第95話 戻る身体
お待たせ致しましたー
身体が……熱いです。
むーちゃんさんが、目の前で溶けていくのを見るだけしか出来ません。
何故、このようなことに。
何故、力を送っても……むーちゃんさんは戻れないのでしょう。
代わりに、私の身体が熱くなっていくばかり。
熱い。
熱い。
焼けそうなくらい……熱いです。
何が起きているのでしょう。
黒い存在が止まった気配はありましたが。
熱くて熱くて。
けど……身体のあちこちに、重みを感じます。
これは……まさか。
まさか……私の『身体』が戻ろうとしているのでしょうか?
むーちゃんさんが、私に触れただけで。
けど……むーちゃんさんを犠牲にして。
身体だけでなく……頭の中も、弾けていくようです。
様々な……記憶が浮かんでは流れていきます。
何もない……幽霊だった、翠羽ではありません。
国綱さんの……幼馴染み。
国綱さんの……許嫁。
国綱さんは、蘇芳。
私は、母から受け継いだ……時蟲。
受け継いだ能力を……存在らのために使うことが使命。
だけど……魍魎らには、渡さない。
私を事故に見立てた……あの時。
私の身体をバラバラにして……時蟲を手に入れようと考えたでしょうが。
お母さんが……残してくれた術で。
むーちゃんさんで。
私への保険が残されていた。
代わりに、記憶と身体は離れたけれど……時蟲は幽体化で残った。
だけど……むーちゃんさんを使わなくてはいけない事態となった。
悔しい。
でも。
私は今しなくてはいけないのは。
飢えた存在を……浄化させることだ。
浮いてた身体を……戻った身体で地面に足をつけ。
まだ驚いていらっしゃる……国綱さんの方を見ました。
次回はまた明日〜




