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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ルーベンス・エルクトリア

作者: セロリア

ココア村。


辺境の田舎、魔族と人間のハーフが当たり前の村に、今日男の子が誕生した。


男の子の名前は、ルーベンス・エルクトリア。


吸血鬼とハイエルフとのハーフである父親と。


ドワーフとバーサーカー (人間)のハーフである母親との間に産まれた。


男の子の成長は極めて早かった。


人間の一歳で、5歳くらいに成長した。


人間換算三歳で、15歳くらいに成長。


しかし、そんなのは日常茶飯事の村、誰も驚かないし、気にしない。


それから2年が経過。


背が伸びない。


何も容姿が変わらない。


90年後。


母親は寿命で死亡。


父親は今度は吸血鬼の女性と一緒になった。


しかし、吸血鬼同士は子孫は残せない。


新しい母親から惜しみ無い愛を貰い、心は成長していく。


そして300年が経過。


厳しい修行を終え、父親との一騎討ちにも勝利し、父親、母親から装備一式を譲り受け、ココア村を出ていき、旅をして、老後にまた帰ると約束し、出発した。




ドレインタッチとエクスクラヒールしか魔法を使えないルーベンスの冒険が今走り出す!






ルーベンス「迷った!」


鳥〈プアーープアーー〉


ルーベンス「何だよこの地図!目印はこの沼よ❤️、って!沼がドコですか?ああん?これはあれですか?いじめですか?ふざけんなまじで!こんな地図なんの役にも立たねー・・ん?」


