表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
※パラレル地球の救い方※  作者: Negimono
第一章 アフリカ編
21/126

第十八話

 間隔が空いてしまってすいません。

 二日目の午後。

 鉄の生成に成功し、力の安定化を行っていた俺にジダオが話しかけてきた。


「チャンクー、鉄を作り出すことができるようになったのか。こっちも小規模の雷を作り出すことに成功した。少し、実戦形式の訓練と行かないか?」


「良いな。俺もちょうど、実戦でどのように扱えるか試したくなっていたところだ」


 俺たちはどちらが言ったわけでもなく、数歩離れ振り返った。

 ジダオの氷弾なら瞬きよりも早く俺にたどり着き、しかし俺の鎧の生成が十分に間に合う位置。

 もしもジダオの雷が俺の反射神経よりも早ければ一瞬で決着がついてしまうが、そんなことにはならない。

 ジダオの雷は超高速の弾丸と同じだ。弾丸を避ける方法はつい最近学んだばかりだ。


「先手は譲ってやるぜ。お前の雷一発耐えきれなきゃ、蝗魔王の本気の拳は受け切れないんでな!」


「そうか。ならお言葉に甘えさせてもらおう!」


 ジダオから力が発動する前兆が見えた。瞬間、青い閃光が放たれその牙をむく。

 だが、閃光は俺には当たらない。雷を受け止めるために速攻で鉄の塊を生成し、避雷針のような役割をさせる。

 しかし方向性を力によって与えられている雷は自然の雷とは違う。この程度では曲げることはできない。

 俺は全く意味を持たせていない力を、同心円状に放つ。雷は力の接続を乱され方向性を失った。方向性のない雷は生成した鉄に吸い寄せられ、ごとりと落ちた。


「ちっ! お前がその身で電光を受け止めるんじゃないのかよ!」


「真正面から受けてやるわけないだろ!」


 あの雷、電光というのか。あれを受け切れたら防御力は十分だろうが、鉄の鎧で雷なんて受けたら意味ないだろ。

 さっきの力の波も、制御能力を鍛えたからこそできるようになったのだ。それに、ジダオの電光が俺にたどり着くよりも早く二種類の力を発動させることができた。発動速度もだいぶ向上しているようだ。


 ジダオの電光を凌ぎ切った俺は身体強化で速力を上げジダオに突撃する。

 正面から突っ込んだ俺に対して、ジダオは氷弾を撃ち込んできた。一発撃つのに時間がかかる電光ではなく、発射レートの高い方を選んだのだろう。

 それに対し今度こそ俺は鉄の鎧を生成し氷弾を受け止める。


 ジダオ、氷弾の威力がめちゃめちゃ上がってるな。雷の生成から攻撃力の上昇を成功させたんだろう。以前までの岩石の鎧だったら、たった一発で砕け散っていた。

 だが俺の鎧は、今までの鎧ではない。鉄というだけでなく、力によって直接硬度を上げている。


 ただ煩わしくはある。このまま受け続ければそのうち鎧にほころびが出るのは間違いない。それに、このままじゃ近づけない。

 小盾を二枚生成し、氷弾を受け流しつつ前進する。


「ほう、これでも止まらないとはな。それに、防具の生成が恐ろしく早い。だが、制御能力が上がったのはお前だけじゃないぞ!」


 クソ、こっちは氷弾受け止めるのに忙しいってのに、だいぶ余裕ありそうじゃねえか!


