第3話:不運
とある次元の狭間///
『全く・・ブツブツ・・・・ん、ぁあ、まあお主は直ぐには送れん。こちらの準備もあるし、お主はお主で力の使い方を学ばねばならんしの』
「あの〜・・こう言ってはなんですが、異世界?という所には行きたくないですし、そもそも死んでるのに交換もクソも無いと思うんですが・・このまま輪廻?に戻して頂く訳には・・・?」
『なんじゃと!?
お主、行きたくないと申すか!!!
それと交換(無期限)留学じゃ!
第一、日本人というのは異世界大好きなはずじゃろ!?
そも、お主はそういうジャンル読んでたはずじゃ!!!』
男は顔を朱くしながら答えた
「た、確かにそういったジャンルを読んでいたのは事実ですが、それは観るから楽しいのであって、実際に自分が体験するのとは訳が違います!」
『ええい、うるさい!ダーツで決まったのじゃ!!
儂が行けと言ったら、はい決定はい決定。口答えする奴は異世界に無条件で行く事に決まっておる。てか今決めた!』
男は呆然とした。
このクソジジイめぇぇ・・
ふと脳裏に神話がよぎった。アレを思い返してみればよく分かる。アレに出てくる神は大抵ろくな者がいないと・・
人から見れば神とは理不尽の権化!
関わりにならないのが本当は1番なのだが、これは無理そうだ・・・
己の不運に泣きそうになった・・・
最後にクソジジイ死ね!
『という事で"ポチッ"とな』
「えあぁ〜ぁぁぁ〜〜このクソジジイめぇぇ〜!いつか絶対にぶん殴ってやるからなぁぁぁ」
神は高らかに笑い、男は突然開いた穴に落ちていったのである。
「あの〜・・ところで、睡眠学習は何処を想定して行うんでしょうか??」
ざまあみろ!と隅で笑っていた女が神に訪ねた。
『まあ儂は優しいからの、インド系にでも・・・・』
「流石は主神様でごさいます!あれは中々の戦士になる素質があると思われます!それを瞬時に見抜く慧眼、このホチ恐れ入り奉ります!」
『お主もそう思うか。ハッハッハ、流石儂よ!それにあ奴は儂に感謝するはずじゃ。ちょちょっと睡眠学習するだけで、定番の俺Tueeeが出来るんじゃし。流石儂よ!略してさすわし!』
高笑いする主神を横に、女は密かにほくそ笑んだ。
あの人間には苦渋を味あわせられ、汚点とも言うべき物を付けられたのだ!当然、報いを受けるべきなのだ!私の痛みを思い知れ!
完全に逆恨みである。
自分の失態を棚に上げ、よく言うものだ。
まあ上のアレがアレなので、その末端がこうなのもある意味納得である。
『疲れたので儂は暫く寝る。あとは順次予定通りに送りだせ。あちらからも送ってくるであろうから、受け入れ準備を怠るでないぞ。あ〜それとあ奴の調整が終わったら、送り出す事も忘れるでないぞ』
"ハハッ"と、いつの間にか集まっていた複数の端末体が頭を下げた。
Side:主人公///
「うっ・・・頭がクラクラする・・・」
男はあの後、睡眠学習と称した拷問紛いの物を受け、何とか耐えに耐え、ヤバイ感じになりつつ、異世界に送られたのだった。インド・・ヤババババ!
「あのクソジジイめぇ!いきなり送るだけじゃなく、こんな人里無さそうな山奥に飛ばすとは!!」
"チッ"と舌打ちしつつ、睡眠学習で身に着けた気を探る術を無意識の内に発動した。
「・・・・・・何も反応が無い・・・」
男は膝を着いた。え・・・本当に?
こういう時の定番では、やんごとなき姫のピンチに颯爽と現れ、助けた後は何だかんだで恋仲になったり、盗賊に襲われた奴隷商の馬車を助けては、助けた奴隷の女性とパーティを組み、その後はハーレム物になったり、はたまたトラブルに見舞われた商人を助け、その後は色々と便宜を図ってもらって冒険者として活躍していくとか、色々あるだろぉぉぉ!
男の内なる魂の叫びであった。
まああの神も異世界で魔王を倒せ!や、冒険をしろ!とは一言も言ってないのである。
あの神は飲み会の乗りで、別の神(高次元生命体)と交換してみない?と軽い提案をし、それを相手もこれまた軽く承諾をした・・・ただそれだけの事なのである。
まあそんな事を知る由もない男はさめざめと泣いていた。
「取り敢えず歩いて探してみるかな〜」
と、前向きに行動してみたものの、歩けど歩けども人の気配が一向にしない・・・
そんな事を1日、また1日と歩いて、漸く人の気配を掴めたのである。何とその間、4日が経っていた。
「やっと人里らしき物を発見か・・」
男は異世界第一人発見と合わせて、久々の人との交流でもあり、若干嬉しさがあった。
ご飯も木の実や川魚や鳥など、サバイバル感あふれるご飯ばかりで飽きて来たのである。
人里に着けば、人らしい物がやっと食べられる!とウキウキしながら歩いていった。
「おっ、発見!やあやあこんにちは!調子はどゎ」
男はスキップしながら異世界第一人に挨拶をした。
そうした瞬間にいきなり斬りつけられたのである。別に男がうざかったり、不審者ぽく見られたからでは無い。何を隠そうこの山里は、盗賊団のアジトであったのである。この男、ついていない。
「あっ、すまんすまん。ついつい反応して斬り返してしまった・・・ハハハッ」
一瞬の内に門番二人を刈り取ったのであった。