第141話 デート③
お待たせ致しましたー
クレーンゲームですが、お金も時間もかかりました。
私と国綱さんの根気なども、それなりに消費はしましたが。しばらくして、無事に景品が獲得出来たのです。
「「やった!!」」
ピンが支えられていた箇所から外れ、がこんと出口に落ちた時には思わずハイタッチしてしまうほど、嬉しかったです。国綱さんと協力して獲得したのですから、嬉しさも倍増ですから!
国綱さんが取り出し口から出してくださったぬいぐるみを受け取りますと、もちもちぷくぷくの感触でした。
「冷たくて気持ちいいです」
触り心地がとても良いのです。冷感が程よく、頬に当てると気持ちが良いんです! しばらく堪能していますと、国綱さんにくすくす笑われてしまいましたが。
「頑張って取った甲斐があったね」
そして、まぶしいほどの笑顔になっていくのです。後光がさしていくようで、なおまぶしいのです!
「……ありがとうございます」
「まあ、二人で取ったし。大事に使おう」
「はい!」
このように嬉しいことは……身体をバラバラにされた以前はあったでしょうか? おそらく、なかったでしょう。学校でもお家でも……私は色々我慢していた存在ですから。
(国綱さんへの想いも、下手に遠慮する必要がないとわかったからでしょうか)
もう二度と、離れたくないと強く仰っていただけたのもありますが。私ももう、記憶と身体を失って、この方を傷つけるような行為をしたくはありません。
お互いに、両親を魍魎らに殺されてしまい……ある意味、お互いだけしか助け合う存在でしかありません。
お母さん達は、むーちゃんさんや琥珀さんを使って、私達の助けとしてくださいましたが。彼らも、もう存在としては残っていません。
だからこそ、国綱さんを悲しませたくありませんし……失いたくもありません。その逆も同じく。
あの男の存在は気がかりですが……絶対思い通りにはさせませんとも!
そして次は、国綱さんの欲しそうな景品を選びに、ぬいぐるみをしっかり抱えながらご一緒に歩き回りました。
次回はまた明日〜




