第177話 母との再会
お待たせ致しましたー
『……あなたは、取り戻そうとしているのよ。『記憶』達を』
お母さんは、私の前に来ると優しく頭を撫でてくださいました。
『……記憶?』
『そう。あなたが受け止めきれないと思って、時蟲らが力の一部と一緒に切り離した記憶』
『……どうして?』
何故、そのようなことを?
たしかに、私はまだ子どもですが……そこまで、脆弱な存在だとは思っていません。だけど、お母さんはゆるく首を横に振りました。
『あの記憶は、あなたが思っている以上に辛いもの。そして、時蟲の一部を移してしまったのだから……あの男が余計に強くなってしまった』
『けど……倒せました』
多少は苦戦しましたが、あの男性体の助けもあって倒すことは出来ました。もちろん、彼だけではなく国綱さんの助けもあってです。
その思いを込めてお母さんに伝えると、お母さんは首を縦に振りました。
『だから、今なの。国綱くんもあなたも頑張ってくれた。あの男の存在も……もうないから、安心して渡せる』
『……お母さんは?』
今ここにいるのなら……還ってこれるのでしょうか?
お父さんに、国綱さんのご両親も。
だけど、お母さんは私の小さな希望は叶えられないとわかってか、首を横に振りました。
『私達はもう、生きていない存在。私も残留思念のようなもの……ただの記憶よ』
『でも、このように!』
『話せているように見えて……違うの。翠羽、あなたは一人ではないわ。過去を改竄しようとはしないで』
愛してるわ、とお母さんらしい思念体は私を抱きしめてくださいましたが……その後に、また身体に激痛が走り。
気づいたら、真っ暗な場所にぽつんと立っていました。
次回はまた明日〜




