12話分
物語は、咲良が神に出会う所から。
咲良がその人、神と出会う。
神は白い髪で長い髪を持っていました。
「あなたをずっと見守っていた。あなたは選ばれた。だから、私と愛を育もう。」
その人はそう言う。
「あなたは誰ですか?」
「私は神と呼ばれる者。あなたは私と一緒に愛を持つ者。」
その人は名乗ってそっと同じである事を愛と云う言葉で示す。
「この不幸な世界はどうにか成らないのですか?」
「どうにも成らない。」
そう言って神は世界を見ている。
彼女らは遠い高い世界でその世界を見ていた。
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そこから降りて、彼女らは互いに愛を誓った。
咲良は、友人の有子に本を貸しにいった。
有子は物語が好きで、内気な不幸な女の子。
彼女は、物語を読んでから咲良にこんな世界にいきたいと、ぼそぼそと言うのだった。
だが、彼女は、1人暮らしの引きこもりの様な学生に過ぎないのだ。
だから、そんな世界にいく事は、妄想に過ぎなかった。
ならば、彼女に咲良が本を貸して、そう云う妄想を届けてあげるのが、今現在の状況だった。
だからこそ、愛を咲良が彼女の本に求めるのだ。
要するに、愛の変形とも言うべき関係にあったのだ。
ひねくれた愛ではあるが、友人そのものであった。
すなわち、友人とは愛の隣人なのだ。
要は、愛さえもつなぐのが本だけなのだ。
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有子の話はともかくとして、奈無と云う女性について。
奈無は、咲良の姉である。
成人した姉は、まあ仕事をしているが、その仕事とは、出版の仕事である。
かの有名な小秘為出版の勤めをしている。
だから、本の事は恐らく、ほとんどの人よりは知識がある。
姉は、本の世界に入った事があるのだと言う。
すなわち、それの事を咲良に対して、全てを話した事がある。
本の世界は、立体であり、図形であり、紙である。
すなわち、本の世界とは、現実の世界と隣り合わせに成っているらしく、すごい理想と異形の世界なのだと言う。
だから、姉は言う。
「本の世界はとにかく、未知の所だから、体験すれば、出世出来るわよ。」
そんな感じの関係なのである。
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それを有子と共に体験する機会があるとは、この世界に神はいるものだ。
「まず、咲良と有子は読書をしようとしていた。
その時、本ではなく目がうずき出した。
そのまま、うずきが激しく成って、2人は視界が白く成っていった。
白い視界が黒く成っていく。
闇。
それから、フラッシュバックの様に文字が目に浮かんでくる。
“あなたは招待されました。”
“これから、物語を開始します。”
異世界と云う奴だろうか?
すぐに、名前が出てくる。
“神による世界の物語(ザ・ストーリー・オブ・ザ・ワールド・バイ・ゴッド)”
(ちなみに、神による愛の物語は、ザ・ストーリー・オブ・ザ・アフェクション・バイ・ゴッドである。)
そして、光が2人を包み込む。」
仲間、世界、正義。
これが夢であったなら、滅茶苦茶な行動をしていたかもしれない。
仲間がいて、世界が広がり、正義を持っている。
そう云う物語である事は、間違いない。
ともかく物語を進める事にする。
私は、サラと言う。
まあ、もちろん、正義があり、仲間がいる為に世界へ旅立つのだ。
サラは仲間と共に、アリスを探していた。
一緒にきたらしいのだが、何分結構前の事なので、ちょっと曖昧だ。
アリスがいるであろう図書館の町である、ア・ロット・オブ・ブックに足を踏み入れる。
ア・ロット・オブ・ブックでは、図書館がありのだが、図書館が各所にある。
だから、いちいち探すのだ。
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ア・ロット・オブ・ブックは、やはり、図書館の町だった。
しかし、アリスはどこにもいなかった。
そこで、サラは次の町にいく準備をした。
しかし、アリスは、意外な所で見つかった。
図書館ではなく、出版の工場である。
アリスを連れて、サラは、仲間の所にいく。
ア・ロット・オブ・ブックを離れる際に、サラとアリスは図書館から本を譲り受けた。
「神による世界の物語(ザ・ストーリー・オブ・ザ・ワールド・バイ・ゴッド)と云うこの世界である。」
そのまま、旅を続ける2人と仲間。
しかし、目標がなくなったサラは、新たな目標を立てて、アリスとその目標に向かって旅立つ。
その目標の途中で、ライバルに出会う。
トジである。
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トジは女であるが、ちょっと男っぽい所がある。
だから、サラとアリスと関わる時は、口調が男の様なものに成る。
