96.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
新宿駅という魔窟は、構造そのものがダンジョンだ。
だが、今の俺にナビはいらない。
俺の感覚が、明確な「敵」の「殺気」の居場所を捉えていた。
一般人が立ち入れない、地下深層のさらに奥。
分厚いコンクリートの壁の向こうから、その禍々しい気配は漏れ出していた。
バンッ!
俺は鉄扉を蹴り飛ばし、中へと踏み込む。
そこは、廃棄された資材置き場のような薄暗い空間だった。
「……だ、だれ?」
「こないで……!」
部屋の隅に、ボロボロの衣服を纏った二人の幼女が身を寄せ合っていた。
一人は怯えた目の少女。もう一人は、ぐったりとして意識がない少女を必死に庇っている。
……間違いない。
その顔立ちは幼いが、面影がある。
ももかと、玉姫だ。
「安心しろ。助けに来た」
俺が二人に歩み寄ろうとした、その時だった。
「だめっ! 逃げて!」
ももかが悲鳴のような警告を上げた。
その直後。
グンッ。
俺の視界が、ガクンと下がった。
「……あ?」
膝が折れたわけではない。床が抜けたわけでもない。
なのに、地面が近い。
着ていたシャツが急にテントのようにダボダボになり、ベルトが緩んでズボンがずり落ちる。
俺は自分の手を見る。
小さく、丸みを帯びた、子供の手になっていた。
「……なるほど。年齢操作か」
俺は冷静に呟いた。声変わり前の、高い声が出た。
そんな俺の様子に、ももかが涙目で目を丸くする。
「な、なんで……? なんで、すぐに状況が理解できるの……?」
自分たちと同じ目に遭ったのに、動揺ひとつしない俺が信じられないのだろう。
俺はブカブカの袖をまくりながら、平然と答える。
「なんとなく、だ」
「はぇ?」
「マジでなんとなく。この体の縮み方、魔力の抜け方、そして関節が若返る感覚……。かつて異世界で食らった『若返りの呪い』や『時戻しの罠』の感覚と酷似している。戦闘経験がそう告げている」
理屈じゃない。
数多の修羅場を潜り抜けてきた俺の肌感覚が、「これは幼児化だ」と即断していた。
今の俺は、推定十歳前後といったところか。
『言葉足らずじゃな、貴様は』
俺の感覚的な説明に呆れたのか、脳内で魔王が補足を入れる。
『よいか小娘。こやつの直感は正しいが、正確には『時間搾取』の呪いじゃ。対象の生体時間を強制的に巻き戻し、肉体を退行させる高等魔術……。空間に漂う霊力の残滓からして、妖刀による固有能力じゃろうな』
魔王の解説を聞き流しつつ、俺は視線を闇の奥へと向ける。
「ふぅん」
感心したような、それでいて粘着質な声が響いた。
コツ、コツ、とヒールの音が近づいてくる。
「いきなり『時』を奪われて、パニックになるどころか冷静に分析するとはねぇ。生意気なガキ」
現れたのは、喪服のような黒いスーツを着崩した、長身の女だった。
ボサボサの黒髪の隙間から、爬虫類のように細い目が俺を見下ろしている。
その手には、身の丈ほどもある長い日本刀――妖刀が握られていた。
「はじめまして、イレギュラーさん。アタシは上松みつる。……その若くて美味しそうな時間、全部アタシに寄越しな」
女はニタリと唇を歪め、妖刀の切っ先を俺に向けた。
小さくなった俺の体では、その女は見上げるような巨人に映った。
【お知らせ】
※2/5(木)
好評につき、連載版、投稿しました!
『【連載版】加護なしの第八王女は、前世が社畜だったので王宮生活がイージーモードにしか見えない』
https://ncode.syosetu.com/n8005ls/
広告下↓のリンクから飛べます。




