わからない【詩】
他人の存在を生涯目の端に置きながら、他人の本名を最期の瞬間思い出せるのは、好きな人なのだろうか、嫌いな人なのだろうか。
私は何も分からない。
死に際の自分に会ったことがないから、分からない。
生きた人の言葉と死んだ人の言葉、どちらが耳を傾けられやすいのだろうか。
私はそれさえも分からない。
死んだ時の言葉を聞いた周りの反応と、生きていた時の言葉を聞いた周りの反応を比べていないから、分からない。
この世は、分からないことだらけだ。
生きる意味はきっとない。
死ぬ意味だってきっとない。
それを証明してくれる人は、誰もいない。
誰も知らないから、誰もいない。
生まれてからの人生よりも、生まれていなかった頃の人生の方が愛されていたのかもしれない。
墓場まで持っていくものなんてきっと本当は何もないのだ。
誰も何もしてくれないから。
何も君にしてくれないから。
この世は無常だ。
無意味で滑稽で目新しい、そんな世界で諸行無常に響いた僕等はきっと今日も死に行く為に生きている。