第51話 私の役割
お待たせ致しましたー
『……戻った』
あの子の……大切なもの。
またひとつ……戻った。
嬉しいことだけど。
同じくらいで……辛いことかもしれない。
あの子は、思い出してしまうだろう。
自分をバラバラにしたモノ。
記憶を……バラバラにしたモノらのことを。
国綱とのこと。
私達のこと。
全部……全部、忘れてしまっている。
なのに……時蟲は、あの子に寄生した。
魂となってから……あの子に。
何故……今なんだ?
あの子の母親が死んだ時点で……寄生すればよかったものの。
何故……今になって?
あの子が、多くを失った……今なのだろうか?
魍魎らに……すべてを奪われたのに。
何故……何故。
あの子達の幸せを……穏やかなものにさせないのだ?
失ったモノは多いが……幸せだったあの二人を。
これ以上にない試練を……何故与えたのか。
哀しい……辛い。
それでも、いつか。
私は……翠羽に言わなくてはいけないのだろうか?
記憶の一部を……私は魍魎らに植え付けられたことを。
『……伝えよう』
私は、琥珀がいるけれど。
彼を悲しませるかもしれないけれど。
きちんと伝えよう。
もしかしたら……死ぬかもしれないが。
次回はまた明日〜




