103.
いくらなんでも全裸のまま放っておくわけにはいかないので、俺は想像魔法を使って即席の衣服を創り出した。
ポンッ、と軽い音と共に現れた布の塊を二人に渡す。
「とりあえず、これ着てくれ」
「んしょ、んしょ……って、悠仁? これ、なんかちょっとえっちすぎない?」
ももかが腕を通しながら、胸元を強調するような際どいカッティングの服を見て首を傾げる。
玉姫も、布面積の少なさに顔を真っ赤にして身をよじっていた。
「俺が作ったけど、俺がデザインしたわけじゃないぞ」
「そうなの?」
「俺、女児服とか女性モノの服を想像魔法で作ったことなんてないからな。頭の中に明確なビジョンがないと作れないんだよ。だから、デザインは魔王にアシストしてもらった」
俺が言い訳をすると、脳内で魔王がドヤ顔でふんぞり返る気配がした。
『ふふふ……どうじゃ? なういじゃろ?』
「……なういなんて、今の子はもう言わないぞ」
『なんと!?』
魔王がショックを受けて絶句するのをスルーし、俺は床に倒れ伏している上松みつるを見下ろした。
「あっちは贄川とかいうやつが攻めてきていたぞ。そっちもどうにかしたけどな」
「なるほどね……。つまり妖術総監部は、アタシら『悠仁勢力』を本気で消そうとしてるってわけね」
ももかが胸元を隠すこともなく、呆れたようにため息をついた。
玉姫も、恥じらいつつも軽蔑の籠もった目を向ける。
「馬鹿な連中だ……。わざわざ悠仁を怒らせるなんて、本当に愚かなことを」
「悠仁勢力って……俺たち、いつの間にか一団の組織として考えられてるらしいな」
俺は頭を掻きながら、二人に向かって頭を下げた。
「なんか、悪いな。俺のせいで迷惑かけた」
「いいのよ。総監部のやり方は、前から気に入らなかったし」
ももかが肩をすくめて笑う。
彼女たち浅間の子供たちは、総監部によって『蠱毒』のような非道な殺し合いを強要されてきた過去がある。連中に同情の余地などないのだろう。
「玉姫は? お前、総監部に対しては中立の立場だっただろ」
「ボクは中立の立場だったけど……! さすがに今は腹が立っているさ!」
「なんで?」
「なんでって……」
玉姫は顔を真っ赤にして、ギリッと歯を食いしばった。
「なんでだよっ。中立なんかじゃ……!」
「ん? 中立じゃないのか?」
「うう、察しろよ、ばかっ!」
「察する? なにを?」
「ばかーっ!」
玉姫がポカポカと俺の胸を叩いてくる。
明らかに俺のために総監部と敵対する道を選んでくれているはずなのだが、俺には彼女が何に対して怒っているのか、いまいちピンときていなかった。
「えー……」
俺が困惑していると、脳内で魔王が同情するような声を上げた。
『悲しき魔物じゃ……』
「それがいいんじゃあないの」
俺の鈍感さに呆れる魔王と、なぜか嬉しそうに微笑むももか。
よく分からないが、とりあえず全員が無事で良かったと、俺は小さく息を吐くのだった。
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※3/1(日)
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