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2012年 12月29日

十二月二十九日。

由井が死んでから五日がたった。

いまだに雫は暗いままだ。

その気持ちはよくわかる。

僕も以前、親友が死ぬという辛い経験をしたように、雫の身にも今、それと同じことが起こったのだから。

何もできなかった自分が悔しい。

後悔の気持ちが溢れてくる。


「雫……」


雫の反応はなかった。

一時期の僕を見ているようだ。

悔しい気持ちが溢れてくる。

僕には何もできないのか。

何かできることはないのか。



雫の言ってくれた言葉。


「雫…覚えてる?

僕が復讐の為に生きてた時に、雫が言ってくれた言葉」


何故、いきなり思い出したかは、わからない。

雫が反応した。


「え……?」


「それ以上の楽しいことを、探せばいいって言葉。

そのお陰で僕は生きてるから。」


雫の顔が上がる。

その顔には涙が見えた。

よほどショックだったのだろう。


「本当に嬉しかった。

はっきり言って僕がここにいるのは雫のお陰だよ。ありがとう。」


そう。

これは僕の心からの言葉だ。


響いてほしい。

雫の心に!


「だから恩返し。

僕が雫にとって欠かせない存在になる。

悲しいことがあれば共に支えあい。

楽しいことがあれば共に楽しもうね!」



僕がそう言うと、雫の顔から涙が落ちていった。

雫が僕に抱き掛かった。


「うん……ありがとう、湊……」


良かった。

雫が元気を取り戻してくれたみたいで。


雫を家まで送った。

泣きじゃくる雫を支えながら。


「今日はありがとうね、湊。

私にも明日に生きる支えをくれて」


「あ……うん」


そう言うと、雫は家に入って行った。


「大好きだよ…、湊………」


小声でそんなふうに聞こえたが……よく聞こえなかった。


僕も家に帰っていった。



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