第102話 昇華
お待たせ致しましたー
聞こえた……気がしました。
目の前の……魑魅魍魎の、膿から。
悲痛な叫び声が聞こえてきました。
(……嘆き?)
今更、何を?
いいえ……今だからこそ?
私に身体と記憶が戻った……今だから。
欲望が。
願いが。
叫びが。
私と国綱さんとの術で……表れたのでしょうか?
ですが……今更、悔い改めたところで……遅いです。
あなたとて、私達から『奪った』のですから。
【呼び声よ】
【応えよ】
完成の間近になった時に、膿は……やっと動けると思って、私達を包み込もうとしましたが。
それが……狙いです。
【よ……こ、せぇええええええ!!】
【【否】】
膿の声と、私達の声が重なった瞬間。
赤紫の光が、私達を包み込み。
膿から、穴が空き……水が波紋を作るように、どんどん消えていきました。
【……な、ぜだ。何故ぇええええええ!?】
叫んだところで。
今更……理解しようとしたとて。
あなたはあなたで……罪を犯した。
私達以外の、存在にも。
帰ってくる者、それすら出来ない者。
私が……これ以上、禁忌を犯さないためにも。
国綱さんを……独りにさせないためにも。
膿が完全に消えてから……私は、琥珀さんの方を振り向きましたが。
「……え?」
琥珀さんが、幽体化だった私の時のように……透けていたんです!?
次回はまた明日〜




