第78話 不甲斐ない
お待たせ致しましたー
翠羽に……汚れ仕事は見せたくなかった。
それは……僕の『エゴ』だったかもしれないのか。
もしくは……今の彼女に『恐怖』や『畏怖』の感情が欠落しているからだろうか?
翠羽は……またあの惨状を見ても、問題ないと答えてくれる。
時蟲の能力が……今の彼女の活力を奮い立たせているのか。
翠羽は、今の意思で僕の協力に手を差し伸べてくれている。
させたくないのに。
けど……何でも屋としては、依頼をこなさなくてはいけない。
僕の『蘇芳』だけでは……あそこまでの復元は無理だ。再生と言うくらいの技術。それを可能とするのは……時蟲のみ。
やはり……今回も、捕縛した幹部は始末された。
翠羽が再生することで……どこまで変わるか。
電車に揺られながら……僕は、予想出来る範囲で推測することにした。
「……ねぇ、あれ」
「幽霊?」
「けど、手足……あるよね? 変な位置だけど」
公共機関を使う間もだが。
翠羽の戻った手足が浮いている状態は……非常に目立つ。
足は高校のローファーと靴下。
手と腕は、冬服の制服の袖がある程度。
胴体と頭部がないから……一種のホラーにも見えるだろうな。
獣人や亜人でもない。
異質も異質だ。
翠羽は……僕とかに見える幽体の部分だと、首を傾げているが。
その目には……なにを映しているのだろうか。
この後の……仕事への意識か。
どちらにしても……自分の外見をそこまで気にしていないようだ。それも欠落している今の状態のせいか。
(……とりあえず、僕は精一杯サポートしよう)
あと少しで、警察署の最寄り駅に到着する。
次回はまた明日〜