地図に迷ってしまったら裏を見なさい❤️と書いてある。


ルーベンス「・・母さん・・ありが」


見た。


裏地図〈馬鹿がみーるー〉


ルーベンス「糞があああああ〈バリイ!〉」


ルーベンス「もう良い!今日は日も暮れたし寝る!」


木の上に忍者みたく駆け登り、ハンモックを取り出し、結び、寝た。





深夜。


獣耳少女を背負った人間女騎士が追われている。


少女は背中、足に矢を受けている。


追っているのは騎士の男達。


人間女騎士は30代後半だろうか。


獣耳少女はまだ3歳くらいだろうか。


ルーベンスから2キロ。



ルーベンス「〈ス〉」 


体温感知の嗅覚が働き、長い睫毛が上がった。







女騎士の足に矢が刺さった。


転び、少女が落ち、滑る。


少女はもう息も絶え絶え。


女騎士「おのれ!これが!これが騎士のする事か!!誇りは無いのか!我々と山賊との違いは誇りではないのかあ!」


男騎士1「ふう・・やれやれ、危ない危ない、もう少しで魔王領域だぜ、不可侵領域まであと少し!かー?惜しかったなあ?ええ?おい?」


男騎士達『ハハハハハハハハハ』


女騎士「恥ずかしくはないのか!お前は!お前らは!何も罪がない獣人奴隷を裏売買していたのだぞ!陛下にご報告する!お前達は断罪だ!死刑がお似合いだ下衆共め!」


男騎士達『・・』


顔を見合せ、また笑う。


女騎士「何がおかしい!」


男騎士達『だあれがこんな辺境まで助けに来るんだ?ひゃははは!馬鹿は馬鹿だなあ!お前も見てみぬ振りをすりゃあ良かったのに!ばあか!』


女騎士「お前達には必ず神罰が下るだろう!お前達の寿命は残り僅かだ!お前達の魂は永久に地獄の炎で焼かれて〈ザシュ!〉うぎぎぎいいいやああああああああ!!!!」


女騎士の左腕が切られた。


痛み、転がる。


男騎士達『地獄に落ちるのはてめえが先みたい、じゃあねえ、お馬鹿さん、ぎゃはははははは《ボギャ!!ボチャッベチャ》へ?』


男騎士達の体は腰から下がだるま落としになり、下腹部が地面に接した。


男騎士達『・・う・・うぎゃあああああああああああ!!!!』


女騎士「う・・く・・だ・・だ・れ・・?」


女騎士、獣耳少女は気絶した。


男騎士1「な!?何だよ!?何だよお前えええ!?」


男騎士2「ヒール!早くヒールヒールヒールう!」


男騎士3「ヒール!ヒール!ヒールうう!・・・・ヒール、うう、ヒール、ひいる、ぐす、ひいる・・うええ・・たすけ〈ボ〉


完全にバラバラな下半身をヒールごときで治せない事に絶望しながら、ただの前蹴りで男騎士3の頭は消えた。


男騎士達は口をパクパクさせ、ただ、ルーベンスが少女と女騎士を抱き抱えて去る姿を見る事しか出来ない。


静かになった。


男騎士達は徐々に頭が朦朧としてきた。


獣らの小さな足音に囲まれたのは解るが、それ以外は解りたくなかった。


体中に激しい衝撃がゆらゆら、ブチ!ブチ!ゆらゆら、ブチ!ブチ!と何度も走る。


自分らは今、沢山の獣に囲まれている。


その獣らは自分らに何をしているのか。


男騎士達『・・無くなってくれ、消えてくれ・・はやく・・殺してくれえ・・』


願いは空しく、暫く続いた『囲いの口達』に、悲鳴さえ飲み込まれた。




ルーベンスは慣れない手つきで薪を拾い、火の魔石を使い火を起こした。


エクスクラヒールを使い、完全回復した二人を一枚しかない毛布で繰るんで暖めた。


人間と弱い獣人は暖めた方が肉体にも心にも良いと母親から教わっていた。


獣少女は起き、火の見張りをしてるルーベンスに一目惚れし、ルーベンスの座る石の隣の石に座った。


ルーベンス「・・」


獣少女「・・」


ルーベンス「お腹空いた?食べる?さっき捕った、新鮮だよ?」


ホーンラビットの丸焼き。


ジュージュー音、美味しそうだ。


獣少女「・・食べる」


ルーベンス「そか、ほい」


爪が長くなり、肉を器用に切り分け、尖った枝に刺して与えた。


獣少女はハフハフしながら食べている。


尻尾はフリフリ、嬉しいのだろう。


女騎士「・・」


既に起きていて、切り落とされた筈の腕を擦りながらじっとこちらを見ている。


ルーベンス「お前も食べるか?ホーンラビット」


女騎士「・・かたじけない」


ルーベンスは食べないで、全て二人にやった。


女騎士「美味しい!」


ルーベンス「はは!慌てるな」


獣少女「私ミリヤ、あなたは誰?」


ルーベンス「俺はルーベンスだ、まあ魔族と人間のハーフだ宜しくな、お前は?」


女騎士「私は、バラゴンという国の正式な軍隊の中規模大隊の副隊長をしている、テトラ・バームストンと申す、この度は・・誠にかたじけない、このご恩は決して忘れぬ、延いてはお主に相談があるのだが」


