101.
上松みつるを打倒し、あたりに静寂が戻った。
焦げた肉とオゾンの入り混じったツンとした匂いが鼻腔を突く。
ふと視線を落とすと、俺自身の手足が短く、むっちりとした幼児のままだった。
みつるを倒せば元に戻るかと思ったが、どうやら違うらしい。
災禍が残した呪いは、術者が倒れても効果を持続するほど根深いのだろう。
「まあ、なら力技で解決するだけだ」
俺はちんまりとした右手をかざし、自身の時間を強制的に進める魔法を発動した。
淡い金色の光が体を包み込み、パチパチとはぜる心地よい音が響く。
光が収まると、俺は元の年齢の姿へと無事に戻っていた。
「さて。あれ? ももかと玉姫がいないぞ」
ふと気づき、周囲を見渡す。
ひんやりとした冷気が漂う部屋の隅に、場違いなものが転がっていた。
近づいて確認すると、そこには丸まった小さな胎児が二つあった。
呪いの効果が極限まで進行し、胎児の状態まで退行してしまったのだ。
命の鼓動はすでに弱々しく、肌は氷のように冷え切っている。
「ほい、死者蘇生」
俺は迷わず神聖魔法を行使した。
「からの、ほい、大回復!」
立て続けに極大魔法を放つ。
温かな光が二つの命を包み込み、瞬く間にももかと玉姫の姿へと急成長して完全復活を遂げた。
「えっ……? わたし、たしか消えかけて」
「あら……? ここは」
ももかは目を丸くして自分の体を見下ろし、玉姫も不思議そうに辺りを見回している。
状況を理解したももかが、ふうっと安堵の息を吐き、可愛らしく頬をぷくっと膨らませた。
「もう、悠仁の魔法はデタラメすぎるわよ!」
ももかはガックリと項垂れ、そのままペタンと膝から崩れ落ちる。
玉姫も隣で天を仰ぎ、大げさにのけぞってみせた。
「もう、全部あんた一人でいいんじゃない……?」
彼女たちの呆れ返ったツッコミが、静かな部屋の中に虚しくこだました。
【おしらせ】
※2/20(金)
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