166/205
第166話 仕上げ
お待たせ致しましたー
当たれ……。
当たれ当たれ……当たれ。
我らは、この時のために。
あの子から、あの子へと受け継がれた。
あの子を殺したから……。
受け継ぐことを余儀なくされた。
何故……何故、何故。
正しい継承の儀をさせてくれなかった。
我らは、蟲。
蠢くモノ、存在するモノ。
あの子のために、幾重にも整う必要があったのに……出来なかった。
お前のせいで……あの子は苦しんだ。
父と母を失い、ひとりとなった。
正しく、受け継げていなかった。
そのせいで……隙が出来てしまった。
器をバラバラにしてしまうような、隙を。
我らは何も出来なかった。
だが、今は違う。
あの子は多くの助けを得た。
魂の記憶を失えど。
器をバラバラにさせられても。
蘇芳が手を伸ばしてくれたのだ。
本来、相入れない存在であった二人が……重なったことで。
我らの力も、あの男に届くのだから。
「止めます!」
あの子が蘇芳の前で、男に放った力の塊は……誰も避けようがないくらい、大きく美しいものとなっていた。
次回はまた明日〜