ルーベンス「まずは食え」


テトラ「ぬ、まあ、そうだな」


ミリヤ「美味しい~むふう~」





ミリヤがまた寝ている横で商談成立。


ルーベンスは警察役テトラ、証言者役ミリヤをバラゴンの警察上部へ報告する為の旅の護衛をする事になった。


ルーベンス「よし!んじゃ、明日な、やー、良かった、良かった、これでこの森をー」


テトラ「ん?何か言ったか?」


ルーベンス「べ、別に?ははは」


ミリヤ「ミリ、ルーベンスと寝るー」


半寝ミリヤが起きてきて、呟く。


ルーベンス「よし、寝るか?」


ミリヤ「うんーおやしゅみゅー」


布団に一緒に入る。


テトラ「ふふ、すっかりそなたになついたな」


テトラは火の側で座り寝をしようと。


ルーベンス「?何やってんだ、お前もだ、早くこい」


テトラ「んな!?」


ルーベンス「?座って寝るつもりか?危険を察知したらまず俺が起きる、大丈夫だ」


テトラ「い、いや、し、しかし?」


ルーベンス「早くしろ」


ミリヤ「テトラー、ルーベンス暖かいー、気持ち良いよーふああぁー」


テトラ「・・で、では・・こ、こうか?」


ルーベンス、ミリヤ、テトラの順に川の字。


ミリヤ「お父さんとお母さんだあーみゅー」


テトラ「ば、馬鹿な!?こ、これは一枚しかないから仕方なく?」


ルーベンス「ほらほら寝るよ」


ミリヤ「すー、すー、すー」


ルーベンス「ふあー、はふ、すー、すー、すー」


テトラ「・・・・」


寝顔のルーベンスを熱い瞳が暫く見て、安心し、眠気が来て、いつの間にか寝た。


焚き火の周囲には獣達が蠢いている。


一匹が我慢出来ずにテトラの方から襲った。



〈プン!〉


襲った一匹の体に小さな穴が空き、倒れた。


獣達『!?』


ルーベンスの手の中にある大量の小石。


親指が常に張っている。


指弾。


襲おうとした瞬間に獣らの体は貫かれる。


獣達『・・ち』


獣らは本能でそれが解る。


諦め、去って行く獣達。


静かな時間が流れ、星、焚き火が煌めく中、3人は熟睡した。


朝、野トイレを済ませ、出発。


巨大な魔獣に出会う。


ルーベンスの目を見ると狂ったように襲ってくるモノも居れば、逃げて行くモノも居れば、ただ、無視をするモノも居た。


ルーベンスの側に居れば安心だと感で解る程に、ルーベンスの強さは圧倒的だった。


途中村に立ち寄った際、数々の困難であろう任務を簡単にこなすルーベンス。


ある村では原因不明の病が流行していたが、ルーベンスのエクスクラヒールにより、村周辺の広大な森までが浄化され、野生獣達でさえ救われた。


夜。


とうとう王都に到着。


王都でも同じように原因不明の病が流行していた。


夜中まで待ち、高い鐘の棟に無断で駆け登り。


同じようにエクスクラヒールを使い王都、周辺の森まで浄化。


翌朝。


王都からはみ出す程の魔方陣、光、そして王都には巨大な魔方防御解析結界が張り巡らされているが、それさえもすり抜けて効果を発揮した事からかなり高度なプログラミングされた魔方陣だという結論に至る。


それは誰がやったのか?


報償金を餌に探したが見つからなかった。


そしてルーベンスは警察上部へ無事送り届け、裁判により、同じく上部の一人が黒幕と判明。


死刑と判決が下るだろうとカフェで後に聞かされた。


ルーベンスはテトラとミリヤと一緒にお茶を飲む。


ルーベンスは冒険者となって既に稼いでいた。


ミリヤは死刑になる前の大事な証人だから暫く預かってくれると助かるという依頼だった。


テトラが頭を下げる。


ルーベンス「ん、良いよ、ドラゴンで散歩するか?ミリヤ」


ミリヤ「わあい、するう!」


かなり厚着をミリヤにさせ、レッドドラゴンの背中で固定された座椅子で雲上の散歩。


雲には乗れないとミリヤはショックを受けていた。


そのまま、海、火山、砂漠地帯を空中散歩。


砂漠の夜。


レッドドラゴンは体温が暖かい。


レッドドラゴンの羽に包まれルーベンスとミリヤは眠った。


朝。


野トイレを済ませ、砂漠から飛び立つ。


王都へ帰還。


今日は裁判の日。


悪い上級魔導士らが検索魔方をフルでかけ、何処にいるのか探していたが、ついに見つからなかったのに。


最高裁判所に上空から現れたミリヤ。


特級防御魔方を張った司法官の庇護下に入るミリヤ。


ルーベンス「任務完了か?」


司法官「完了だ、ご苦労だった、大義である」


ルーベンス「ミリヤ、大丈夫だ、全部喋ってこい!」


ミリヤ「うん!」


記憶映像起こし魔方により、残虐、卑劣、そして数々の部下らの証言により、黒幕の下共が判明、そこから芋づる式に最高議会幹部であるギノーシン家当主が黒幕と判明した事を立証。


