第176話 その痛み
お待たせ致しましたー
痛い……。
苦しい……。
苦しい……苦しい。
痛い痛い痛い……。
他に何も考えられない。
それくらい……痛くて、苦しい……。
身体が、裂けてしまいそうなくらい。
私に何が起きたのでしょう……?
呪詛返し?
術を受けた?
いいえ……いいえ。
それらの兆候はなかった。
だけれど……今はそのどちらにも当てはまる。
私に起きたのは、そのどちらかなのだろうか……?
(国綱……さん)
あの方を、傷つけてしまう。
心配以上の気持ちにさせてしまう。
せっかく……私達は元の生活に戻りかけていたと言うのに。
私は、また幽体化してしまうのだろうか?
(いいえ……これ以上、国綱さんを悲しませたくない!)
あのような、寂しい笑顔にだなんて……二度とさせたくはない。
だって……私は、戻れたのだから。
今も死んではいない。苦しんでいるだけ。
なら、それもいずれ終わりが来る!
『……そうよ。翠羽』
痛みを振り払おうとした途端、目の前が真っ白になって。
私によく似た……でも、私より大人な外見の女性が立っていました。
懐かしい感覚には、覚えがあります。つまり……この方は。
『……お母さん?』
私がそう呼びかけると、お母さんはゆるく微笑みながら頷いてくれました。
次回はまた明日〜




