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08.魔法のアイテムに驚愕する妹

 翌日。

 俺は咲耶さくやと一緒に学校へ向かっていた。


「なぁ、咲耶」

「……なに?」


 俺の前を、咲耶がスタスタと歩いている。


「なんで前歩くんだよ。一緒に行こうぜ」

「…………」


 無視された……。


『なんじゃ、勇者の妹は、昨日と全く態度が違うではないか』


 魔王の声が響く。彼女は基本、俺の中に居るのだ。


「まあ、クールなやつだからなぁ。基本は」


 ふと気づく。咲耶は竹刀袋を背負っていた。


「なぁ咲耶」

「……なに?」

「おまえ……剣道部なんて入ってたっけ?」


 咲耶は立ち止まり、はぁとため息をつく。


「違うわよ。妖刀が入ってるの」

「うぇ? 妖刀……? それまずいだろ。学校に刃物なんて……。職質されたら一発で銃刀法違反だぞ?」


 咲耶はスカートのポケットから黒革の手帖を取り出す。表紙には藤の花。

 中を開くと、咲耶の写真と――【妖刀使い霧ヶ峰(きりがみね) 咲耶】の文字。妖術総監部の名前とハンコが押されていた。


「前に言ったでしょ? 日本政府と妖術総監部はつながってる。この手帳を見せれば、警察がわたしを捕まえることはないの」

「なーる……」


 だから妖刀を持ち歩けるのか。だが……。


「重くないか、妖刀」


 刀って鉄の塊だ。女子高生が毎日持ち歩けば疲れるに決まってる。


「……全然重くない」


 ぷいっとそっぽを向く咲耶。でもお兄ちゃんは知っている。嘘だってな。


 俺はアイテムボックスから小さなポシェットを取り出し、咲耶に差し出す。


「咲耶。これやるよ」

「……なにこれ?」

「魔法袋だ。異世界のアイテムで、大きさや容量を無視して何でも収納できる」


 俺は通学カバンを近づける。

 ずぉ……と吸い込まれた。


「!? な、なにこれ!? 吸い込まれてった!?」


 さらに、咲耶の竹刀袋も収納する。


「ほい。これでもう重くないだろ?」

「…………」


 咲耶は魔法袋と俺を交互に見て、真剣な顔になる。


「……お兄ちゃん、これ……すごい」

「そらまあ、この世界にこんなのねえもんな」

「それもそうだけど……妖刀を持ってなくても異能が使えそうなの」


「どういうことだ?」


「妖刀使いは、妖刀を所持してないと異能が使えないの。わたしの妖刀・血刀【桜】の能力は【血液操作】。でも、この袋があれば――」


『異能……ああ、この前勇者と戦ったときに使っていた身体強化エンハンス術のことか』


 なるほど。


「昼間みたいに人目があるとき、妖刀を持ち歩かずに異能を使えるのは大きいの。……凄すぎる」


 咲耶の目が輝く。


「これ、どこで手に入れたの?」

「魔王倒したときのドロップ品の一つだ」

「ほかにもあるの?」

「おうよ」


 咲耶はため息をつく。


「お兄ちゃん……ずるい……。魔法もいっぱい使えて、魔道具までたくさん持ってるなんて」

『いやいや、咲耶よ。おぬしの兄は、それらを手に入れるために五年間、血のにじむ努力をしてきたのじゃぞ』


 魔王、ナイスフォロー。


「!? い、今……魔王の声が!? 頭の中に響いたんだけど!?」


「ああ、念話テレパシーって魔法だ。心の声を特定の相手に届ける魔法だな。おまえにかけといたから、思えばいつでも届くぞ」


「!?」


 咲耶が肩を震わせる。


「そ、それって……わたしの心の声が全部お兄ちゃんに筒抜けってこと!?」

「いや、話したいと念じなきゃ発動しないから安心しろ」


 咲耶はへなぁと座り込み、「よかったぁ~……」と安堵の息を漏らす。


 そして立ち上がると、なぜか睨みつけて先に行ってしまった。


「なんなんだあれ……?」

『ふふふ……勇者よ。我はわかってしまったぞ』

「なにがだよ」

『咲耶のおぬしへの気持ちじゃよ♡ 青春じゃのぅ♡』


 少し先で咲耶が立ち止まり、俺を見やる。

 ――念話で。


『魔法袋……ありがとう。それと、この念話魔法も』


 ああ、よかった。余計なお世話だと思われてなかった。


『どういたしまして。ピンチの時は、いつでも兄を頼れよな』


 そう返すと、咲耶は小さく微笑んだ。

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