表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見てくれ『だけ』を魔女に惚れられて  作者: すしひといちなし
17/67

ルーンレイス-1-アゼル視点

唐突に始まる新たな入れ替わり…………

「いやぁぁぁぁぁ!!」


 ルーンレイスの側で倒れていた人物が悲鳴を上げる――


「なんで、何で!? なんでお姉さまがあんなバカ王子と結婚しなければいけないの!?」


 ピエルチ嬢だ――彼女は、必死にシャルロット嬢の名前を呼びながら泣き叫んでいる――


「ピーマン!! ピーマン!! なんで兄上は余の食事にピーマンを入れるのですか!?」


 はっきり言って意味不明な事を叫んでいるのはドレッグ殿下――ピーマンなど、この時には関係ないだろう――


『マリョクヲ―マリョクヲ――!!』


 ラムグリーン色の人型――ルーンレイスが、他の生徒にもその手を伸ばす!


「あくぁわ!!」


 その生徒も、倒れた後、しばらくして訳のわからない事を叫びだした――!!


「『星屑よ――私に力を――スターライト・ジャベリン』!!」


 ヴィン!!


 シャルロット嬢が魔法の槍を作り出し、ルールレイスに攻撃を加える――が、その魔法の槍は、ルーンレイスの体に当たった瞬間、吸収されてしまう!!


「いやぁ! 来ないで!!」


 その叫びもむなしく、ルーンレイスはシャルロット嬢を襲い――


「魔力を、奪っている!!」


 周りの生徒たちも、それに気づいたらしい。


 我先へとルーンレイスから離れようとする――!!


「って、のんきに解説してる場合じゃないな! 自分も、逃げないと!!」


 そう言って自分もホールから……ルーンレイスから逃げようとする。が、


「ねえちょっと……待ってくれない?」


 メタリオム嬢が、自分の腕を抑えている――


「ねぇ、アゼル君……これってさあ、エルライア様や、ヴェルバーン様に怒られることになるのかな?」

 メタリオム嬢が、自分の目を見ながらそういう。

「君は何を言いたいのか、自分にはわからないけど?」

 少なくとも、メタリオム嬢は、ルーンレイスには恐怖を抱いていないようだ。

「エ……エルライア師の事は知ってるけど、ヴェルバーンさんって?」

「どうだっていいでしょ! そんなこと……ねぇ、あなた私の代わりに怒られてくれない?」

「はえ?」

 メタリオム嬢が、突然、自分にキスをする――!




「……!?」

 気づけば自分は薄い緑色の空間の中にいた――

「どこだここは?」

 途方もなく広い空間のような気がするが、なぜか閉じられた空間のようでもある――

 そして、足の下には空間と同じ色の水が大量にあるような――そんな場所――


 ぴちょ――ん


 途方もない上の方から、一滴の水が降ってきた――その水は、水面に当たると――


 バグギビガゲゴビ!!


「~~~~~!!」


「――!?」


 自分の目の前で、メタリオム嬢が耳をおさえてうずくまっている。

 なんだったんだ? 今の不思議な空間は――?


「ああ、そうだったわね……この世界の人間には魂と肉体の色ってやつがあったのね……」


 魂と肉体の色?


「しかたないわ、こうなったら……」




「おい、なにを騒いでいる!?」


 香木の葉を先が上向いた筒に入れ、そこに火をつけることで香木の香りを楽しむという嗜好品、たしか、キセルとか言ったか? それを口にくわえこのホールに入ってきた人がいる――


「あれは!」

「エルライア先生!!」

「お願いします、その化け物を退治してください!!」


 エルライア師――若年ながら、この魔法学院でも指折りの実力を持つ教師――


 ぷかあ……


 エルライア師のくわえるキセルから、煙の塊が浮かぶ――

 学院のパーティーでありながら、学園一の人気者と言われるこの教師が参加していなかったのは、ひとえにエルライア師が愛煙家だからだ。


 あのキセルから出る煙を嫌がる人もいるため、あまり人のいない屋外で過ごしたのだろう――だが、騒ぎがおこったので、来てくれたという感じか――


「ルーンレイス……なんでこいつは自由になってやがるんだ?」


 エルライア師は、ルーンレイスを一睨みした後、くるっと首を回す――

「?」

 あれ、こっちを見た?


「ひぃぃぃぃぃぃい!!」


 自分の隣で、悲鳴が聞こえる――メタリオム嬢だ。

「怒ってる、やっぱり怒ってるよねエルライア様――!!」

 そういえば、メタリオム嬢はエルライア師の生徒の一人だよな――


「ごめんね、アゼル君! やっぱり代わりに怒られて!!」

「へ?」


 ポンッ!


 自分の頭に、メタリオム嬢の手が置かれる――


「――――!?」


 気づいたら、またあの空間にいた――


 ポウ……


「?」

 薄緑の空間に、濃い紫色の明かりが灯る?

「なんだ?」


 明かりがどんどん強くなり、空間はその色に染められていく――


「よし!」


 ――チュ!


 メタリオム嬢が、また自分にキスをする――


 今のは現実? でもこの空間で――


 ぴちょ――ん……


 再び、上から水滴が落ちてくる――


 ぴちょん、ぴちょん……


 今度は一滴だけじゃない――もっとたくさんの水滴? 周りと同じ、濃い紫色の――


「――!?」


 水滴は、大量に降ってきて足元の水がどんどん増えてくる――


「う、うわぁ!!」


 自分が増えた水におし流されてしまう――




「――!?」


 なんだったんだ、今のは――


 キョロキョロとあたりを見渡す。別に変わったところはない――たっていたはずなのに、いつの間にか座っていたことくらい……って、なんで?


「あ、ごめん、aiPATだけは持っていくね。これないと、ゲームが出来なくて退屈だから!」


 誰かが、自分の手の中にいつの間にかあったやけに軽い石板を奪っていく――


「じゃ、ごめん……エルライア様とヴェルバーン様のお説教をうけといて!」


 そう言って走っていくのは……え? 自分? アゼル?


「え? なんで?」


 自分は、座ったまま他の生徒たちと一緒に走っていく自分を眺めていた――

 なんか、お腹が張っていて動きにくい――体の重心やバランスもいつもと違う?




「『闇の壁よ――ダークウォール』」


 グオン……


『マリョクヲ――ダガ、コレハ――キケン』


『キケン、キケン、キケン!!』


 ルーンレイスは、エルライア師の魔法に恐れをなし……


『ワタシハシネナイ――シネナイ――』


 キュオオオオン!!


 ありえないような軌跡を描き、ルーンレイスは逃げ出す――!!


「ちっ! 逃したか……」


 キセルを口から離し、エルライア師がごく普通に言う。

 そして、キセルをくわえ直すと――自分の所へやってくる……


「なんで?」


「説明してもらおうか? メタリオム。どうしてルーンレイスが解放されているんだ? ヴェルバーンのやつは今何をしている?」


 なんか、ものすごく怒ってるような感じがする……だが……なんで自分……なんで、このアゼル・フォレ・シャークナーに……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