最後にミリヤが一切嘘をついていない魔方装置が起動。


判定、白。


最高裁判官の首が立てに動いた。


判決、ギノーシンを記憶魔方にかけた後に組みした人物の聴取の為ギノーシンの死刑は延期、ギノーシンは隔離施設へ移送される。


ギノーシンは最後まで殺してくれと懇願して退出して行った。


ミリヤの両親は村ごと人間との戦争で灰に。


親戚のお姉さんも獣人権が保護された奴隷として働いていたが、ミリヤと一緒に裏に売られ、酷い仕打ちの性奴隷にされ、死んだ。


ミリヤはまだ幼かった為にまだまだ商品価値があるとして大事に舐められるサービスまでに留まっていた。


テトラは単独で捜査していた結果、尾行、アジト発見、ミリヤを見つけ、逃げた。


よって、ミリヤには頼る人が居ない。


テトラは寮で暮らしている為にミリヤを預かるのは不可能。


テトラはルーベンスに願い出た。


ミリヤは下を向いて、震えている。


ルーベンス「・・解った、一緒に暮らそう、嫌になったらいつでも出ていけよ?ははははは」


ミリヤ「!!う、うううわあああああん!うわああああん!」


ミリヤはテトラに抱きつき、泣いた。


テトラ「嬉しいんだよねー、よーしよーし、よーしよし」


ルーベンスと一緒に暮らすという事は。


奴隷条約第三章三項目の二条目、奴隷の身元引き受け人が見つかり次第、その奴隷は受け入れられた存在とし、奴隷という身分から一般国民へなったものとする。


ルーベンスは冒険者としてギルドに登録出来ているから、ギルド民権がある。


ギルド民権とは、人間同士の各国が協定を結び、軍隊とは別の話で、冒険者なら自由に行き来出来るという制度だ。


ギルド民権とはある意味世界に認められている人権だ。


中央市役所で引き受け人手続き。


ミリヤの手にあった奴隷印は消えた。


ルーベンス「よし!お祝いだな、何か食おう?腹減ったわ」


ミリヤ「・・」


ミリヤはルーベンスの太ももから離れない。


ルーベンス「?抱っこ?」


ミリヤは頷く。


ルーベンス「ほらよ」


ミリヤはルーベンスの首に抱きつき離れない。


ルーベンスの髪の匂いをクンカクンカして、尻尾をフリフリ。


ルーベンスが幼女を引き受けたニュースは各ギルド、特に王都受付嬢らに衝撃を与えた。


各ギルドのおっさん達も驚いた。


おっさん戦士1「かー?あのルーベンスがねえ?いやあー、あの鬼がねえー、はあー!」


おっさん戦士2「優しいのか?本当はアイツ?ははははは」


おっさん戦士3「馬鹿だねえー、冒険者は舐められたら終わりなんだよ!アイツも終わりだな!がはははは!」


それを聞いている勇者一行。


勇者人間女「ルーベンスかあ、いいなあ、会ってみたいなあ」


魔法使い人間男「馬鹿、とんでもない化け物らしいぞ」


戦士人間男「いやあー、一回手合わせお願い出来ないかねえははは」


勇者人間男「てゆうかご飯まだ来ないんだが」


勇者人間女「良い男っていじり概があるのよ~」


受付嬢ら『やっぱ優しいんだアイツ❤️、コブ付きかあ、素敵~、男が幼女育てれる訳ないしゃん直ぐに投げ出してまた売るんじゃない?、それかロリコンだったり~?、ぎゃははははそれ超ウケる~』




各意見がある中、ルーベンスは取り敢えず住む場所を確保する為に商会を尋ねた。


毎日宿には泊まれない。


予算を聞かれ、予算は考えなくて良い事、ミリヤがのびのび暮らせる環境である事、ミリヤが一人出歩いても問題ない治安である事を条件に出した。


商会、会長、タルバート「丁度良い物件がありますよ」


ルーベンス「助かります」


タルバート「こちらになります」


ルーベンス「・・これは・・アパートですか?」


タルバート「ただのアパートではありません、元、戦士、魔法使いが多く住むアパート地帯です、そこに悪者はまず近寄りませんし、近くに市場、学校もあります、ただ少々お高いですが」


ルーベンス「解りました、此処に決めます」


タルバート「では、手続きを進めますので此方の書類にサインとー~、~」








宿屋の娘から告白され、優しく断り、ルーベンスはアパートに向け出発。


到着。


元々冒険者らの住むだけあり、頑丈な造りだ。


ミリヤはルーベンスと手を繋ぎながら歩いて階段を登る。


3階、間部屋。


鍵、扉を開け、進み、まずは部屋の窓を開ける。


市場が少し遠くに見える。


空が青い。


風が入ってくる。


ルーベンス「・・おお・・街中の小高い丘の上だけあって、市場近いなあ!美味しそうな匂い!これはパンか・・それに風が気持ち良い!んーーー!はあ、此処なら安全だし、学校近いし、市場に一人で買い物行けるな!ミリヤ?」


ミリヤ「・・ルーベンス・・本当にえっぐ、ありがえっぐ、とう、えっぐ、私の為にえっぐ、何でもしてくれて!えっぐ、ありがとう!えっぐ、えっぐ」


鼻水、涙でぐしゃぐしゃな顔。


ルーベンス「・・ミリヤ、良く聞くんだ」


頭を撫でる。


ルーベンス「俺はお前より遥かに長生きする、きっとお前がお婆ちゃんになっても、俺はこの姿のままだ」


ミリヤ「すん、すん」


ルーベンス「だから、俺はお前とはずっと一緒には居られない、お前は成人するまでに俺が鍛える、そして、一人で生きて、食べて、寝て、男を見つけて、子供を作り、ベッドで死ぬんだ、解ったか?」


