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※パラレル地球の救い方※  作者: Negimono
第二章 中国・ロシア編
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第九十二話

 体調悪くて全然わけわからん事書いてるかも。体調改善したら読み返して書き直すかもだからそう思っててください。

 目の前でその巨体をしならせ、圧倒的威圧感を放つ敵。見た目は蛇に近い。


 ここはエジプトとトルコを結ぶ陸路。奴は以前からこの場に居座り、アフリカとヨーロッパの行き来を阻害していた。


 今までにも類をみないほどの大決戦、ビクトリア決戦のあと、目に見えてバッタたちの勢力は衰えた。

 新たに強力な変異種が出現することはなく、こちらの対応を先読みした合理的な再移動もなかったのだ。


 蝗魔王と魃魔王がいなくなったことで、超大規模な軍を維持することは出来なくなり、奴らの行動はかなり単調なものになった。

 おかげで敵を殲滅するのはそう難しいことではなかった。


 流石にビクトリア決戦に参戦した三国は消耗が激しく、彼らの手を借りることはできなかった。

 しかしアフリカには国力の高い国も数多く存在し、彼らと協力することで長く続いた蝗害に終止符を打ったのだ。


 まあ国力があると言っても、一筋縄ではいかなかったが。財政状態が壊滅的な国がほとんどだった。

 比較的被害の少ない南側の国々が援助してくれなければ、蝗害はもうしばらく長引いていたはずである。


 南側では今回蝗害を起こしたサバクトビバッタではなく、アカトビバッタが主力だったからな。通常のサバクトビバッタは彼らとの競争をしていたために作物への被害はまあ少なかったのだ。


 まず俺たちは地中海沿岸を塞いでいた変異種の大群を殲滅した。

 ビクトリア湖からはかなり距離があったが、地中海からの海路が復活すればヨーロッパ諸国からの援軍や支援が見込める。そうなれば、蝗害の鎮圧は早まるのだ。


 しかしあの時は驚いたな。

 前々から、蝗害によって増えたバッタを、アフリカ外の国が買い取ったり研究したりという話を聞いていた。だがアフリカ外との行き来は閉ざされているという。話に矛盾があると、ずっと思っていたのだ。


 それがまさか、ほぼ全ての国が自費で立て替えていたとは。


 蝗害の影響で多くの農家が被害を受けた。農作物のほとんどが食い荒され、収入が激減したのだ。


 しかし国も彼ら全員に金を配れるほどの余裕はない。アフリカの諸国はそもそも政治が安定していない国も多いのだ。

 だから先進国の民間企業が農家にバッタの捕獲を依頼したり、バッタを駆除することを国への貢献として報酬を与える形式を取っていた。


 だが実際のところ、依頼主である先進国への航路は途絶えており、報酬を受け取ることはできなかった。

 けれどアフリカ外からの支援が見込めないことを国民に明かせば要らぬパニックを生み出し、ともすれば再び戦争の火種となるかもしれない。


 だからと言って農家を見放すわけにもいかず、多くの国ではバッタを受け取り、自費で農家に報酬を与えていたのだ。

 そのため財政状態が壊滅しかけている国がほとんどで、とても蝗害対策に軍を動かせるほどではなかった。


 特にビクトリア決戦に参戦していた三国は消耗が激しく、俺たちが知らないだけで既に財政が壊滅していた。国債はもう返せないほど発行していたし、もし俺がケニアの戦いで弾丸を用意しなければ、国を運営できなくなるほどだった。


 ケニアは唯一蝗害を退けていた国だったが、物量を揃えるために出費は他国の比ではなかったらしい。

 まあほとんどは戦艦二隻の製造費だが。一隻轟沈させてしまったことで大赤字だ。


 そも、蝗害を抑えたところで何か利益になることはない。家畜の飼料にするとしても限度がある。それは疲弊した財政状態を復活させられるほどではないのだ。


 その点、ヨーロッパとの海路を切り開いたあとは楽だった。奴ら俺たちの苦労を踏みつぶすかのように大金をポンと出しやがる。


 ま、とにかく彼らの支援を受けてアフリカの北側から着々と蝗害を鎮圧していった。目立った強敵もなく、戦力と軍費さえ揃えば鎮圧は早かったのだ。


 今俺と対峙しているこの蛇野郎が居座っていたトルコ~エジプト間の諸国は最低限こいつを撃退できる戦力を持っていたし、国家が倒産しかけているアフリカに比べれば優先度が低い。


 逆に言えば、今この時点で蛇野郎の相手ができる程度に、アフリカは復興している。少なくとも変異種は全て倒した。国家の運営は俺たちの専門外だから手を貸してやることは出来ないが、壊滅した国以外はしっかり運営できているようだ。


 なら、俺が今するべきは残る脅威を排除すること。

 面倒くさいことに、古い魔王が生み出したとされる眷属が各地で復活しているそうだ。


 目の前にいる巨大蛇バジリスク。大西洋の海路を荒らしまわっている海龍に、太平洋に居座っている翼竜。アメリカ合衆国の政治を乱しまくっている悪魔。中国で猛威を振るっている妖怪たち。


