第63話 感じた不安
お待たせ致しましたー
『……いやな、ことばかり。考えてしまうんです。むーちゃんさんは何も悪くありません』
「……しかし。むーを見てて思った?」
『……はい』
首を縦に振っても、国綱さんは怒ったりしませんでした。
「何をしてる時? 料理を教わっていた時?」
『……国綱さん達がいらっしゃった時です』
「僕と?」
『琥珀さんもいらっしゃいましたが……国綱さんへの言葉に、です』
「ふふ。琥珀はいいんだ」
『? おかしいでしょうか?』
「いいや。僕にはそう感じただけ」
続けて、とおっしゃるので……私は感じたことを伝えました。
『むーちゃんさんが、色々出来ることはわかっています。私は……皆さんのお陰で、身体の一部を取り戻せました。でも……ほとんど何も出来ません』
モノを触ることが出来たばかりで。
運ぶことは、少し出来ても。
作ることなど……何も出来ません。
それが……辛いんです。
モヤモヤしてしまいます。
むーちゃんさんに向けていたと思っていたのは。
やはり……私自身に向けた、モヤモヤでした。
「……何も感じないわけがない」
私が言い終えると、国綱さんは……私の左手をきゅっと掴んでくださいました。
何故でしょう。
とても熱く感じます。
『……国綱さん?』
私は少し下に向けていた顔を上にしますと。
すぐ目の前に……蘇芳のお綺麗な瞳がありました。
目を……違うところに向けられない、強さを感じました。
次回はまた明日〜