しかし、他の人には、女言葉を使っているので現実の世界と空想の世界を使い分けているのかもしれない。
サラは、彼女に本名を聞いてみた。
どうも、十字と言うらしい。
まあ、恐らくキリストの十字架から取ったのだろう。
あれは、すごい物語だった。
まあ、キリストは置いておいて、彼女は、サラとアリスに、好意があるらしく、一緒に旅をしたいらしい。
だから、今、一緒に旅をして、本の国から家の国に入国した。
3人は、入国した際に情報収集をした。
家の国は、家がいっぱいある。
だから、家に泊まるのは、当然の事である。
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3人は、領主の家に訪れた。
領主は、初老の男性で、3人を出迎えてくれた。
彼によると、国の戦争によって、ここら一帯が焼けてしまったらしい。
荒れ野原を駆ける3人。
戦争の国主である1人の王・名をセージ。
男の様な名前だが女である。
彼女に話をする為に、戦争の元であるセージと云う町を訪れる。
彼女は、戦争と言うばかりに剣を持って指揮をしていた。
遠くで指揮が出来るのは、「家の中の遠距離戦争」と云う本があるからだ。
本の町からそれを持ってきていたのである。
戦争は五分五分と言ったところか。
そのセージに、3人は話をしにきた。
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「どなたかな?」
セージは何と言うか、王的な貴族的な喋り方をしていた。
3人は、それぞれ、物言いがあった。
サラは、どこの国の人か?
アリスは、本について詳しいのか?
トジは、彼氏はいるのか?
いずれも、自分達の世界の住民である事を前知識としての議論に成る予定であった。
しかし、セージは無言で3人を見て、メモを寄越した。
そのメモは厚い本であった。すなわち、日記であった。
日記は、最新は今日だが、とりあえずこの様な事が書いてあった。
“友人は、今日、私との戦争を何故か、続ける方針を示した。”
セージは、喋り始める。
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「友人は、カナと云う名前。火に何と書いて、カナ。向こうの王国では、王が戦場で指揮を執る訳じゃなく、カナが王でもないのに指揮を執っている。今回のもカナの一存らしい。」
「そうですか。」
「カナは、どうして戦争を始めたのですか?」
「どうしても何も、私との不仲だよ。」
「なら、仲直りすれば良いのでは?」
「いや、向こうが仲直りする気がない様だ。」
「そうなのですか。では、私達が仲直りさせましょう。」
「よし、任せよう。」
「では、これで。又。」
「・・・・何も喋れなかった。」
「何か、心当たりがあるの?アリス。」
「いえ、別に。」
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しかし、そうは言っても、彼女は、王に対して付きつけようと思っていた事があった。
友人の主張は恐らく、反対の事だろう。
であるならば、王の嘘に対して、現実の関係がどうであるかを突きつけようと思っていた。
「なら、王を屈服させる事、それが最善。」
アリスは独り言を言うのだった。
となりの王国に、3人は着く。
となりの王国では、戦争の作戦決行が行われていた。
それが3人が情報収集したゆえに、分かった事だった。
3人はまず、王国の首都カーナに向かった。
カナに会う為に、申し立てをするのだった。
申し立てが承認された時、もう戦争が再開されようとしていた。
「何でしょうか?」
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「私達は和平の使いです。」
アリスが続けて喋る。
「王セージが和平を申し出たいと言っています。」
「そうですか。でもセージは、和平なんてむすびませんよ。」
「いや、戦争を始めたからには、終わらせるのも仕事でしょう。」
サラが口を出す。
「いえ、私達が始めたのではなく、セージから始めたのです。」
「その様ですね。」
「分かっているのですがか、あなたは賢い様ですね。」
「そうかもしれません。」
「では、セージと直接会える手筈を整えて下さるのですね?」
「はい。ですが、話し合いは私が指揮します。」
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「構いません。」
カナとの話し合いが済んだ。
セージの国・家の国へと戻る。
セージは、指揮をしながら、日記を書いていた。
そこへ、3人が戻ってくる。
「どうだったか?」
「こちらに、きて、あなたと話し合いをするそうです。」
「ご苦労だった。私が話そう。」
それから半刻(30分)過ぎて、カナがやってきた。
「よし、じゃあ、話し合おう。」
「ええ、存分に。」
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