口の中へ入れられたのを思い出す……


「まさか、あれが……?」


「そうだよ。でも、あれは、この世界の魔法を封じ込めた知識の種子だったの――まあ、あなたが直接かけられたことがある魔法以外は使えないけどね」


 こいつ本当に、魔女なのか?


「そう警戒しなくていいよ――あなたはもっともっと様々な魔法を使えるようになってもらわなきゃいけないからね――私たちの仲間になってもらうために」

「な!?」

 にこやかに言うヴェル……


「仲間って……まさか俺を魔女にするつもりか!?」

「さっきも言ったけどあなたはもう魔女だよ――それに私がなってももらいたいのはもっといいものよ――」


「何をたくらんでいる!?」

 ヴェルは俺の声に答えず静かに笑っている――




「ここにいたのか!!」

 後から、クイエト王子と騎士たちがやってくる――


「さ、ニナちゃん、力を試してみなさい」

 ヴェルは、俺を王子や騎士たちのほうに向け――

「彼らに王都まで連れてってくれるように頼みなさい――」


 ……え……


「俺たちを、『王都まで連れて行け』――」


 ビカッ!


「――!?」


「おうとまでつれていく……」

「おうとまでつれていく……」

「おうとまでつれていく……」


 クイエト王子と騎士たちは同じ言葉を言っている――


「わかった、エルト――俺たちがお前を王都まで連れて行く――」

 やがて、クイエト王子はそう言った……

「な……」


「皆、準備をするぞ! エルトを王都まで送るのだ――」

「「は!」」


 クイエト王子たちが準備のために散っていく――


「便利でしょ? 魔女ハピレアが使う人の心を操る魔法♪」

「やめてくれ! 俺は……」

「あなたはもう魔女の仲間入りよ……私からのプレゼント、気にいってくれた?」

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