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異世界帰りの最強魔術師、現実世界でも無双する。 ~唯一魔法が使える俺、なぜか英雄扱されて困ってます~【26年5月発売】  作者: 茨木野


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95/105

95.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

 俺は駅ビルへと走る。

 だが、さすがにこの惨状を放置して行くわけにはいかなかった。


 足元には、泡を吹いて倒れているサラリーマン、白目を剥いたOL、そして痙攣する野良猫。

 俺の殺気に当てられた犠牲者たちだ。


「……さすがに、やりすぎたか」


 死んではいないが、このまま放置すれば、目覚めた時に集団パニックになる。

 それに、「謎の集団昏倒事件」として警察が動けば、俺の行動も制限されるだろう。

 ここは、綺麗にしておくべきだ。


 俺は足を止め、片手を掲げる。

 広範囲の精神治癒魔法エリア・ヒールで、ショック状態の脳をケアしてやるしかない。

 魔力を練り上げようとした、その時だ。


『待て待て。何をしておる』


 魔王が呆れた声を出した。


『これから敵地……それも、新宿駅という魔窟に挑むのじゃぞ? そんな一般人の介護のために、貴重な魔力を消費してどうする』

「じゃあどうするんだよ。このまま放置して行けってか?」

『剣を使え』


「は?」

『【反則剣チート・キャンセラー】を一振りすれば済む話じゃろうが』


 俺は眉をひそめる。

 こいつ、ボケたのか?


「おいおい、冗談だろ? こいつらが倒れてるのは、魔法やスキルのせいじゃないぞ?」


 俺は倒れている男を爪先でつつく。


「俺が放った『殺気』……つまり、純粋な生物的恐怖本能によって、脳が防衛反応を起こしてシャットダウンしただけだ。いわば、凄まじいメンチを切られてビビって気絶したのと同じだ」

『うむ、そうじゃな』


「反則剣の能力は『異能の無効化』だ。魔法や、システムに介入するようなチート能力を打ち消す剣だろ? こんな物理的な現象、治せるわけがない」


 理屈に合わない。

 物理で殴って気絶させた相手を、魔法無効化の剣で治せるか? 治せるわけがない。


『いいから、振ってみろ』

「はぁ……時間の無駄だぞ」


 俺は渋々、反則剣を抜いた。

 俺はそれを、倒れている群衆に向けて、適当に薙ぎ払った。


 ブンッ。


 剣圧すらない、ただの素振り。

 だが、その瞬間。


「……あれ?」

「ん? 私、なんで寝て……」

「やだ、終電!?」


 ムクリ、ムクリ。

 倒れていた人々が、まるで魔法が解けたかのように一斉に起き上がった。

 誰も彼も、俺の殺気を受けた記憶が抜け落ちているのか、何食わぬ顔で歩き出し、あるいはスマホを見始めている。


 俺は剣を持ったまま硬直した。


「……なんでや!」


 思わず関西弁が出た。


「おかしいだろ! 今のただの『威圧』だぞ!? 異能関係ないだろ! なんで治るんだよ!?」


『ふん、騒がしいやつじゃ』


 脳内で、魔王がやれやれと首を振る気配がする。


『よいか? 貴様の存在そのものが、この平和な日本においては『反則チート』であり『バグ』なんじゃよ』

「は?」

『バグ的存在が引き起こした不具合は、システム上はすべて『エラー』として処理される。ゆえに、その剣で『なかったこと』にできる。……まあ、そういうことにしておけ』


 なんだその、ふんわりとしたガバガバ判定は。

 俺の殺気はシステムエラー扱いかよ。


「……納得いかん」

『世の中、理屈で説明できんことの方が多いんじゃよ。ほれ、道は開けたぞ』


 魔王は「はいはい、次つぎ」とばかりに話を打ち切った。

 釈然としないものを感じるが、確かに群衆は元通りになり、俺を気にする様子もなく雑踏へと消えていく。



 俺は剣を消し、走り出す。

 巨大な駅ビルの入り口へと飛び込んだ。



【おしらせ】

※2/2(月)


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