第7話:用×用×用=御用
Side:主人公///
軽いバカンスも終え、頼んでいた武器も無事受け取ったので、そろそろオワーリの街へ向かおうかと考えていた矢先、例の盗賊から頂いたお宝を思い出した。
ずっと宿屋に置きっぱなしだったが、量が量である。
あれ等を持って移動するのは重労働になる・・馬が。
はて・・・どうしようかと色々と思案した結果、所詮はあぶく銭である、パァーと使ってしまおうという結論に達した。
それからの行動は早かった。
町の代表者に許可を取り、飲食店と商人に声をかけ、お世話になった人達を誘いと、その規模は徐々に宴というより祭りの体をなしてきた。
町のあちらこちらで食いや歌いやの大騒ぎ、流石の警備兵も取り締まるのかと思いきや、その警備兵も一緒になってどんちゃん騒ぎ。
今日ばかりは無礼講という事でみんなハメを外しているのである。
そんな騒ぎも明け方近くとなれば自然と終わり、みな眠りについたのである・・・・ただ一人を除いて。
そしてそれを見計らうように蠢く者達も・・・・
Side:盗賊カマーセ
いつも通り近くの街道でお勤めを果たした帰り、手下の一人から緊急の繋ぎが来た。
何かと読んでみれば、自分の兄貴分である大盗賊サーピンが討たれたのである。
それもどこから来たかも分からぬ氏素性の怪しい人物にである。
そんな憎き相手が、今現在アニキから奪った財宝を使って派手に遊び歩いているという・・・・
「許せねぇなぁ・・オイ野郎ども!急ぎ人を集めて支度しろ!アニキの弔い合戦だ!!」
そしてその数日後、町の手前にて集まる盗賊カマーセの一団があった。
彼等は気を伺っていた。今現在、町には副総監のミツカニーが滞在しているという情報を、町に潜り込ませていた手下の一人から報告を受けた為である。それ故、迂闊には近付けない為、町から少し離れた場所で待機しているのであった。
彼等は森の中でジーッと息を潜めていた。
今か今かと血気に流行る気持ちを抑え、町の奴等が最も油断する明け方前に討ち入る為に、虎視眈々と時を待っていた。
そして、とうとう盗賊達が動きをみせた。
町の方から聞こえる音や灯りも消えたのである。
彼等の動きは早かった。直ぐさま支度を整え、町に向かって行ったのである。
その数はおよそ30〜40人ほどである。
本来ならもっと人を集めたかったが、時間が足らなかったのだ。
そして町の門が見える位置にまで接近しつつあった。
潜り込ませていた手下の者を使い、門番やその付近にいる者を重点的にクスリを盛らせたのである。
その為、容易に侵入できるとカマーセは内心ほくそ笑んでいた。
その時である。
町から一人の男が出て来たのである。
男はゆっくりながら歩を進め、徐々にこちらに近付きつつあった。
それを見た彼等は瞬時に隠れ、頭であるカマーセの指示を仰いだ。
"ヤレ"
無言で頷いた手下の一人が標的に向かい走り出した。
闇夜に紛れ、一瞬のうちに相手の懐に入り込み突き刺した・・・・ように見えたが、なんと倒れたのは盗賊の方であった。
盗賊の一突きを一瞬の内に掴み取り、逆に突き返したのである。
恐るべき早業である。
歴戦の盗賊といえども全く反応が出来なかった。
一瞬の出来事に呆けていた一同は我に返った。
「チッ、何やってやがる!殺せーーー!!!」
一斉に得物を抜き、四方から斬りかかったのである。
だが、尽く打倒された。
上段から斬りかかって来た者には躱しざまに肩口を手刀でバッサリと。
槍で突いてきた者にはその穂を手刀で叩き落とし、首元をスパッと。
うしろで獲物を構えていた者にはその獲物ごと手刀でバッサリと切り伏せた。
男の手刀は名刀かくやという切れ味を誇っていたのであった。
30余名いた盗賊達もあっという間に討ち取られ、残るは頭であるカマーセただ一人だけとなった。
「て、てめぇ・・も、もしや!!!」
それがカマーセの最期の言葉となった。
そして男はおもむろにズボンを下げ・・・用を足したのである。
哀れカマーセ・・・男はただ単にトイレを探しに道に迷い、我慢出来ずに町の外に出て来ただけであった。
哀れカマーセ・・・・