ミリヤ「・・」


ルーベンス「・・」


ミリヤ「私のお父さんに、なってくれないの?恋人にも?」


ルーベンス「俺の目を見ろ」


ミリヤは目を見る、覚悟の目だった。


ルーベンス「ああ、ならない、ずっと、友達だ」


ミリヤ「・・」


ルーベンス「・・」


ミリヤ「解った」


ルーベンス「よし、何か食べに行くか?」


ミリヤ「うん!食べるー!」


ミリヤは本当はショックだった。


しかし、俺に甘えるなという厳しいルーベンスの態度に、瞳に、生きるという事を学んだ気がした。


寂しく、孤独で、だからこそ、ミリヤは友達を欲し、男を欲し、子供を欲した。


ミリヤはお婆ちゃんになり、沢山の孫、親戚に囲まれ、完全痴呆状態。


〈キイ、パタン〉


ルーベンスが来た。


子供らと、親戚中が驚く中、ミリヤに近づくルーベンス。


息を引き取ろうとしていた痴呆のミリヤの瞳が広がり、上半身が起きあがった。


親戚『奇跡だ、信じられない!、あああ』


ミリヤ「・・あ、ああああ」


ルーベンス「良く生きたなちびっこ、偉い、偉いぞ、偉かったぞ」


抱きしめミリヤの頭を撫でる。


ミリヤ「ふうぅ、・・ふうぅ・・」 


必死にルーベンスの後ろ髪の匂いを嗅ぐミリヤ。


そして。


ルーベンスに回していたミリヤの腕が落ちた。


家族、親戚が泣く。


ルーベンス「悲しむな、これは卒業だ、お疲れ様でしたって、見送ってやれ」


子供達『ヴン、ヴン、解っだああ、げほげほ、お婆じゃあああ、おじゅがれしゃまああああ』


親戚、大人『最期に来て頂いてありがとうございました!ありがとうございました!ありがとうございました!ありがとうございました!』


ルーベンスはお辞儀をし、退出した。






鐘の棟。




鐘がなる時間。


鐘の屋根の上にルーベンスの姿があった。


座り、大声で泣く声は、鐘の音に消えていた。







Fランクお目付け役兼補佐、ルーベンス・エルクトリア。



受付嬢「ルーベンス様!生意気な新人冒険者パーティーがあ!勝手にまた見合わないレベルのクエスト行っちゃったみたいなんですう!!」


ルーベンス「またあ!?ったく、解った!何処に行けば良い?」


受付嬢「アラロ山脈の吹雪地帯のヒビリザードンの討伐ですう!うええん、ごめんなさいいい」


ルーベンス「まった寒いとこだなあ、本当好きだよなあ山脈とかさあ、新人冒険者ってのは!はははは」


受付嬢「うええん、お願いしますうう!」


ルーベンス「解った解った!泣くな泣くな!必ず連れ戻すから!じゃな!」


《ドン》


異世界召喚された男勇者にぶつかった。


ルーベンス「あ、すまん」


勇者の方が尻餅。


男勇者「~~あにを!?僕は勇者だぞ!?その態度はなんだあルーベンス!!たった5回勝ったからって調子に乗んなよ!!あれから僕は死ぬくらいの修行を・って待てコラあ!!何処に行くう!!」


ルーベンス「すまーん!急いでるんだあ!ははははは」


男勇者「ったく、まあた死ぬ筈の新人助けか?お人好しだなあアイツも」




街道を走る。


ルーベンスが口笛。


レッドドラゴンが街の上を飛んで来る。


ルーベンスとは反対から飛行してくる赤いドラゴンには、胴体に頑丈な紐が数本張り巡らされている。


ルーベンスがドラゴンに向かって走っている。


走るルーベンスに大きな街道を往来する人々は喝采を浴びせる。



お洒落な服屋婦人「頑張んなよお!」


八百屋主人「気張って来いよお!」


子供達『ルーベンスう!頑張れえ!』


婦人ら『きゃああ!ルーベンス様ああ!!』


一回ルーベンスに敗れた女戦士「ふん、無駄な事を」


一回ルーベンスに敗れた女魔法使い「死ぬんじゃないわよう!あんたをやるのはアタシなんだからあ!」



ルーベンス「ふ! 〈ダン!〉」


ルーベンスが跳び、すかさずドラゴンと接触、ルーベンスは空の彼方に見えなくなった。



《END》



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