 ジダオが吠えた途端に飛んでくる氷弾の形状が変化した。

 細く、長く。流線型で、銃弾のような形状のそれは二段階の構造になっており、弾が盾に着弾した後に追加で軽い衝撃が走る。


 ジダオの氷弾は間違いなく精度が上がっていた。今までは大きめの氷柱のようなものを打ち出していたのが、合理的な弾丸の構造を作り出せるようになっている。

 それに、追加の衝撃。あれは全くと言っていいほど意味がない。一発目を受け止めれば軽く流すことができ、そもそも俺の身体を貫通できるほどの威力を持っていない。

 だからこそ、あいつはそれをすることで、余裕を見せつけているのだ。現状俺を封じている氷弾でもまだまだ本気ではないと、暗にそう示している。


「その挑発、乗ってやるよ!」


 右手の小盾の修復を放棄し、岩石砲を展開する。

 形状は今までと同じくただの岩石。ジダオの氷弾よりも大きく、多くは勝ちあう。ただし、威力はジダオの方がはるかに高く、俺の岩石砲は容易に破壊される。

 だがそれでもいい。盾で防がなくても凌げる程度に威力を減衰させられれば問題ない。


 氷弾をガン無視してジダオまで直進する。

 岩石砲に当たらなかったものだけ左手の小盾で受け止め、右手には短剣を生成する。

 身体強化で向上した走力は一瞬で俺の身をジダオまでたどり着かせ、氷弾をものともしない。


「近接戦闘に持ち込めば俺の方が有利なんだよ!」


「馬鹿が! そんな鉄の鎧なんて着込みやがって! この距離で電光を出せないとでも思ったか!」


 手を伸ばせば短剣がジダオの鼻先に届く距離。その至近距離で、ジダオが電光を放ってきた!

 さっき発射速度が遅かったのはわざとということか。俺を油断させるための罠。

 

 だが、そう簡単に殺られるかよ! 挑発に乗ったんだ。このくらいは対処できなきゃならない。

 迫る電光に対して速攻で岩石の壁を生成する。寸前のところで防がれた電光はしかし、その威力をもって壁を破壊した。

 それでも一拍でも隙が作れれば身体強化で避けられる。


 不意の一撃を防いだ俺は壁の残骸から横に飛び出て正面を向いているジダオに迫る。

 電光が使えるとわかって即座に鎧を脱ぎ捨て、代わりに岩石の鎧を再生成する。金属の盾は捨てて、手首に固定する形で岩石の盾を二枚生成した。

 武器は短剣ではなく両手で装備するロングソード。これだけは金属製だ。こんなところに雷撃が当たっても俺には関係ないからな。

 二枚の小盾で重量を底上げし大ぶりの大上段の一撃をお見舞いする。つま先まで伸ばして高さを稼ぎ、膝を大きく曲げて。


「そんな見え見えの攻撃に当たるかよ!」


 ジダオはこれを後ろに少し下がって躱す。着地の瞬間に沈み込み追撃の隙を完全になくしていた。

 ロングソードを降り下ろして無防備な俺の頭を食らうように顎を大きく開いて噛みついてきた。

 曲げた膝を即座に伸ばして横に転がる。ジダオの反応能力は高く、これにも反応して軸を合わせ追撃を放ってくるが、小爆発を起こして離脱する。

 ジダオの噛みつきは空を切り爆炎で視界を遮った。


 だがこの程度でジダオが追撃をやめるはずがない。目が見えなくとも奴には聴力と磁覚がある。

 思えば、赤道ギニアにあるビオコ島から、北アフリカにいた蝗魔王ワンの位置を正確に把握していたジダオの索敵能力は計り知れない。

 個人でそれを扱えることを考えれば、人類のどんな技術よりも格上。


 予想通り、ジダオの居た位置から力の前兆が見えた。さっきよりも距離が近く、もしもあれが電光なら、さっきみたいに避雷針と力の波は間に合わない。即興の電光なら岩壁で防ぎ切れるが、これはさっきより明らかに出力が高い。

 氷弾なら数発この身に受けても問題はない。


 弾丸を避ける方法でこいつの電光も避けられる。弾丸を人間が避けるには、弾を撃つ予備動作と撃つ場所を把握する必要がある。

 そして相手が弾を撃つ前に体を縦に動かしたり、少し移動したりして避けるのだ。この方法なら弾丸の速度は全く関係ない。蝗魔王の眷属から学んだ。


 今回でいえば、予備動作は分かっている。だが奴が弾を撃つ場所は分かっていない。

 だが! ここは奴の索敵能力を信じて避ける!


 即座に体を縦に動かしつつジダオとの距離を詰める。さっきの位置から半歩程度しかズレていないが、ジダオの射撃能力と索敵能力は一級。

 俺の予想通りジダオは電光を俺がさっきまで居た位置に放ち、方向性を与えられた稲妻は俺に吸い付くことなく真横をすり抜ける。


「これで終わりだぁぁ!」


 爆炎を通りつつジダオの顔面にロングソードを叩きつける!


 ッッ!!


「お前が電光を避けると、信じていたぞ!」


 爆炎の内側で半歩引いて構えていたジダオは俺のロングソードをひらりと躱し、振り向いて後ろ足の蹴りを叩き込んできた。

 筋肉量の多い背面からの蹴りは岩石の鎧を無視して俺の顎にめり込み、脳を大きく揺らす。


 綺麗に蹴りを食らった俺は脳震盪に耐え切れず崩れ落ちてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