第43話 ふわふわ心地
お待たせ致しましたー
とっても……良い気持ちです。
なんでしょう?
とっても……ふわふわします。
何かを……見たはずなのに。
思い出せません。
どうしてでしょうか?
目を開けたいのに……開けられません。
どうしてでしょうか?
私は今、幽霊です。
寝る必要は……ありませんのに。
どうやら……眠っているようです。
どなたかに、頭を撫でていただいているような……良い気持ちでいますのに。
見たくとも、目を開けられません。
どうしてでしょうか?
国綱さんでしょうか?
でしたら、声をかけていただけるはずです。
どなたでしょうか?
お家に、他のどなたが?
琥珀さんやむーちゃんさんでしょうか?
それなら……どなたでも私に声をかけてくださるはずです。
どうしてでしょうか?
けど……ですが。
(心地……良い、です)
ふわふわ、ゆらゆら。
とても……気持ちが良いです。
もっと……もっと、触れてください。
もっと……もっと!
どこか……知っているような気がします。
いつだったかは……全く思い出せませんが。
いつか……いつだったか。
幽霊の前?
記憶を失う前?
何処でしょう?
何処なのでしょう?
私……知っています。
この温かさを。
このふわふわを。
もっと……もっと前に。
触れていただいた記憶があります。
少し、似ていましたから。
国綱さんに……触れないとわかっていても、頭を撫でようとしてくださった……あの時の優しさに。
(……国綱さん)
それだったら、どんなに嬉しいことでしょう。
私は……この優しさを受ける時の気持ちを、知っているような気がします。
ですが、記憶がないので……思い出すことが出来ませんでした。
そして……やっと、目を開けられた時は。
お部屋の……中にいました。
国綱さんはいらっしゃいませんでした。
私……だけでした。
『……本当に、寝てた?』
中庭ではなく……国綱さんに運んでいただいたようです。
右足があるので……多分抱えられたのでしょうが。
重かったのでは? とそこが心配になりました!
次回はまた明日〜




