第202話 神将の懸念
お待たせ致しましたー
藍羅と言う獣人族の少女。
その存在そのものに、これといって異質な部類などは見当たらない。
我ら十二神将で、主の命により下調べはしたが翠羽様への危害を加える存在ではなかった。家族、友人なども調べられるだけ調べたので、まず間違いはない。
今も我らの一端が、姿を見られないように控えてはいるけれど……翠羽様は気にせずに、藍羅の口から出る話題を楽しそうに受け答えしていた。
今日の半日程度で、この少女のひととなりを改めてお知りになられたでしょうが、主を見ても色目を使う少女ではなかった。
主は自覚があるようでないが、男性体にしては両親の血を濃く継いでいらっしゃるのでかなり美形である。本人は翠羽様に気に入られているなら、周りからの見解はどうでもいいと言うお考えの持ち主だけれど。
(……しかし、ようござんした)
翠羽様が、主だけに固執する存在であっては世に溶け込む姿勢が育たないと思っていたが。
我らが、主の命でしばらく顕現せずにいたが……身体を戻され、魍魎と立ち向かい、成すべき事を終えたことで今がある。
それが、時蟲の宿主だけではなく、『普通』の少女としての生活を可能となったのだから。
主はいささか過保護ではあるが、これはこれで良いのでしょう。
ただ、今日の護衛に行っていた太裳の話によると、翠羽様は高校を卒業ののち、主の仕事を手伝うとおっしゃっていたらしいが。
我は、それで本当に良いか……少し不安であった。
取り巻く不安材料が無くなったのだから、もう幾らか普通の存在としての考えをお持ちになられても良いのに。
しかし、それを提案したところで……翠羽様は変わられないだろう。とにかく、主のお側にいられる事を望まれているのなら。
次回はまた明日〜




