05.妹と異能バトルして圧勝する
ここから短編の続きとなってます!
俺の名前は霧ヶ峰悠仁。
ごく平凡な高校生だったが、ある日突然、異世界に召喚された。
……そこで五年間かけて魔王アンラ・マンユを倒し、魔王とともに現実へ帰還した――。
現実世界では平穏に暮らそうと思っていたんだけど……どうやら、こっちにも魔物がいるらしい。しかも、だ。
我が妹……霧ヶ峰咲耶が、厨二病を発症していた。
高校生にもなって刀を振り回すようになっていたのだ。あいたたた……。
☆
場所は都内某所。
俺はレイス(死霊系モンスター)を光属性魔法でぶっ倒した。
「咲耶」
俺は咲耶のもとへ向かう。
『逃げてくださいまし、おねえさまっ!』
……ん? なんだ、この声。
「帰蝶」
「きちょー……?」
咲耶が言った単語に、聞き覚えはない。
すると俺たちの前に、ひらひらと蝶が一匹、現れた。
『そいつ……やばいですわ! とんでもない魔力を秘めてますの……バケモノですわ!』
「なんだと!?」
俺は周囲を見渡す。
「とんでもない魔力を秘めたバケモノ……どこだ!? 妹に手ぇ出すんじゃねえ!」
だが見回しても、それらしい敵は見つからない。
くそっ、隠形に長けた厄介な相手か!?
『何ふざけたこと言ってますの! あなたでしょうがっ!』
「へ……? 俺ぇ……?」
『ほかに誰がいますのよ!』
「いや、なんかいるのかなって……」
どうやら帰蝶とかいうやつは、俺を指してバケモノと言っていたらしい。
てか、帰蝶ってどこにいるんだ?
ぱたぱた……と、咲耶の周りを蝶が羽ばたいている。
「あ、こいつか。へー、しゃべる蝶ね」
『はぁ!? 式神が見えてますのあんた!?』
「はあ、あんただろ」
俺はハシッと、飛んでいる蝶をつかむ。
『ぎゃー! 見えてますの!? おかしいですの! 式神は術者にしか見えない……ていうか、声も聞こえてるのもおかしいですのー!』
しきがみ……?
すると咲耶が俺に刀(おそらく模造刀)を向けてくる。
「どうした咲耶?」
「……あんた、誰?」
じっと咲耶が俺をにらむ。
「誰って……おまえのお兄ちゃん、霧ヶ峰悠仁だけど」
「うそっ!」
「いやマジだけど……ていうかやめなさい。高校生にもなって刀振り回すなんて。厨二病は中学生までにしとけ」
かぁあ……と咲耶の顔が赤くなる。
「厨二病じゃないわよ! あたしは――妖刀使い! この世界で十二本しかない妖刀の所有者の一人よ!」
「っていう設定?」
「違うわよ! 設定じゃない! 見て、この刀を!」
咲耶の持つ刀は、たしかに変だった。刀身が血のように赤い。
「血刀【桜】。これがあたしの契約してる妖刀」
「ほーん……」
「……本物の刃物よ? 怖くないの」
「なにぃ!」
俺は妹の手を握る。
「ちょ!?」
「マジもんの刃物なんて振り回すのやめなさい! 警察に捕まるだろ!」
「離せ……! 離しなさいよ!」
ぐぐぐ……と妹が手を引こうとする。
「!? な、なにこれ……全然動かない……! このっ!」
『そんな……あり得ませんわ。妖刀所有者は一般人より強い膂力を得られるはずなのに!?』
帰蝶とやらも驚いている。
「な、なんなのあんた!? どうしてあたしがパワーで負けてるのよ!? 何かした!?」
「いや、なんも……強いていえば魔力で身体強化してるくらいか」
魔力。それは魔法を使う際のエネルギーで、体や武器にまとわせれば効果を強化できる。
「刃物は振り回すな」
「ふぐぅうううう!」
女子が出しちゃいけない声を出して抵抗する妹。
俺はひょいっと刀を引っ張る。
「きゃぁあああああああ!」
咲耶はぽーんと飛んでいき、俺の手には血刀【桜】が握られていた。
『おねえさまぁああ……!?』
「【飛翔】」
空を飛び、咲耶をお姫様だっこする。
「あ、あんた……空飛んでる!?」
「あー……」
しまった、見られた。
『あとで記憶を消せばよかろう』
「あ、なるほど」
「離せ! 離せよ馬鹿ぁ!」
「あぶないだろ」
「危ないのはあんたでしょ!? 何よ、妖魔を片手で消し飛ばして、妖刀使いに膂力で勝ってる……お兄ちゃんの姿をした妖魔なんだから!」
「いやだから……お兄ちゃんの姿をしたお兄ちゃんなんですけど」
俺はふわりと地上に降りる。
「ていうか、血刀【桜】は!?」
「あ、地面に刺したまんまだった」
「ナニしてるの!?」
妹は血刀【桜】を回収し、構える。
「血刀【桜】……一の型《血湧肉躍》!」
咲耶の肌がピンク色に輝く。
『血流を早め、身体能力を強化するようじゃな』
「ゼヤァアアアアアア!」
妹がさっきより速いスピードで突進してくる。
『人間離れした速さじゃの』
「ああ……」
……もしかして、咲耶って本当に普通じゃないのか?
がきぃん!
「ええええ!? な、なんで!?」
妖刀の刀身が、俺の数十センチ手前でピタリと止まる。
「あ、わり。俺、攻撃されると自動で結界が展開される魔法かけてるんだ」
「なにそれ!? なんでそんなもん!」
「向こうだと、不意打ち多かったからさ」
ピキッ……!
パキィイイイン!
血刀【桜】の刀身が――
「お、折れたぁああああ!?」
粉々になった刀を前に、咲耶が驚愕する。
「そ、そんな……どんな堅い妖魔でも一刀両断の刃が……砕けるなんて……」
へなへなと崩れ、泣き出す咲耶。
「ご、ごめん咲耶。修復」
ぽんっ。
「……咲耶?」
咲耶はそのままドサリと倒れた。
『おねえさま!? ああなんてことするんだこのバケモノめ!』
「畜生! またバケモノが!」
『いやおまえのことですわぁ! おまえが理解不能すぎておねえさまの頭がショートしたんですわ!』
……どうやらまた俺がやらかしたらしい。
『まあ、膂力も術も勇者のほうが上。たいしたことないな、妖刀使いとやらも』
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