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第128話 それもそうか
お待たせ致しましたー
綺麗で可愛い。
僕の許嫁……の前に恋人だけれど、なんて素敵な女性なんだろうか。
そのままでも充分に綺麗で可愛いのに、僕が『デート』と誘えば準備をしたいと可愛くもじもじし出した。たしかに、デートならおめかしをしたいだろうと僕もうっかりしていたので了承した。
僕も僕で、適当に着ていた服を着替えようと決めて自室に戻った。
クローゼットには、仕事のこともありいろんな服はあったが……デート用だとどうしようかな。無難にシンプルでいいかもしれない。記憶の戻った翠羽の好みを考えれば、彼女も可愛くともシンプルを選ぶ気がしていた。
着替えと髪をそこそこ整えたが、翠羽の部屋の前に戻っても、まだ彼女は出てきていなかった。女性の身支度には時間がかかるし……最近は怠っていた他の仕事が来ていないかメールで確認したが、何件か入っていた。
今日は無理だが、明日以降に対応しようとメールの返事を返していたら、翠羽が出てきたのだ。
整った髪と顔に、シンプルな白いワンピースがまぶしく僕の目に映って見えた。とても綺麗で可愛らしい。
「お待たせしました！」
「大丈夫だよ。じゃ、行こうか？」
「はい！」
今度こそ僕の手を取ってくれた、翠羽の手は華奢だけど柔らかい。
(……ああ。戻ってきてくれたんだ)
改めて、そう実感出来るくらい嬉しい。
僕の唯一の存在。
たったひとりの愛しい人。
あの絶望をもう味わうことはないと、思いたいのだけれど……警察署で見せられた、あの不可解な影がそれを許さないかもしれない。
そんなことは二度とさせないと思っていても……『蘇芳』としての僕は、まだまだ弱いのだから。
それはひとまず忘れ、今日は今日でデートを楽しもう！
まずはどこに連れて行ってあげようか。
次回はまた明日〜