 とにかく数が多い。重大な戦力である俺たちが休んでいる暇はないのだ。

 本来化生は魔王を倒した後仕事がなくなり、人間たちに技術を継承すべく時間を使うはずなんだが、どうにも俺たちにその時間はないらしい。継承できるような技術も持っていないが。


 ジダオは今翼竜の相手をしている。

 戦闘機程度では機動力で負けてしまうらしい。その点ジダオは加速、最高速、機動力全てにおいて戦闘機を上回っており、単独でも勝利は確実だそうだ。


「俺も負けてられねぇよな!」


 俺が相手してるバジリスク。このくらいなら戦車だのなんだので撃破できるだろうと思っていたが、こいつに有効打を与える魔法が未だ研究途中で、使い物にならない。なら俺が直接相手した方が早いだろうとのことだ。


 こいつ自体は身体がデカいだけでそう強い敵じゃない。魔法的性質を持たない金属や人体を一瞬で溶かす毒液とかも出すが、俺の生成した金属を溶かせるほどじゃない。どころか、奴の毒液では俺の肉体すら害することは出来なかった。


 バジリスクって言うくらいだから石化光線とか出すのかとも思ったが、どうやらこいつはかなり古いバジリスクらしい。コカトリスと混同される前の存在で、ほとんどコブラの上位互換程度。恐れるほどではない。


「まったく期待外れだなコイツ。久しぶりに虫野郎以外の奴と戦えると思ってたが、骨がない。俺も翼竜の相手したかった。洗脳系は専門外だしなぁ」


 俺に向かって真正面から口を大きく開けて突っ込んでくるバジリスク。確かに奴の毒液は恐れるほどではないが、咬合力に関してはまだ分からん。もしかしたら俺の鎧を噛み砕くほどかもしれない。


 俺はまず、奴に向かって横長に成形したタングステンの棒を投げつけた。ちょうど奴の大きく開いた口に収まるように。


 蛇は脊椎動物の中でも脳が小さく、口元にある動く物体にはだいたい食らいつく。

 奴は通常の蛇とは比べ物にならないほどの力を持っているが、それでも蛇であることに違いはない。


 超巨大蛇バジリスクは俺の予想通り勢いよく食らいついた。


「マジか……」


 流石に俺のタングステンは砕けないだろうと思っていたが、奴の咬合力は俺の予想よりも遥かに強力だった。


 奴は噛み砕いたタングステンをそのまま飲み込み、上を向いて溶解液を喉に流しこんでいる。

 恐らく、普通の金属程度であればあれで消化できるのだろう。


 だがこいつはラッキーだ。奴の毒液では魔法を付与したタングステンを溶かせはしない。


「よくわかんない物を取り敢えず飲み込む。赤ちゃんみてーな脳しか持ってないみたいだな。ホレ、設置型魔法爆雷だ」


 直後、奴の喉下あたりが光り輝き大爆発した。


 やっぱ設置型魔法は便利だわ。あいつの体内にぶち込んで起動するだけで致命傷クラスのダメージを与えられる。


 しかし流石バジリスク、痛みには強いらしい。普通の生物なら即死もおかしくない攻撃だったが、奴はなんてことないといった様子で動き出す。


 だが大ダメージであることに変わりはない。感覚が鈍いだけで、生態には小さくない損害が出ているはず。


「喜べ、俺の中でちょっとだけお前の評価が上がったぞ。少しは戦えるようじゃないか」


 傷など構わず突っ込んでくるバジリスクに対し、俺はその場でどっしり構えて迎え撃つ。


 確かに奴が俺のタングステンを突破できる咬合力を有していることは分かった。しかし俺は、奴の攻撃を真正面から迎え撃ちたいと思ってしまった。


 今まで何十万と同じ敵を相手してきたのだ。戦いの高揚感など、久しぶりに感じている。


 口に毒液を滴らせているバジリスク。だが今までの戦闘経験を踏まえれば、奴の走力など底辺。俺が対応できないわけがない。


 奴が俺を噛み砕こうと顎を閉じ始めた瞬間、下顎にかかとを叩きつけてやった。タングステンの鎧で重量が増えているかつ、先端のとがったかかと落とし。たったそれだけで奴は下顎を閉じれなくなった。


 しかし上から迫る牙は脅威である。

 俺はこれを鷲掴みにし、腕力と膂力の限りをもって圧し折る。


 折られた牙からは毒液が大量に溢れだし、俺の全身鎧を毒まみれにした。


「ったく汚ねぇな、クソ! 針山!」


 奴の口の中に手を突っ込み、蛇型の敵を相手するように改良した針山をぶち込む。


 体内を金属の針が走り抜け、奴の長大な肉体を串刺しにした。

 当然心臓を含む全ての臓器を貫き、その一撃で絶命に至る。


「……シャワー浴びてぇ。ジダオは翼竜ちゃんと倒せたかな」

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