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※パラレル地球の救い方※  作者: Negimono
第二章 中国・ロシア編
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第九十三話

 久しぶりのパラちき~。

 最近は伊勢ロブとか蜉蝣とかばっかりだったからな~。あでも、毎週金曜投稿はちゃんと守るからご安心を。これからテスト期間だけど、パラちきは更新しようと思ってるよ。

「チャンクーさん、バジリスクの討伐お疲れ様でした。私もカメラで確認していましたが、やはり化生様の戦いぶりは凄まじいですね。我々ではバジリスク相手に正面から肉弾戦なんて、絶対にできません」


 車に乗ると、スーツの女性が話しかけてきた。彼女の名前はリテア。俺のスケジュールを管理し、指示を仲介してくれている。

 キリッとした雰囲気を漂わせているが、とても明るく快活な女性だ。


「そうだろうな。いくら先進国の魔法技術があると言っても、人間がアレと近接戦するにはハードルが高すぎる。毒液を喰らえば一発アウト、噛みつきも喰らうわけにはいかない。ああいう危険な任務は俺に任せると良い」


 俺たちは現在、当初の予定通り国連軍に所属していた。彼女も当然国連軍の人間だ。

 アフリカの騒動も終わり、今は国連の指示を受け、広い範囲でこの力を振るっている。ジダオも今頃翼竜を倒した頃だろう。


 俺は昔、人間のことを信用していなかった。

 人間とは知能を持っているだけで、生来の善でもなければ悪でもない。だから以前までは、俺たちに協力してくれた者を優先して助けようと考えていた。


 アフリカではタンザニアの兵が俺たちを導き、修練場を貸してくれた。その恩を返すべく、タンザニアで戦った。

 彼らのために力を振るうと決めた俺たちは、彼らが救いたいというウガンダ・ケニアでも同様に力を振るった。


 現地では優しい軍人が話しかけてくれたり、命を賭して戦ってくれたりした。だから俺は、彼らの願いを果たすべく最後まで戦ったのだ。

 恩のない他のアフリカ諸国にも力を貸し、蝗害を収束に導く。そう簡単なことではなかったが、三国がそれを望んだのだから、俺にその願いを蔑ろにすることは出来なかった。


 そして俺は気付いたのだ。人間を救うのは良いことだと。

 人間は、俺たちが対話を望めばそれが可能だ。昆虫は対話できない。蛇は対話できない。

 対話できなければ、自分が力を貸すべきか判断するのは難しい。


 なら、自分が好きだと思うものに手を貸すのは、決しておかしいことではないと、今更ながらに気付いたのだ。それから俺は人間に力を貸している。


 確かに中には癖のある人間もいる。化生の力を異端視し、即刻排除するべきだという意見もあった。実際それが尊重されたために、俺はジダオとの二人行動を許可されていない。


 しかしそんな意見も、彼らの安全を考えてのことだ。決して、嫌がらせがしたいわけではない。

 彼らの思考は結局、悪意によるものではないのだ。


 だから今は国連軍に協力し、今までよりも広範囲で人類を助けることに尽力していた。


「確かに、人間ではバジリスクに単独勝利するのは難しいですね。あでも! 一人、ロシア人にとっても強い人がいますよ。彼ならもしかしたら、バジリスク相手でも良い線行くかもしれません」


「なに? そんなに強い奴がいるのか。バジリスクと渡り合うロシア人。興味がある。どんな奴なんだ?」


 人間にアレの相手が務まるのか。いったいどんなカラクリがあるというのか。もし言葉通りの実力なら、是非とも一度手合わせ願いたい。


「あ、それでしたら、ちょうど明日イギリスで会う予定ですよ。本人次第ですけど、今後彼に戦闘の協力を依頼するかもしれません。なんでも、ロシアに出現したレーシーを真っ二つにしたらしいですよ」


 ほう、レーシーと言えば、スラヴ神話で語られる森の巨人または精霊のことか。針葉樹のように巨大な身体を持ち、旅人の方向感覚を狂わせる厄介な魔法を使う。

 それを真っ二つとは、中々に豪快な奴だ。


 にしても、そいつとタッグを組めということか?

 今までジダオとの連携を禁止されていたが、それだと戦術の幅が狭くなる。もし魔王級の敵が出てきたときには不安が残るのだ。


 だがこれで解決かもしれない。レーシーを軽くあしらえるほどの実力者なら、ジダオほどとまで行かなくともある程度の働きは期待できるだろう。


「そいつに会うのが楽しみだな。今日中にイギリスに発つのか」


「ええ、これから空港に向かいます。私も会うのが楽しみだな~。なんでも、身長2m強の大男らしいですよ。女性からの人気も高いとか!」


 テンション上がってるな、リテア。彼女は見た目こそ大人の女性という雰囲気だが、あれでかなり少女のような一面がある。まだ出会って数か月程度の仲だが、彼女は好感の持てる人物だと感じていた。




 一日後、俺たちは無事にイギリスまで辿り着いていた。だが……。


「ど、どうしました、チャンクーさん!」


「あいや、大丈夫だ。ただ空の旅には一つ嫌な思い出があってな」


 俺は空港を出てイギリスの大地を踏みしめるなり、あまりの頼もしさにその場でしゃがみこんでしまった。

 やはり大地は良い。空の旅なんてクソだ。


 懐かしいな。俺とジダオが初めて会ったあの時、生まれた火山島から海を渡るために空を飛んだ。まぁ若気の至りというか、ちょっとしたミスで今では完全に黒歴史と化しているが、良い思い出である。


「チャンクーさんはホントに地面が好きですよね。寝るときもベットから降りて、しかも外に出てまで地面の上で寝ようとしますから。ホントに不思議な方です」


「俺の本質は火山だからな。人間が作ったものより、地面の方が寝やすい。ところで、件のロシア人はどこだ」


 きょろきょろと辺りを見回してみる。

 俺はそのロシア人に会いに来たのであって、決して飛行機とかいうクソに痛めつけられに来たわけではない。


「それならもうすぐ迎えが来るはずですけど~。あ、あそこですよ! 迎えの車がもう到着してるみたいです!」


 リテアが一つの車両に指をさす。いや、多分上司だから指ささない方が良いんじゃないか?


 彼女に導かれて車両に近づいた。いかにも軍事車両と言ったような、重量の高い車両だ。俺が作り出したタングステン装甲車にも似ているな。


 そんなことを考えていると、中から低身長筋骨隆々おじさんが出てきた。


「お前がレーシーを真っ二つにしたというロシア人……では、なさそうだな」


「初めましてですね、チャンクー殿。あっしは魔法技術班のイズナーです。ソンダビットのことは耳に入ってるみたいですね。なら話が早い。これからチャンクー殿にはその大男と、もう一人、優秀な狙撃手の女性と会ってもらいます。あっしが魔法武具の製造担当をしている二人ですよ」


「なるほど。よろしく頼む、イズナー」


 それから俺たちは、イズナーが運転してきた軍用車両に乗り込んで移動した。

 ここはアフリカよりも遥かに道が整備されていて、実に乗り心地が良い。というか、こんな馬力があって、悪路を進むようなタイヤの車両じゃなくても良いんじゃないかとも思った。


「着きました、ここがイギリス軍の駐屯地です。国連軍も今はここに間借りさせてもらってるんですわ。ま、あっしの仕事場は別のところですがね」


 とても大きい建物だ。アフリカの軍事施設とは比べ物にならない。

 だが最近ではこういった建物も大分見慣れてきた。やっぱりアフリカ基準で物を考えているとダメだな。ここにゃぁゾウみたいな巨大生物はいないし。


「お、見てくだせぇ。あれがソンダビットです!」


 言われて目を向けると、確かに大男がいた。

 アフリカで原始的な生活をしている民族はかなりの身長があったな。まさにそれくらいの身長がある。しかし筋肉量は段違いだ。なんと頼もしい肉体なのか。


 そして隣にいる女性が、イズナーの言っていた狙撃手か。巨大な対物ライフルを持っている。

 あんなの使うのか。見た目とは裏腹に、かなりパワー系のようだ。


「初めまして、私はドラコイェスト。そしてこちらがソンダビットです」


「ソンダビットっス。よろしく」


 狙撃手の女性、ドラコイェストが自己紹介してくれた。

 二人ともロシア人か、かなり白に近い金髪が輝いている。透けるような白い肌も美しい。


「こちらこそよろしくだ。俺は火山の化生チャンクー。こっちはサポートのリテア」


「よろしくどうぞ~」


 相変わらず軽いなリテアは。いや、俺も人のことは言えないか。でもま、堅苦しいよりはこっちの方がやりやすいだろ。


「取り敢えず今日は顔見せと自己紹介です。改めて、あっしは今回この場を任されているイズナー。ひとまず中に入りやしょうや」


 俺たちはイズナーに導かれるまま、イギリス軍駐屯地に入った。


 流石、先進国は技術力が高いな。設備が整っている。

 軍用車両に戦闘ヘリ、戦闘機だのポンポン置いてあった。


「イズナー、今日はただの顔合わせだといったな。だが俺はやりたいことがあるぜ。ソンダビット、それからドラコイェスト。お前たちの実力が知りたい。一つ、手合わせ願おうか」


「! もちろん、問題ないっス。むしろこちらからお願いしたいところだ。化生様の実力、見させてもらいたい」


「ソンダビットがそういうなら、私も問題ありません」


 決まりだな。ここの練習場を使わせてもらおう。

 先進国の魔法技術がどれほどの物か、そして彼らが俺と戦闘を共にするのにふさわしいか。いざ確かめよう!

 女性キャラ二人も扱えてて偉いぞNegi!

 ただし一人称はどちらも『私』の模様。どっちが喋ってんのかわかりづらいやん!

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