表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/205

第9話 料理への興味

お待たせ致しましたー

 お料理と言うのを、このお家に来てから……あまり覗いて見ていませんでしたが。


 国綱(くつな)さんは材料を揃えられると、『よし』と細長い紐で袖などを整えられました。



「活力も大事だ。今日は揚げ物にしよう」


『あ……げもの?』


翠羽(みはね)も食べれるようになったら、気に入ると思うよ。僕は大好物なんだ」


『……国綱さんのお好きな?』



 そのようなものを知れる。


 少しばかり、嬉しく思えました。


 ですが、お手伝いは出来ませんので……近くで調理と言うものを拝見させていただきます。


 まずは、茶色の……国綱さんの手くらいの大きさの塊を、水で洗い……刃物で切ると内側は黄色の何か。国綱さんは、それを不思議な形に切っていきます。



「完全に油物だけだと胃もたれするから……これは揚げ焼きにしよう」


『……これは?』


「じゃがいもと言う野菜。けど、米の代わりにもなる栄養の高いものなんだ。主食にすることも可能。これに火を通すと柔らかくて美味しいものになるんだ」


『……じゃがいも』



 名称を聞いても、記憶が朧げである私にはよくわかりません。


 ですが……先ほどとは違って、国綱さんは少し楽しそうにしていらっしゃいます。そのお邪魔をしてはいけません。


 国綱さんは、底の深く透明な器にじゃがいもを入れ……黒い大きな箱の中に入れ、閉じた扉の横にある何かを触って動かされました。



「今は便利なものが多い。これもそのひとつだ」


『……なん、ですか?』


「電子オーブンさ。目に見えない力を利用して、食材に火を通すことが出来る機械。翠羽や僕の力よりは、一般的に使われているものさ」


『……べんり、ですか?』


「ああ。ある意味、術……魔法と同じ扱いだと思っていい」


『……まほう』



 国綱さんの手を治せた私のように……あのおーぶんと言う箱が、役に立つと言うこと。


 これは観察せねば、と近いたのですが……音が少し聞こえるだけで、覗いても変化とやらがわかりません。


 国綱さんは、他の作業をされていましたが……おーぶんが高い音を立てると、私に一言声をかけてから……開けて、器を取り出しました。



「……うん。まあ、大丈夫か」



 覗かせてもらいましたが……入れる前よりも、じゃがいもの色が少し薄くなっているような?


 国綱さんは、それに細長い棒のようなものを刺しました。すーっと、突き抜けて!



『……柔らかい?』


「これをさらに、表面を焼いて岩塩をかけるだけでも……充分に美味いんだ」


『……美味しい、料理』



 楽しそうです。


 ですが……お手伝いも出来ない幽霊のままでは、食事も出来ません。


 国綱さんの手がけるお料理は……とても美味しそうに見えますが、触ろうとしても……私はすり抜ける存在。


 共有したいことが出来ないのを……こんなにも歯痒く思ったことがありません。


 私は……欲張りになってしまったのでしょうか?



「……大丈夫。翠羽も身体が戻れば、一緒に食べられるよ」



 そんな私に……国綱さんは、欲しい言葉をくださいます。


 数日前とは違い……得た感情をこんなにも嬉しく思ったことがありません!

次回は10分後

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