第14話 糸の行方
お待たせ致しましたー
国綱さんが、魔法か何かで伸ばした糸は……お外の方にも、続いていました。
どうやら、私が今なっている状態……幽霊と同じようなものかもしれません。
綺麗に光っている糸ですのに……誰も気づきませんし、すり抜けてもいます。しかし……しっかりと、私達が向かう先に伸びていました。
「翠羽、こっちだ」
国綱さんが軽く手を振られたので、曲がる箇所に付いて行きます。
薄暗い道のようです。建物の間のようでした。
糸がきらりと光り……先を教えてくれました。
存在達も特にいないようですが……何と言いますか、どんよりした感じがします。良くない気配がしました。
(……大丈夫、でしょうか)
国綱さんは、迷わず進んで行きますが……私は少し、不安になってきました。国綱さんに、何か良くないことが起きてしまうのではないかと。
私のために……この方に、怪我などをしてほしくありません。いつものように、優しく微笑んでいただきたい。私の身体を探すと言ってくださっても……傷ついてほしくないのです。もし、怪我をされたら……私の魔法で頑張って治しますが。
しばらく進んで行くと……糸が、建物の上に向かっていました。窓をすり抜けているのではなく……上へ。
「……行くしかないか」
国綱さんは糸の行き先がわかると、軽く身体を動かされました。そして、地面を強く蹴ったのです。
跳んだのです!
「翠羽、ついて来て」
『は、はい!』
私のように浮かんだり、飛ぶのではなく……一時的に飛び上がれるだけなのでしょう。声を掛けていただいた時には、細長いものに捕まっていらっしゃっいました。
ですが、私が追いつくよりも先に……また飛び上がり、上へ上へ行ってしまわれます。
国綱さんは、凄いです! 魔法でしょうか?
ですが、ずっとではなく……一番上に到着しますと、国綱さんは細長いもので囲まれた向こう側へ越えました。
「……ここか」
糸の、終わりが見えたのでしょうか?
私も急いで飛びますと……糸がまっすぐ伸びていく先が見えました。
国綱さんが、先に見つけた場所には……ありました。
細長い足が入った、水晶のようなものに……黒い布を被った、存在が。
「……ほぉ? わざわざ連れてきてくれたのか?」
耳障りの悪い……嫌な声でしたが。
記憶の無い私でも……良くない存在だと言うのはわかりました!!
「……返してもらう」
国綱さんが、強い言葉を投げかけました。
黒い布は……彼の言葉に、ケラケラと笑いましたが。
不気味ではありますが……簡単には、『私の足』らしきものを返してくれないようですね?
次回はまた明日〜
明日から一話ずつ




