第163話 目の前の出来事①
お待たせ致しましたー
「……いったい、何が……?」
スーツの懐に入れておいた、例の『玉』が……高校に到着した途端、いきなり光ったと思えば飛び出していったのです。
その光は、パトカーが止まってすぐに見えた『巨大な異形』の方向に飛んで行きました。正確には、上空で浮かんだままの白い虎の方向へと……あれは、国綱さんの式神である十二神将。
風の神将、白虎の形態のひとつでしょう。異形よりは小さいですが、そこそこ大きいので国綱さんだけでなく、翠羽さんも一緒のはず。
ご自身の在学する高校がこのようになったのですから、駆けつけないわけがないでしょう。
ですが、しかし。
あの玉は彼女達に何をするのでしょうか?
手助け……をするとでも?
光は、次第に……燐音さんと確認した、魍魎の幹部であった、あの姿を作っていきました。
「……なんのつもりだ?」
聞こえてきた声は、あの異形の前にいるひとりの男。
仮初の玉を壊す前に、映像を送ってきたあの男自身。
こちらに、わざわざ姿を現したのですね!?
『……思い通りに、させない』
玉の方は、その彼に立ち向かうようでした。翠羽さんと国綱さんを、まるで守ろうとするような……そんな姿勢です。
「……はっ。俺の元で望んでいたんだろ?」
『しかし、叶えなかった。なにも』
「!?」
問いかけの返答に、玉の方はいつのまにか剣を構え、男の振り下ろしていました!?
次回はまた明日〜




