第59話 落ち着き
お待たせ致しましたー
……不思議だ。
魍魎らから……破壊の呪は絶えず届いているのに。
あの、時蟲の少女の呪の方が……圧倒的に強いお陰か。
俺は……壊れていない。
身体が破裂することも。
骨が砕けることも。
魂が散ることも。
何も……ないのだ。
だから……気を落ち着かせて、配給された食事を口にしていた。
(……生きて、いる)
仮初の命に変わりない。
体温がないと言うことは、屍人と同じだろうに。
鼓動や血の巡りはきちんと感じる。
生きて……生きて、いるのだ。
どのような経緯で、魍魎に手を貸したのかは……記憶は朧げだが。
俺は……もう迷わない。
罪滅ぼしと言われようとも。
魍魎の目論見で、身体や記憶を散り散りにさせてしまった……あの少女を助けたい。
それは、紛れもない本心だ。
たとえ……許されないとわかっていても。
俺が、僅かでも手助け出来れば……あの子の身体は戻るかもしれない。
左手と腕を預けられていた……あの狂人はどうなったかはわからないが。
おそらく……近いうちに、俺と同じ目に遭うだろう。
魍魎は……失敗を許さない、非道集団だからな。
次回はまた明日〜




