第9話:不和
年内になんとか更新……
前回までの主人公は、盗賊カマーセを見事撃退し、町のピンチを救い颯爽と町を出た・・・・・・まあ実際には酔ってトイレを探しに道に迷い、ばったりとカマーセに出くわしただけなのだが・・・・
まあその後は馬をゆっくり走らせ、オワーリの街まであと少しの所までき、少し休息を挟んだあと再度出発をしたのであった。
その後は特に取り留めることも無く、無事に街に着いた。
例えば街に入る前にひと悶着起こすとか特に無いのである。
では街に入ってからは?
それは・・・あった。
よくあるスリである。街に入って来た者をターゲットにする、日が浅い流れ者が狙ってきたのである。
金の匂いに誘われてゆらゆらとやってきたが、手を懐に向けた瞬間、ショートソードで腕をバッサリと斬られたのである。
「ぐぅああぁー!?い、痛ぇよぉおーー!」
「・・・・・」
スリの男はあっさりと失神した。
腕を斬られたからでは無く、血を流し過ぎたからでも無い、男の凍えるような冷たい瞳を見た為である。
心を護る為、本能が失神を選ぶほどの冷たい瞳であった・・・だが実際は違う。
ただ単に考え事をしていただけで、反撃したのも体に染み付いた癖でやったに過ぎなかった。
周りも一瞬騒然となったが、よくある風景だと思い、日常生活に戻っていった。
そして我らが主人公はまだ考え事をしていた・・・・軽食をとるか、ちょっと我慢してディナーを豪華にするかというどうでもいい悩みで。
ここがよくあるフラグポイントであった。
このスリの男は年の離れた病弱の妹の薬代の為に、スリを行ってきたのである・・設定モリモリであるが。
スリという行為自体は咎めるが、病弱の妹の為にっという思いに心を打たれ、幾らか融通するのである。
その結果、何やかんや色々あって病は治り、兄の方は主人公の男気に惚れ、舎弟となり妹の方は主人公に対し好意を抱くのである。
だが、この世界線では違う。
兄の方は結局血を多く流し過ぎた事が原因で死亡。妹の方は借金の型に奴隷商に売られたのであった。
その妹はある好事家に買われる所をある盗賊の一味に救われ、その恩義を返す為と亡き兄を斬った男に復讐する為に技を研いていったのであった。
その出会いは意外に遠くないのかもしれない・・・・
そんな事になるとは露知らず、我らが主人公は熟考の末にディナーを豪華にする事に決め、今夜の宿をまだ決めていない事に気が付き、慌てて宿探しを始めた。
何とか運が良い事に宿を見つけ、チェックインを済ませた後、換金出来そうな金目の物を持って早速街に繰り出した。
但しこのオワーリの街は大都市、それ故に大小さまざまなお店がある。
その中で一番金の匂いがプンプンしそうな店に入って行ったのである・・・・・・ただの感であるが。
Side:武器屋の主人
zzz………んごー………
"おい、寝てる今だぞ!盗め!盗め!"
"分かってるよ!おい、やるぞ!"
"へいへい、分かり……!"
「オレの店で、それもオレの目の前で、オレの商品を盗むとはとんだ太え野郎がいたもんだ」
「ち、違うんだ。ただちょっと…ぐぁ!」
「おイタしたんだ、腕は置いていきな」
そのデカイ図体に似合わずの一撃はチンピラの腕を簡単に切り飛ばした。
「ぐぁぁ…イテェェェ……!?」
「腕一本で済んだんだ、良かったな」
「ヒィ…に、逃げろぉ〜〜〜!!!」
そう言って慌てるように逃げて行った。
だが運が悪い事にそこに我らが主人公が入って来たのである・・・それも勢いよく扉を開けてというオマケ付きで。
"ぐへぇ"
やはり悪い事はすべきじゃない。
結果、見事に扉と壁に挟まれサンドウィッチとかした。
「たのもーーーう!ここは買い取りもやっているかね?かね?」
扉と壁に挟まったチンピラ共はガン無視で、謎のテンション高めで武器屋の主人に尋ねた。
「んあ?買い取り?そこに出してみな!」
武器屋の主人も最早チンピラ共に興味を無くし、買い取りについて話を進めていった。
「んー・・・なるほど、なるほど・・・・・・これ全部か?」
「ええ、そうです」
武器屋の主人は考えていた。
それなりに良い物が揃ってるし、中には業物クラスもある。
だから本来なら即買い取りたい!
でも・・・・・・金が無い。
何故か?答えは簡単、昨夜博打ですったから!
それも店の金に手を付けてという最悪なオマケ付き。
妻が湯治で暫く居ない事を良い事にハメを外し過ぎたのである。
「少し型も古いし、傷も多い・・・まあ全部合わせて中金貨30枚ってところだな」
主人公は目に見えてがっかりした。
この世界の事はまだ知らない事も多いが、業物の武器がそんなに安い訳がないんじゃないかと。
もしや安く買い叩いてる?
「買い取りに出すのやめます。失礼します」
「ちょちょ、おい!分かった分かった。色を付けて中金貨50枚だ!それにオマケしてそこにある剣もやろう。それでどうだ?」
ここがフラグポイントであったかもしれない・・・
性格には難があるが腕の良い鍛冶職人と縁を結べたかもしれなかったが、この世界線では出来なかった。
「取引はしない!失礼する」
そう言って主人公はさっさと出ていった。