第68話 透明も悩む
お待たせ致しましたー
魍魎の幹部らしき存在を二人捕縛出来ましたが。
片方は、一度呪詛のようなもので死に……黄泉がえりとなって、改心と言っていいほど別人に。
片方はなにも起きず……特殊牢の中で大人しくしています。少々気味が悪いくらいに。はじめはケラケラ笑っていたものですから。
(……翠羽さんの手がかりは、未だ掴めず……ですか)
改心した方は、翠羽さんに協力的ですが……もう片方はそうではないですからね。我々も聴取に苦労しています。
とは言え……下手に刺激して、あの惨劇を再発させてはいけません。国綱さんも、今度はお断りされるかもしれませんしね。私とて、翠羽さんに気持ちの良いものを見ていただくのは躊躇います。
いくら……記憶を失っていても、彼女はまだ女子高生。
大人でも子供でもありませんが……曖昧だからとは言え、気遣いを忘れるつもりはありませんから。
(……とは言え、なにも進展がないのもよくありません)
紙コップの飲み物を買い、ひと息つけましたが……内心は、ずっと雲行きが怪しい。
数日前のように、大胆な聴取が出来ず慎重になってしまいますからね。
こればかりは……刑事であれど、透明人間でも他者への振る舞いを穏便に済ますことが。
いささか骨が折れます。
職業柄……私自身はともかく、役職としては難しいでしょうが。
とりあえず、紙コップのカフェオレをぐいっと飲み干しました。
やるべきことは山積みですが。
ひとつひとつ……解決していきましょう。
次回はまた明日〜




