第72話 札遊び②
お待たせ致しましたー
予想外過ぎた。
ただ、『トランプ』で神経衰弱をするだけだったはずが。
(……視えてしまっている)
使用しているのは、僕が家に昔から置いてある普通のトランプ。タネも仕掛けも特にない。
普通に、床に伏せて並べているだけなのに。
翠羽は、意識せずともどこに何の数字があるかわかるのか……どんどんめくっていく。
さすがの僕も、全制覇されるのは避けるために……待ったをかけた。
「翠羽……ちょっと待った」
『どうかされましたか?』
トランプをめくるのをやめてくれたが、まだ遊んでいたいような雰囲気が見えた。これは……喜んでいいのだろうか?
「組み合わせは一回につき五組までとしよう」
『はい?』
「ずっとひとりでめくっていたら、対戦にはならないんだ」
『……そうですか』
戻った左手。
目は……どうだろうか?
どこかが、霊視……もしくは、『見鬼』の能力を開花させてしまったか。
身体が完全に戻っても……そこは同じだろう。
僕のように、人間離れとなっていく翠羽。
時蟲に寄生させられた時点で……もう手遅れかもしれない。
とりあえず……僕の手番となったが。
(……ジョーカーはまだ引かれていない)
蘇芳の目で見ても……残っている札の組み合わせは面白い。
数の制限はしたが……白熱した戦いになりそうだ。
翠羽とこんな風に遊べる日が来るとは。
失ったと思い込んでいた……あの日々を思うと、僕も随分と回復したものだ。
とりあえず……トランプの一枚をめくった。
次回はまた明日〜




